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発見を攻略せよ。~CCFtop8備忘録~

はじめに


お久しぶりです、つっしーです。
先日行われたチャンピオンズカップファイナル サイクル2シーズン2に出場し、運よくTOP8に入ることが出来たので久々に筆を執ることにしました。

勝った時のアウトプットって燃え尽き症候群で結構サボりがちなのですが、いつか役に立つこともあると思うので思考整理を兼ねて書き残しておきます。

パイオニア、壊れる。

イクサラン 失われし洞窟のリリースでパイオニア環境は大きく動くこととなった。
「発見コンボ」の登場で1年近く《鏡割りの寓話》《大いなる創造者、カーン》といったパワーカードをプレイする環境はリセットされ、すべてのデッキが先手3ターンキルや1枚完結のコンボに頭を悩ませていた。

かくいう私もその一人で、漠然と「イゼットフェニックス」か「ボロス召集」あたりをプレイしよう程度に思っていた事もあり、瀬畑さんがPioneer Showcaseで優勝した時には大慌てでデッキをコピーしてリーグに潜っていた。

発見コンボをプレイしていくつか気付いたことがあり、

①クイントリウス型は安定感がない。かなりマナベースに負担を強いており、《力戦の束縛》がプレイできない事や多数タップインの遅れにより間に合わない展開が目立つ。
5マナ始動なのでゲーム序盤はマナベースの安定と相手への対処をどう行うかが重要。
対策カードへの回答は《力線の束縛》が有効でサイド後は強そうに感じた。

②鑑定士型は妨害には脆いものの、キルターンの速さや《宝物トークン》を生成するスペルのおかげで2→4→6というジャンプアップが可能=《嘶くカルノサウルス》を強く使いやすい。特にHEROtsukaiがプレイしていたメイン《思考のひずみ》採用型はこのジャンプアップとの噛み合わせが良く、妨害に弱い鑑定士型の弱点を補うものであった。
またクリーチャーコンボなので《ナーセットの逆転》をひずみに撃たれてもクリーンヒットし辛い。

2→4→6といえばイヤナガ・ケッシグ

この理由からデッキ強度はクイントリウス型のほうが高いと感じるものの、デッキ自体のポテンシャルや伸びしろは鑑定士型にありそうだと考えて調整を開始。

マナべースの改良や《異界の進化》の素打ちプラン、採用できるスペルにもっと幅が聞かせられないか、などとにかく考えられるものを手あたり次第テストした。
オールアクセストークン様様

サイクリング+Dig型。
ゴミ引きまくって負けて草。
HEROtsukai型。
イゼフェニによく勝った印象。
チャンドラまでいれた強欲型。
マナ加速を減らしたので6マナまで伸びない(そらそう)

リストが残っていなかったが置物対策で《耐え抜くもの、母聖樹》を多めに採用したティムール型や《奔流の機械巨人》型など、結局いろいろと試したがあまりしっくり来るものを作れず迷走。

機械巨人型がミラーにおいて強いという情報を教えてもらったが、個人の力では構築を洗練することはできないと判断し強者のデッキリストを回して気になるポイントだけ変更するのがいいだろうと結論付けた。

この時点でリアルでカードを買い始め完全に「発見堕ち」する気満々で考えていた。

そこにとある男から連絡が来たことにより状況は一変する。


台湾まぜそば好きそう。


パイオニア、修復の兆し。

プレイすると逆ワンキル。

デッキサブミットの2日前の深夜1時に通話に出ると、そこには「白単」を使いボコボコにされた男、松浦 拓海の姿があった。
白単に変わる新たな魂のデッキを持ってきたのでお互いのデッキ公開した状態で対戦をしたいと提案してきたのだ。

此方としては当然願ってもないことなので、自信満々に「発見コンボ」のリストを見せると相手から提示されたのはメインに《塔の点火》が3枚、《勢団の銀行破り》3枚で《ドロスの魔神》採用のラクドスミッドレンジだった。

