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自分に与えられたチャンスの大きさ正確を測れるのも能力の一つだよね

おはようございます。
インターン生のモリゴンの金髪が女子プロレスラーさんみたいな金髪だったので、「女子プロレスラーさんみたいな金髪だね」と伝えたところ、ある日、黒髪に変えてきたのですが、『黒髪の女子プロレスラー』みたいになっていたので、「そもそもモリゴンは、女子プロレスラー顔なんだなぁ」ということに気がついたキングコング西野です。
#日々勉強

さて。
今日は、『自分に与えられたチャンスの大きさ正確を測れるのも能力の一つだよね』というテーマでお話ししたいと思います。

お察しのとおり、タイトルで内容を全部言っちゃってるパターンです。

めげずに読んでください。
ガンバ!


基本的には、「働ける権」が販売できる世界なんて無いゾ


昨日、インターン生の「モリゴン」が、社長や、CHIMNEYCOFFEE代表の山邊に、みっちりと絞られて、CHIMNEYTOWNのLINEグループで話題になりました。

(※当然、西野はゲラゲラと笑いながら、心の底からモリゴンをイジり、彼の傷口を広げる作業にあたります)

今回、モリゴンが絞られた理由は、ザックリというと「プレゼンの詰めが甘かった」といったところ。

ハロウィンの時期に、渋谷の超一等地で開催されるイベント『えんとつ町のプペルVR』のプロジェクトリーダーを任されたモリゴンは、『一緒に働ける権』を5000円で販売しようとします。

当然、そのことに関して、「そこで、(お金を払って)働いたら、どんなイイコトがあるの?」という質問がモリゴンに飛ぶわけですが、その一手目で「うっ!」と手詰まりになったモリゴン。

「そこは、ちゃんと設計しなきゃダメだよ」と先輩方は言います。
#ごもっとも

僕は、ときどき『働ける権』を出します。
「働いて、お金を貰う」ではなくて、「お金を払って働く」を、お客様に提案するのです。
#なんて野郎だ

ただ、その時の「線引き」は確実にあって…

『深夜の東京タワーの展望台を貸しきって、東京の夜景を独占しながら、個展の設営ができる』や、
『エッフェル塔の展望台を貸しきって、パリの夜景を独占しながら、個展の設営ができる』や、あるいは、
『西野(もしくは、お客さんが会いたい人)がゼロ距離で働いてる現場で会話しながら仕事ができる』
といったところ。

そのどれもが、「客席よりも面白い場所」を御用意していて、「何者かになれる」を御用意しています。

そのラインを越えていない仕事に関しては、ギャランティーをお支払いしています。

モリゴンは、セールスポイントの一つにしている「一緒に働くことになる自分」がまだ何者でもない(知識やエンタメをお客さんに提供できるわけではない)上に、、
(現時点では!)ただの派遣バイトのような仕事内容なのに、『一緒に働ける権』を出そうとしていたので、先輩からガン詰めされたわけですね。

失敗することは大した問題じゃないので、ここから秒速で巻き返せばいいと思っています。

一応、僕は先輩なので「とりあえず、飲み会をしようぜ」と声をかけておきました。
#ただ飲みたいだけです

さて。。
もちろん今日の話は「モリゴンがこんなミスをしたよー」という告げ口などではありません。

もうチョイ、先の話です。

モリゴンの話を聞いた時に、すでに社会に出られている皆様は「…いやいや、ありえないでしょ」と思ったことでしょう。
それは、『一緒に働ける権』が売れる世界なんて、どこを探してもないことを知っているからです。

でも……

CHIMNEYTOWNのインターン生(の多く)は、他の社会を知らず、CHIMNEYTOWNのお仕事が「社会」になっているんです。

取り扱っている作品は世界展開していて、
イベントをやれば数千人、数万人がパッと集まる。
そして、それらのプロジェクトの裁量権をいきなり貰える。

これがCHIMNEYTOWNのインターン生(新入社員)が見ている「社会」です。

彼らは、ここしか知らないので、これが「社会」だと思っていますが、「本当の社会」を知る皆さんなら御存知のとおり、こんな機会は向こう100年やってきません。

裁量権が持てるようになるのは40代、50代に入ってからで、イベントを開催したところで、30人を集めるのがやっと。。
空席だらけの客席を眺めながらタメ息をつくのが、「本当の社会」です。

