小森谷浩志🙏(経営思想家)

ENSOU Inc. CEO/博士(経営学)/経営思想家。 禅の基本テキスト「十牛図」…

小森谷浩志🙏(経営思想家)

ENSOU Inc. CEO/博士(経営学)/経営思想家。 禅の基本テキスト「十牛図」に魅せられて30数年。 ZEN 禅的マネジメント、”いのちが喜ぶ経営”を探究。 http://ensou.jp/

最近の記事

自分とつながるということ

ゴッホという人 「自分とつながる」ということを考えるとき思い浮かぶ人物がいる。 あまりにも著名な画家ゴッホである。 ゴッホは牧師の息子として生まれた。 ある時期まで、天職として、運命として、牧師を目指していたという。 しかし、牧師の道に挫折、大きな転換を求められることになる。 小林秀雄はその辺りの様相を絶妙に表現してくれている。 ゴッホは、画家として10年間過ごし、2000点以上の作品を描いた。 しかし、よく知られるように、また多くの芸術家がそうであるように、評価され

    • そうだ辰年だ 

      新年になると抱負を立てる人も多かろう。 新鮮な気持ちで時間を迎える、節目を作ることはとてもいいことだと思う。 あれもしよう、これもしよう。 あれもしたい、これもしたい。 今年こそは! 人間の持つ二つの欲求 真木悠介は、大胆にも人間の欲求を二つに絞る。 翼は自由の象徴であり、 根は安定を象徴するものだろう。 翼は自由に大空を羽ばたくためにあり、 根は大地に文字通り根付くことで安定をもたらしてくれる。 ただ行き過ぎたとき、根は束縛ともなる。 人は畢竟、自由と束縛、この

      • 禅から見た資本主義

        自分の本来性を見失っていないか禅からみた資本主義の姿について考えてみたい。 「衆生本来仏なり」という言葉が好きだ。 私たちは既に、内側深くに仏を宿しているという意味である。 ここでいう「仏」とは仏性、仏の本性であり、仏となる可能性、仏心のことと捉えていいだろう。つまり既に素晴らしい光を内包している自分なのだということだ。 これは、江戸時代後期、臨済宗中興の祖といわれる白隠禅師が残した、坐禅のススメ『坐禅和讃』の冒頭の一節だ。そもそも禅は自分が自分であることを問題にしてきた

        • 本を読むということ 読書の目的は何か?その2

          量的読書と質的読書年間どれくらい本を読むのですか? と聞かれることがある。 この質問に私は、なかなか即答できない。 なぜなら、初めから終わりまで読み通す本はほとんど無いからだ。 何冊購入したのですか、という質問は調べれば分かるけど。 年間、もしくは月間、○○○冊本を読んでいます、という方がおられる。 また、冊数を目標にしている方も。 私にはその発想は浮かばない。 色々な書籍を読み散らかしているだけだから。 多くの場合、同時進行的に数冊、十数冊を読んでいる、 しかもほとんど

        自分とつながるということ

          本を読むということ 読書の目的は何か? 

          初めに読書論を書いてみたい。 読書についてどう思っているかの私論です。 自分は、本を読むのが好きです。 年末年始はロマン・ロラン『ベートーヴェンの生涯』を読んでいました。 ベートーヴェンの『フィデリオ』をかけ、コーヒーを飲みながら🎶 特に後半にあるベートーヴェン記念祭における講演録、 「ベートーヴェンへの感謝」は、 まるで、ロマン・ロランの肉声が響いてくるようで、 素晴らしい、読書体験でした。 私にとっての読書とは 皆さんは、読書をどのように捉えていますか。 あなたにと

          本を読むということ 読書の目的は何か? 

          ZEN 禅的マネジメント エッセンス動画

          約2時間のインタビューをしていただきました。 動画は16分です😅 さすが、プロの編集は分かりやすくまとめていただいてます。 00:00『禅的マネジメント』執筆の背景 04:11リーダーシップ理論の変遷 05:49精神の発達 内省と対話 13:54自覚と覚他によって真に自分を見つめ直す ↓こちらは13分バージョンです(登録無しで視聴できます)。

          ZEN 禅的マネジメント エッセンス動画

          ZEN 禅的マネジメント 禅を経営に活かすって本当?

          禅ってどんな効果があるんですか? 禅って何の役に立つんですか? こんな質問を受けることがある。 Googleなどシリコンバレーの一流企業では「マインドフルネス」として瞑想を取り入れています。脳科学的には・・・ 一流のリーダーに備わる強靭な精神が身につきます。 一流のリーダーが既にやっている、アンガー・マネジメント、ストレス・マネジメントをあなたも今日から・・・ 経営というのは、もともと仏教用語で・・・ 挨拶はそもそも目上の人からするもので、なぜなら禅の伝統で・・・

          ZEN 禅的マネジメント 禅を経営に活かすって本当?