ゲームが始まり、土地さえ引けば後手で2→4→6から《思考のひずみ》+鑑定士でワンキルできそうな手札をガハハキープ、すると《銀行破り》を置かれ3T目に《思考囲い》でキルターンをズラされる。
《思考のひずみ》を撃ち込んでも《砕骨の巨人》が飛ばず、刈り取った手札も《銀行破り》で構えながらリソースを回復されて4/4のクロックに追い込まれていく。
ヤケクソのコンボも除去で対応され、切り返しに《ドロスの魔神》《黙示録、シェオルドレッド》が速やかにゲームを終わらせてきた。

とにかく全くと言っていいほど歯が立たなかった。

このカード、強すぎない???

ここでボコボコにされたことで「発見コンボ」へ考えが完全に変わった。

理不尽なワンターンキルも相手のレベルが変われば十分に対策される。ましてやチャンピオンズカップファイナル参加者はMOリーグで当たる相手より確実に高い水準で攻略が進んでいるに違いないと考え、ここでデッキの選択に大きく舵を取る決断をした。


松浦のラクドスで優れていると感じた点は以下の3点。

①軽く有効な単体除去の存在。《塔の点火》は鑑定士・クイントリウスどちらにも有効だが《嘶くカルノサウルス》に対しては追加で確定除去やカウンターでの対処が必須となる。
ラクドスは軽い除去+確定除去でこれをクリアしていた。

②銀行破りによる「構えながらマナを有効に使う」プランニング。
コンボに対して常に対応するのは置物で対応するか常に対応を構え続けるしかない。《勢団の銀行破り》はこれを叶える1枚で、構えつつリソースを稼ぐことで土地や宝物の供給を行いつつ、4/4のボディでプレッシャーをかけることで受け/攻めどちらも両対応していた。

③高いパワーでロングレンジへ持ち込まない。
発見側もマナが伸びればサブプランである《思考のひずみ》や《本流の機械巨人》、《マグマ・オパス》といったカードを連打しコンボを決めてくるのでリソース重視のロングレンジプランは悪手。
ラクドスはパワー4以上のカードが多くライフを詰める速度が異常に早かったこともあり、攻勢に出られるとターンが稼げないことが多かった。

このことから上記の項目を満たすor再現できるデッキは使用に値すると結論付け、リスト締め切り前日に使用デッキの精査を行うことを決めた。

好みのデッキの中で候補として挙がったのが「イゼットフェニックス」と「ボロス召集」。
上記3項目を以下の要素で満たしており、それぞれを比較した。

・イゼットフェニックス

▼メリット
①《塔の点火》や《焦熱の衝動》での妨害、サイドにカウンターや《ナーセットの逆転》を取ることが出来る。

②インスタント中心のデッキなので構えるというアクションに裏目が少ない。ただフェニックス蘇生ターンにスペル連打する都合上、発見に対して土地は4~5必要になるケースが多い。

③殴り始めるとクロックはかなり高く《時間への侵入》+《感電の反復》コンボの存在も大きい。単純にデッキパワーが高い認識。

▼デメリット
①《思考のひすみ》に圧倒的に弱い。《ナーセットの逆転》を取ることはできるが象型コンボには干渉しないカード、かつ引いていなければならず結局通れば負けてしまう。

②直近で勝ちすぎている。おそらく発見側も発見以外も確実に対策してくるデッキだろうと予想。特にメインから《塔の点火》による追放除去が飛んでくるのがややネック。

・ボロス召集

▼メリット
①メインには多く採用できないものの《塔の点火》や新戦力である《失せろ》の使用が可能。召集クリーチャーをマナを支払わずプレイすることが出来るので構えること自体は難しくないこと、《手がかりトークン》と《毅然たる援軍》と合わせて構えることも出来なくはない。

②キルターンが発見コンボと同じくらい早い。上振れたときは2ターン目に14点クロックを並べることが出来るので、発見コンボやそれ以外のデッキに対しても強い可能性が高かった。LCIリリース以前はかなり勝ち組だったこともありデッキパワーはかなり高い認識。

