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長谷川海音くんが見た世界66都市のいま

企画・取材・編集:西海 賢二(ケンフィー
※ノーカット版はhttps://kenfee.com/talk/sp2.html 参照

長谷川 海音
1996年生まれ。東京都出身。東京大学3回生。1年休学して、4月17日から10月3日にかけて世界一周し、27ヶ国66都市訪れる。現在は無人島アートフェスに向けて活動する傍ら、自身が作曲した曲を弾き語る動画をほぼ毎日Twitterに投稿するなど多彩な活動に取り組んでいる。

ケンフィー 27ヶ国ってどこに行かれたんですか?

長谷川海音(以下、海音) オーストラリア、チリ、アルゼンチン、ブラジル、ポルトガル、モロッコ、スペイン、イギリス、フランス、オランダ、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、オーストリア、ハンガリー、クロアチア、ボスニアヘルツゴビナ、イタリア、インド、タイ、カンボジア、ベトナム、マレーシアです。アフリカはモロッコだけで、北米大陸は行ってないですね。今回は事前に大陸間の重要なフライトだけは取っていて、それ以外のところは自由に訪問していました。訪問していった先々で変わるかなと思ったんですが、結構予定通りでした。現地では、フリックスバスという安いバスだったり、基本的にバス移動がメインでしたね。

ケンフィー ヨーロッパでは陸路で国境越えたんですよね?

海音 国境を越えるのもEU同士だと普通に超えてしまっても大丈夫で、そうじゃなくても普通にパスポート見せるぐらいで、ヨーロッパ(の移動)はすごく楽でした。日本で乗車券を買って移動するのとそんなに変わらないぐらい。EU以外では、必ず国境を越える関所みたいなところがあります。先に出国する側の関所があって、パスポートに出国スタンプを押してもらったあと、またバスに乗って、ちょっと進んだところに入国する側の関所があって、そこで入国スタンプを押してもらって、国境を越えられます。今回の旅では基本的に陸路で移動し、ちょっと距離の長いところは飛行機を使いました。南米とかもバスで移動していたので、合計100時間ぐらいはバスに乗っていたかもしれません。

ケンフィー だからバスの時間とフライトの時間で本を読んでいたというわけですね。ちなみにどんな本を読まれたんですか?

海音 もともとそんなに本とか読まなかったんですけど、移動時間が長いので、せっかくだし読もうかなと思って。僕自身、教育に興味があるので、そのジャンルの本を主に読んでましたね。最初は堀江さんの「すべての教育は洗脳である」という本を読みました。そういう本を読むと、Kindleで読むとオススメで、西野さんや前田さん、NewsPicsの本が出てくるので、どんどん読んでいました。「革命のファンファーレ」とか「人生の勝算」「お金2.0」とか。それから、あと AIが発達した未来で子供たちがどう育っていくかに興味があったので「AI VS 教科書の読めない子供たち」とかも読みました。

ケンフィー 行った訪問先で、博物館や美術館を合計118ヶ所回られたんですよね

海音 最初はそういうつもりはなかったんです。僕自身、音楽をやっているんですが、アートには興味ありませんでした、(世界一周旅が始まって)2ヶ月ぐらいバックパッカーしていたときに、アートに興味を持ち始めて、行った先々でどんな美術館があるかを見て回っていました。 どこに行っても、観光スポットの周りに美術館があるぐらいヨーロッパはアートが盛んでした。特に、バチカン市国のバチカン美術館がすごかったです。バチカン美術館は、内装がすごくて、壁画とか天井とかにまで、当時のルネッサンス時代の絵画がありました。その空間が世界遺産に登録されてて、バチカン市国は、国でありながら、世界遺産でもあるという感じなんですが、バチカン市国だけでなく、ヨーロッパの旧市街地は歴史的な風情のある建造物とかを残していて、空間一体が統一されているので、その街全体がミュージアムみたいな印象を受けて、すごくいいなぁと思いましたね。

ケンフィー  近代に二度の世界大戦がありましたが、いろんな都市を訪問していく中で戦争を感じることはありましたか?

海音 そうですね。戦争については、アウシュヴィッツとか、ユダヤ人の歴史美術館とか、ボスニアヘルツゴビナのサラエボ紛争とか、ユーゴスラビア紛争から起きた傷跡を見たりしました。あとは、ベトナム戦争の写真の展示、カンボジアのクメール・ルージュ党、ポルポト政権の時の負の遺産も見て回りました。戦争の恐ろしさというか、そういうのって歴史の教科書に書いてあったりするんですが、それを直に触れてみるというのは、感じるものが違うなって思いましたね。アウシュビッツとかに飾られている写真や、アウシュビッツに残った遺品とかがびっしりあって、小さい赤ちゃんを抱えているお母さんが後ろから撃たれる瞬間とか、首を何人も吊っているのを見て笑っている人とか、そういう写真がありました。あと靴や髪の毛などの、ナチスの収容者の遺品の中に、子ども靴がたくさんあって、小さい子どもたちもたくさん犠牲になったんだなぁって思いました。そういうのを見ていると、生まれてすぐに希望がなくなってしまった子どもたちは、どういう世界を見ていたんだろうって思いますね。あと例えばカンボジアでは、クメール・ルージュがポルポト政権下で大量に虐殺したことも残酷ですが、それ以上に、ポルポト政権が新しい理想のユートピアを作ろうと、今のカンボジアの文化を否定しようとして、 知識人や文化人まで虐殺して、文化的な価値までまるごと潰しにかかったというのが、一番な残酷なことだと思います。それによってカンボジアの文化発展が停滞していたんですから。それから、ポルポト政権の時代を生き延びて残った画家が、当時の様子を絵にして後世に伝えたり、破壊された寺院を直そうとしたり、歌や踊りで盛り上げようとしたり、クメール・ルージュの後の文化が衰退しきった世の中で、アートや芸術を拠り所にして成長(文化発展)を遂げています。

ケンフィー 最後に世界一周を終えてどう感じましたか?

海音 良かったです。ひとつはアートと出逢って、アートについて考えるようになったことです。多分行ってなかったら出会わなかったと思います。あと、自分自身について、自分はどういう人間なのかとか、どういうことをやりたいのかを深く見つめることができました。さらに、世界をどういう風に見たらいいかもなんとなく分かりました。何かが分かったわけではないんですけど、何かを考えようとするというのを続けられた半年だったと思います。でも、それって日本にいてもできたことだと思うけれど、海外に行ったことで、分岐が変わりましたね。ただ日本にいても目を向けるポイントや考えるポイントって無限にあって、日本にいるよりも海外に行ったから良かったとか、そういうことではないと思うんですよ。海外に行って、5ヶ月半一人で過ごしたということがきっかけで、いろんなことについて考えたり、自分について考えたり、モノの見方について根底から考えたりするのができたっていう感じです。だから僕にとって世界一周はきっかけだったかなと思いますね。

ケンフィー いろいろと聞けて楽しかったです。ありがとうございました。

※ノーカット版はhttps://kenfee.com/talk/sp2.htmlでご覧いただけます

※長谷川海音くんのレターポット
https://letterpot.otogimachi.jp/users/58618
※西海賢二(ケンフィー)のレターポット
https://letterpot.otogimachi.jp/users/41402

インタビューを実施したのは2018年12月29日。
そう、東京キネマ倶楽部で天才たちの宴が行われている日でした。
そのため僕たちはインタビュー後、「天才万博」を楽しみました。

右が今回取材した長谷川海音くん
左が今回取材を企画編集したケンフィー