見出し画像

「俺らの税金を使いやがって」という言い分で弱者を攻撃する人 byキンコン西野

このnoteは2020年9月23日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:ゴリライオンって名曲なの?たんげまさたけ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「「俺らの税金を使いやがって」という言い分で弱者を攻撃する人」
というテーマでお話しします。

僕は、本当にたくさんのプロジェクトを同時に進めておりまして、その先々で「チーム」があります。

チームって繊細で、どれだけ素晴らしい題材を取り扱っていたとしても、チームが空中分解したら、元も子もありません。

クリエイターさんがヘソを曲げちゃったら前に進みませんし、宣伝マンがヤル気にならないと作品は届かない。

 
チームは運命共同体で、一人として欠けてはいけない。
そうして、毎日せっせとやっているのですが、当然、上手くいかないことだらけなんです。とほほ。。


上手くいかなかった時に、リーダーが自分の気持ちを一番簡単に沈める方法は、「個人の責任にする」です。

「アイツが、失敗したから、このプロジェクトはコケた」としてしまう。
そうすれば、自分の気持ちは収まります。
 

しかしながら、実際のところは「その人が最後に蹴ったボールが外れた」というだけで、そこを問い詰めるのなら、自分はどうだ?

「その人が打つシュートが絶対に外れないように、ギリギリまで手配を整えたのか?」というと、そうでもない。

ある程度、任せてしまっていた部分があったハズです。

しかも、シュートを外してしまった人とは、明日も同じチームでプレイするわけで、そこで、きつく叱責して、萎縮させてしまって、明日、今日よりも思い切ってシュートが打てなくなってしまう身体になってしまったら、本末転倒。

 
何かミスが起きた時は、リーダーは、一度感情を捨てて、「ヒューマンエラー」ではなくて、「システムエラー」だと割り切って、システムの不備を洗い直して、再発防止に努める必要があります。

 
「個人のせい」で終わらせて塩まうと、また他の個人が同じミスをしてしまうので、「ミスが起こらないシステム」にする必要がある。

これはチームや会社に限らず、社会も同じだと思っています。

昨日、「シングルマザーの難易度が高すぎるから、一人の子供を地域で面倒見れるようにしたい」という話をしたら、僅かではありますが、「勝手に離婚したのは、その人なのだから」というご意見がありました。

「自己責任だろ」と。

家庭内の事情は他人には分かりません。

もしかすると、DVに遭われて、そこから逃げるように離婚されたのかもしれませんし、もしかすると、パートナーの方が若くして先立たれた場合もあります。

「その相手を選んだのも…」と、それすら自己責任にしてしまう方もいるかもしれませんが、そんな世界、息苦しくないですか?

シングルマザーを税金で手当することに対して、「俺らが納めた税金を使いやがって」とか言う人、いるじゃないですか? 
「勝手に離婚したんだろ」みたいな。


ご存知無い方もいらっしゃるかもしれないので、一応、お伝えしておきます。
 
 
国の税金の約半分は、収入が上位4%の高額納税者が支払っています。
(たしか)年収800万年以下の人達の納税額では国は回らないんです。
その人達は、高額納税者さんが納めた税金で生活させてもらっています。

 
これは、くれぐれも「高額納税者が偉い」という話ではありません。
まさか「低所得者は黙ってろ」という話でもありません。

 
「こんな感じで僕らは助け合って生きているんだよ」という話です。
  
 
「俺らが納めた税金を使いやがって」という人がいますが、「他人が納めた税金を使うことがアウト」というルールで行くなら、たぶん、あなたは何の生活もできない。

その言い分がまかり通ってしまうと、高額納税者による「俺の税金で作った道を歩くな」が成り立ってしまう。

水道の蛇口をひねったら、水が出てきますが、その環境は、あはたが支払った税金によるものではないハズです。


税金の使い方に意見したくなる気持ちはよ~く分かります。

日本で一番広告が上手な僕なんかは、国が仕掛けるイベントの広告費の使い方の下手さに毎度失望しています。

僕なら、あの3分の1の予算で、あの10倍の広告効果を出せます。
パフォーマンスではなくて、マジで。

意見するのはいいと思うんです。
納税者なので。

 
ですが、その時、「塁審課税のことががスッ飛んでいない?」と思うことが時々あります。

 
税率は収入に応じて高くなります。
年収が195万年未満だったら、税率は5%だし、年収が4000万年以上だったら、税率は45%。ほぼ半分です。

 
このことを踏まえた上で意見するのと、知らずに意見するのとでは、響き方が違ってきます。「ちなみに、お前も食わせてもらっている側だよ」と突っ込まれる余白が残っている。

だいぶ、言葉を選びながら喋ったつもりですが、もし、不快な思いをされた方がいらっしゃったら、ごめんなさい。

とにかく、言いたいことは、「もっと助け合う方向で話を進めませんか?」の一点です。

提案するだけではカッコ悪いので、映画『えんとつ町のプペル』が一段落したら、実際に動きます。


今日は【「俺らの税金を使いやがって」という言い分で弱者を攻撃する人】について、お話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?