③環境的にソーサリーの全体除去が弱い。今まで展開は出来るものの《衰滅》や《至高の評決》、《絶滅の契機》などに流されてきたが、発見相手には意味をなさないカードばかりでメインから撃たれることが激減した。
デッキリスト公開の大会では入っている/いないの情報が判別できるのでオールインできる可能性も高い。

▼デメリット
①メインでは発見側の最速始動をほぼ止めることが出来ない。除去は入れられて1枚、《スレイベンの守護者、サリア》を採用したとしてもよくて1ターンずれるだけなのである程度覚悟は必要だと感じた。
気休め程度だが3キル発生確率は約3割という点は割り切れなくもない。

②サイド後の全体除去、マリガンとは確実に付き合う必要がある。全体除去はサイドにはほぼ採用されているのでサイドプランはしっかり考える必要がある。また、調整中において土地がない・《上機嫌の解体》が打てない・召集が手札でダブつく、といったマリガン多発問題があり、ここはどこまで割り切ってキープするかも難しく感じた。


上記の考察から「ボロス召集」がやや優れていると判断。
特に評価したのが全体除去が少ないという立ち位置の良さ、そして環境最速コンボと並ぶクロックの高さ。サイド後に高速でクロックを並べ、サリアや妨害を構えながら殴るというプランも環境的あっていると感じたのも理由の一つだ。

これを元にデッキリストを精査、サイドボードを決めていった。
使用したのが以下のデッキだ。

・当日の使用デッキリスト

メインボードは直近でよく勝っていた一般的なデッキリストをもとに少し変更を加えた。メインはデッキがほぼ固定化されており自由枠は、

《スレイベンの守護者、サリア》3枚
《失せろ》1枚


の計4枚しかないと考えている。
採用の選択肢としては、《内なる空の管理人》の4枚目、《巨人落とし》の3枚目、《威厳あるバニコーン》+《エンバレスの宝剣》パッケージ、追加の土地(両面、マナの合流点)が挙げられる。

今回のメインボードでの採用理由は以下の通り。

・《スレイベンの守護者、サリア》

発見に対して1ターンズラすことが出来、このデッキでの1ターンの価値は勝利に直結するほど高い。《バニコーン》+《エンバレス》よりはデッキパワーは下がるが採用する価値は十分にあると考えた。
また環境的に1マナ除去が採用されやすい傾向にあり、1マナ立てた相手にサリアをプレイすることで相手のプランを崩しやすい。サリアで除去を止める→羽ばたき→召集プレイは結構な頻度で行った。

・《失せろ》

メインデッキに除去が1枚もないと発見側がやりたい放題になるので保険での採用。カード自体も強く、対処が難しい《黙示録、シェオルドレッド》を始め《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《一時的封鎖》も対応することが出来る。
発見以前は追加で《巨人落とし》を採用するか悩んでいた枠だったがこちらに差し変わる形となった。

・《内なる空の管理人》に関して

このカードは間違いなく強力なカードである。
が、現在の環境ではこのカードを強く使うのは難しいと考えている。発見対策である軽い除去が採用されやすい環境において、効果の起動に対し除去されてしまう可能性が高く機能しづらい状況にあるからだ。

元来ボロス召集の強みの一つとして《スレイベンの検査官》やトークンのようなクリーチャーに除去を打ちたくない(サリアやバニコーンに使いたい)と考えるものの、召集の種を残すと展開され盤面が強くなるorアドバンテージ稼がれる、というジレンマ要素があった。
このカードの早期プレイはこれに反するものであり1ターン目にプレイするのが正解ではない=枚数自体多く入れる必要がないのでは?と考えるようになった。
もちろんサリア等を除去から守る役割がないかと言われれば嘘にはなるが、複数枚引いて嬉しくないカードであるのは間違いなく、初手に2.3枚来ようものならほぼ1マリガンと同義だと考えたため枚数を減らしている。