ビートたけしさんの『浅草キッド』という曲で、「客が二人の演芸場」というフレーズが出てきますが、それはフィクションなどではなく、「200キャパの劇場で客が二人」なんて、ザラにあるんです。
僕も何度も何度も経験しました。

こんな話をすると、頭に出てくるのは、梶原君のこと。


キングコング梶原雄大の話


キングコングが対談で昔話をする時に、必ず梶原君がこの話を持ち出してくるのですが……

デビューまもなく売れたキングコングは、その年齢では考えられないポジションに就かせてもらっていたのですが(※「はねトび」のスタートが20才。その前には大阪で死ぬほど売れていたよ)……しかし、当時の梶原君は目の前にある問題から目を背け続けていました。

当時。
明日にはトーク番組の収録が入っていて、そこで結果を残せば、また次のステージに行けるのに……梶原君は、トークのネタをくらず、「返しの言葉」を準備せず、パチンコやコンパに興じました。

そんな彼に業を煮やした僕は…

「ギャンブルや女遊びなんて、先々、いくらでもできるだろ? 今のキングコングに与えられているチャンスは数十年に一度あるかないかの大きなもので、ここを逃すと、僕らの人生でこんなチャンスは二度とやってこないぞ」

と、よく言っていました。
が、結局、その言葉は届きませんでした。

今になって考えると、“あの当時、あれほど大きなチャンスを与えられていながら、チャンスをモノにする努力を怠った理由”は、

「努力したところで、(実力不足で)どうせチャンスをモノにできないから、『努力をしない』ということで、結果を残せない自分に言い訳を用意していた」

という、梶原君なりの一種の防衛手段だったことが分かります。

高校卒業して、何の経験も積まないまま、まもなく芸能界の真ん中に放り出された僕らは、「前に出れない」「せっかく振ってもらったのに、返せない」の連続で、自信を打ち砕かれる毎日。
「言い訳」の一つでも用意しないと、身が持たなかったのでしょう。

※ちなみに当時の西野は「数ヶ月前まで高校生だぞ。なんか偉そうにしてるけど、お前らが俺のポジションにいたら1秒で泡を吹いて倒れてるからな!」と何故か内心で逆ギレしていた為、精神的には結構元気でした。
#奇跡的に図太い

あの日、本気になれなかった梶原君は、そこからYouTubeに出会うまでの15~16年間、
何をやっても思うようにいかず、
あの日確かに吹いていた「追い風」がずっと続くものではないことを知り、
どこか、ヘソを曲げたように生きていました。

そして、彼のまわりからは、人がどんどん離れていきました。
今でも梶原君は、当時のことを振り返る度に、あの日の後悔を口にします。


それも含めて能力だ


だからと言って、「やれどもやれども売れない」「イベントを立ち上げても、お客さんが集まらない」という地獄を経験しろ……とは僕は思いません。

恵まれた環境を渡された者は、恵まれた環境を渡された者だけが味わう苦労を経験するべきだと思います。

じゃなきゃ、世代が変わる度に、いちいちリセットすることになり、何世代にもわたって、競技場のトラックをグルグル走ることになる。

先輩がその人生をかけて車輪の開発を済ませたのであれば、自分は、アクセルやブレーキの開発に、四苦八苦した方がいい。

ただ…、

その時、「自分が置かれている環境」が、“社会のどのあたりに”位置しているのかは正しく踏まえておいた方が良さそうです。

「酸いも甘いも知って、いろいろな社会を知らないと判断できないよ~」という意見もあると思いますが、そこの判断力もひっくるめて、その人の『能力』だと思っています。

僕は社会人1歩目にキングコングで、NSC在学中に最初に書いたネタで関西の漫才大賞を獲りましたが、
何も知らない当時の梶原君はそれが「当たり前」だと思い、
何も知らない当時の僕は「こんなチャンスは向こう100年やってこない」と思いました。

これは若い子だけの問題ではなくて、これだけ大規模なゲームチェンジがパコパコ起きる現代では、ある日突然、「気がつけば沖(ビッグウェーブの出所)にいた」ということが往々にしてあるので、年齢関係なく、「今の自分がどの程度のチャンスを貰っているのか?」を疑い続け、正確に測れるようになっておいた方がいいと思います。

現場からは以上でーす。

【追伸】
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このnoteは2021年9月25日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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