          ZEN 禅的マネジメント 前夜

          『ZEN 禅的マネジメント』を上梓した。 この書籍の立ち位置について思いつくまま書いてみたい。 仏教や禅の優れた著作は数多ある。 今回、直接引用した文献だけで30冊にもなった。 本当に恩恵は計り知れない。ありがたい。 一方で、ビジネス文脈だとどうだろう? おおよそ、3つに分類できるかなと。 ①有名な禅語から学ぶ 例えば、挨拶と初心は、元々仏教用語で・・・ ②著名なビジネス・パーソンから学ぶ 例えば、Appleのスティーブ・ジョブスは・・・ 例えば、京セラの稲盛和夫は

          ZEN 禅的マネジメント 前夜

          苦しみ学のススメ 9

          ホワイト企業大賞で行われた、5月10日のネット飲み会。 https://note.com/whitecompanyway 道頓堀ホテルの橋本明元専務の言葉は、 今、まさに、苦しみのただなかで、模索している、 まったく飾ることのないものでした。 ホテル業、しかも海外からの観光客が多数を占めるビジネス。 人が移動して、リアルに集まることで成り立つビジネス。 3店のホテルを休業にして、 100%の休業補償をして。 キャッシュインが無いのに、 キャッシュアウトはある。 このリアルな

          苦しみ学のススメ 9

          苦しみ学のススメ 8

          ま〜普通に考えると、 誰も好き好んで苦しもうって思わないよね。 サザンの歌に「イヤな事だらけの世の中で」ってのがあった。 イヤな事だらけの世の中で 登る坂道は向かい風 坂道でも、見えているうちはまだいい。 今回は、見えていない、 まさか!って感じだ。 人間存在を規定する最も本質的な精神活動とは何だろうか? ハーバード教育大学院のロバート・キーガン博士は、 「意味をつくる行為」と定義する。 われわれは、さまざまな経験に意味を見出そうとする。 人間とは、意味を見出すことを

          苦しみ学のススメ 8

          コロナとともに生かされる

          緊急事態宣言が解除され、 この後どうなっていくのだろうか。 もどすこと、 やめること、 はじめること、 この3つが入り混じって、 時代は進んでいくのだろう。 何を戻すのか? 何を止めるのか? 何を新しく始めるのか? そこには、 「判断軸」がある。 そして、 「判断軸」の奥には、 自分は何者か? という「存在意義」、存在目的がある。 自分の「判断軸」は何か? 自分の「存在意義」は何か? 是非、考えてみたい。 これまでわれわれは、 外側にある問題に対して、 働きかけて、

          コロナとともに生かされる

          苦しみ学のススメ 7

          『幸福学✕経営学』から2年。 苦しみの意味を探求してみたい、 幸福を追い求めることへの違和感を表現してみたい、 と思っています。 経営学の分野では有名なピーター・センゲ。 「学習する組織」を提示、 組織ぐるみで学び合う文化へ深い示唆をくれた。 今でも読み直す書籍の一つ『学習する組織』(英治出版)、 の中にこんな一節がある。 皆さんは、幸せになるために働いている人に出会ったことがあるだろうか?私の経験では、そういう人たちには一つの共通点がある。それは、その人たちはあまり幸せ

          苦しみ学のススメ 7

          苦しみ学のススメ 6

          前回は、仏教、そして鈴木大拙の言葉から、 苦しみの意味を探究してみました。 今回は、大拙と郷里を同じくする親友でもある、 哲学者西田幾多郎を緒に考えてみます。 西田は『無の自覚的限定』のなかで、 「哲学の動機は『驚き』ではなくして深い人生の悲哀でなければならない」 と書いています。 これは西田の人生を見るに、実感を伴って伝わってきます。 西田は、8人いた子供の内5人、 献身的に支えてくれた妻をも病気によって喪う中で、 自らの哲学の集大成「絶対矛盾的自己同一」に到達してい

          苦しみ学のススメ 6

          苦しみ学のススメ 5

          生きていくうえで、苦しみはついて回る。 小さなことから大きなことまで。 「苦しみがまったくない」っていう人もいたら、 それは、注意が必要だ。 多くの場合、 無理やり押し込めて、 感じないようにしているか、 悪いこととして、 自分を納得させているだけだから。 人生は苦に満ちているよねって、 2600年前に言ったのは仏陀だった。 仏教哲学者の鈴木大拙は、名著『禅』(ちくま文庫)のなかで、 次のように言っている。 「仏陀が『四聖諦』を提言して、その第一に、『人生は苦である』

          アフターそしてウィズコロナ

          この度の新型コロナウイルスがわれわれに突きつけていることは何なのでしょうか。 まずは、思考と行動のスピードのスローダウンがあるでしょう。現在の世界は、特に経営学では顕著ですが、アメリカのハイスピートに合わせようとして不具合が生じているように見えます。それぞれの国にはそれぞれのペースがあります。置かれている社会や経済の状況や、積み重ねてきた歴史や育まれてきた文化はそれぞれです。それにもかかわらず、熟考無しに、ただ模倣するのは愚の骨頂です。日本企業の多くもここまで、アメリカに倣

          アフターそしてウィズコロナ

          苦しみ学のススメ 4

          この世に苦しみがあるというのであれば、 この、苦しみの意味って何だろう? 苦しむことで、何が生まれてくるんだろう? 苦しみは、できるだけ避けたいという気持ちがあるのは人情といえよう。 苦しみを避けるのではなく、向き合ったとき何が起きるのであろうか。 「苦労は買ってでもしろ」。 約30年前にいわれた言葉である。 新入社員だった私は、先輩社員に同行して、OJTを受けていた。 とある酒販店に訪問したときに、その酒販店の専務がかけてくれた言葉だった。当時の私にはまったくその言葉の

          苦しみ学のススメ 4