・サイドボード

一般的な部分である《炉の小悪魔》、《ガーディアン・オヴ・フェイス》、《婚礼の発表》、《引き裂く流弾》に関しては割愛する。

サイドボーディングの際に抜く対象となるカードは、

《羽ばたき飛行機械》1枚
《敬慕されるロクソドン》1枚
《内なる空の管理人》3枚
《スレイベンの守護者、サリア》3枚
《イモデーンの徴募兵》1枚
《巨人落とし》1枚
《失せろ》1枚

でこの中から有効、不要を選別して入れ替えていく。

・《塔の点火》


主に発見、イゼットフェニックスといった除去が有効な相手と後手時のラクドスやアゾリウスロータスのような明確に倒したいクリーチャー(鏡割りの寓話や厳しい試験管)を対処するために採用。
このデッキではトークンが良く出るので協約を達成しやすく3点火力として安定して運用できるのも高評価点。
発見をメタるのに《ドラニスの判事》のようなカードは速度が落ちてしまうし、《嘶くカルノサウルス》や除去で簡単に突破されてしまったので除去で対応しつつクロックで押すプランを取っている。
ただ《引き裂く流弾》も2枚は必要だと感じたのでスプリットする形で採用。

・《傑士の神、レーデイン》


サリアと違う角度で相手を遅らせたり、絶望的な相性差があるラクドスサクリファイスへの抵抗手段。ただここに関してはやや疑問があり、サクリファイスや緑単が環境的に少ないことを考慮するならローナや異形化のような他のコンボへの対策を取っても良かったと感じた。

・《失せろ》


追加の除去枠。クイントリウス型を主に狙って採用した(一応緑単も見れる)。
世間的な発見コンボの評価は象のほうがやや高いように感じており、主に《力線の束縛》による万能感に由来するものだと考えた。エンチャントにも触れることが出来るこのカードは除去にも対応しつつコンボ面も対応できたので感触はかなり良かったと言える。
実際に本戦のメタゲームブレイクダウンではクイントリウス型が18%に対し鑑定士型が11%だったので考えとしては正しかったと思う。

・パイオニア、世直し。


本戦の対戦は以下の通り。

アブザン探検コンボ ○○
白単人間 ○○
スゥルタイ魂剥ぎ ×○○
青白ロータス ○○
青白コントロール ××
イゼット独創力 ○○
イゼットフェニックス ○○
クイントリウスコンボ ○○
ラクドスミッドレンジ ×〇〇
ジャンド異形化 〇××
青白ロータス ×〇〇
ID
6位通過
ジャンド異形化 ×〇×

結果はTOP8入賞。当日相当ツイてると思ったが望外の結果が付いてきてくれたことには感謝しかない。

1ランドキープは少なくとも3回は行った(1枚のまま勝った回数2回)し、トップ《イモデーンの徴募兵》の助けられた試合もあった。
全体的に出来過ぎた結果だと思うので、今後も慢心せずに次に望みたいと思う。

プロツアーの権利とどうしても出たかったモダンファイナルの権利を手に入れて最高の大会になったと感じた。常滑BIG LOVE。

・おわりに

簡単な形にはなったが今回の振り返りは以上となる。

今回のデッキはこのCCFに向けたデッキリストにはなっているとは思うが、デッキ自体の地力は高いので今後もプレイしていく価値はあると思う。

12/4に行われた禁止改定で鑑定士型は環境から姿を消し、カーンが消えたことで緑単やローナコンボは消滅はしないものの大きな影響があり変化を余儀なくされるだろう。
また《密輸人の回転翼機》の解禁も興味深い。このボロス召集には採用できる可能性が高く、どういったアップデートが行われるのか楽しみでもある。
ラクドスサクリファイスも強化されているのは非常に残念だが…。

次回はCCFモダン、またはプロツアーの時にでも記事を書こうと思っているので良ければまたお会いしよう。

追記

スレイベンの検査官の同型再販マジ???


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