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2024WJ:テルヤシュウイチ

こんにちは。
この度2024年度地区大会にスポンサーさせていただいたということで、各選手の演技に関する記事をお届けしていきます。

まず初めに、今年最初の地区大会WJにて行われたenのオーナーであるテルヤシュウイチ選手の演技を解説します。


演技概要

使用楽曲:ELLA
アーティスト:Nega / Squared
使用ヨーヨー:大神(便宜上プロトタイプとしてコールしてもらっています)
結果:4位(63.6 - TE:31.3 / FE:32.3)

コンセプト

「音ハメ」という要素は演技を作る上で必ず意識することだと思いますが、今回のフリーではそれに付け加えて「どの技が一番その瞬間鳴っている音っぽいか」を吟味しました。
お世辞にも私は点数効率の良い競技的な技が多くなく、どちらかというと構造や動きに重きを置いたタイプのプレイヤーです。
そのため「優勝する」より「誰かの心に残る」ことを第一として、音楽と持ち技がその瞬間最も強く印象に残るよう心掛けたフリースタイルです。


意識した事

練習でどれだけ落ち着いていても本番では緊張から気が逸るもので、予定していたタイミングより技が早かったり投げる姿勢を取ってから「ちょっと早いな」と思ったりします。
そこで今回はしっかりと次の音を待つようにしました。
後は足の開き方。自分が思っているより大きく開いたほうがシルエットが綺麗でしっかりプレイしているように見えると思います。だいたい肩幅くらい。
もちろん開きすぎは良くないですが。

最後に、去年のEJで予選落ちしてから1年間ずっと練習し続けてきた演技で、練習してきた分全ての部分であらゆるミスをしてきました。
故に、どこで間違えても絶対に帳尻は合うととにかく自分を信じました。


演技中を振り返る

2023年から始めたことなのですが、演技は始まる直前までは予備のヨーヨーをずっと見ています。色々と理由があり、
・交換したらあそこに行く
・演技開始まで視点を決めてそわそわしない
・ヨーヨーとストリングの色を覚える

などのためです。
演技前にはその選手独自のルーティンがあると思いますが、自分はこれです。
拍手で最初の音が聞こえずにスローが出遅れたんですが、ゆっくり始めることを徹底していたので要所で速度調整して最初の音ハメポイント。
ステージ上だと小さいどよめきなんかも割と聞こえるもので、「おぉ」と聞こえて「これからもっと面白い音ハメあるから見ててくれ」の気持ちでした。
1番前半までは1コンボずつミスしているのですが進行に支障がない範疇なのでそのまま流して次の音ハメ。一瞬音が消えるのでそこに合わせて一瞬でグリトラ成功、ここでもちょっと声が聞こえて嬉しくなったり。
テンポを落として音に集中するパート。一個一個をしっかり拾ってサビに向かっていきます。
最初のサビ。ここの腕コンボがフリー中一番不安で、実際に一番ミスったところです。3個目の手元技は手癖に近い技なので不安なく通してバインド。ここでサイドワインダーをしないと次の技がヨレまくるので必須。
2番への繋ぎ部分に一番最近作った技を入れました。ここも不安ポイントではあったんですが、綺麗に通ってくれて「もうここから先大きなミスはないな」と安心してました。
ゆったりしたパートは一番最後まで技を決めかねていた部分ですが、最終的には音全踏みの結果に。この辺はもう緊張とか不安とかなく、結構のんきに「ヨーヨー楽し~」とか考えてたような気がします。ヨーヨーの動きもぎこちなさが完全に消えてて分かりやすいですね。
多分一番点数の多いホップコンボパート。ちょいミスがありましたがここもまた進行に影響なくたっぷり時間使ってバインド。
3歩下がる最中は「下がるだけ!スローするな!」と唱えています。
ここの技はホントに繋ぎみたいなもので、「次も音ハメあるよ」をしっかり暗示したかったところが強いです。
そしてラスサビ直前、左右に二度振って最後にグリトラを作るトリックがこのフリーで一番やりたかった音ハメです。綺麗に決まって思わず小さくガッツポーズ。ここでも皆さんしっかりどよめいていて嬉しかったです。
ラスサビ入りのところは持ち技よりも動作の大きさと音の印象で決めています。ダンスで言うフリーズの気持ちでヨーヨーを止めきる意識でした。
あと地味なんですが足も少しつま先で立って音のインパクト感に合わせてしゃがむということもしてます。
最後の腕コンボ。1つ目も腕から外すところで糸をつかみ損ねかけますがちゃんと手繰り寄せてほどいて次へ。
2つ目も音ハメを拾いきって最後にマウントミス。回収も1回ミスりましたがここまできたら関係ないですね。
最後の特殊バインドはウィップの中で糸をたるませ、ヨーヨーが「ちょっと戻る」状態にしてストップ&ダッシュ、上に放ってバインドする技です。
実はこれ成功するとガンスリンガーを一周よじった形になるのでベアリングでロックがかかって一度必ず絡まるバインドです。
最後にしか使えない技ということでふさわしいかと。
これもずっと大会でやりたかった技で、今までで一番綺麗に決まったと思います。
そもそもがけっこう珍しい技でしかもピッタリ〆たので、フリー中一番大きい歓声が聞こえてきました。
積み重ねてきた細かなものが最後に爆発したような感じで、望んでいた形のリアクションそのままでした。


参考にしたフリー

2023INYC Ahmad Kharisma選手を見て前述の振り子グリトラを使いたいと思っていました。左右に繰り返し振り続ける技は音楽との相性効果が強いのですが、技として面白くしようとするとなかなか難しいものです。
そのような技を自分はせっかく持っているのだから、と構成に入れずにはいられませんでした。
2022NJ カトウヨク選手は本人と技が持つ個性の塊をぶつけ切ったような演技で印象に残っています。特異なスタイルというのはそれだけで目を惹くもので、今でも見返すフリーの一つです。
2022JN ナカムラカオル選手はコンセプトの根幹である音ハメに色濃く影響しています。
技自体がすごいのはもちろんですが、それらを行いつつ音楽中のすべてのテンポを拾いきることが自分にとってはあまりにも強烈でした。
音の聴き方や好きなジャンルが似ていて、よく個人的にも「この曲好きそう」と送りあったりしています。



まとめ

初めての地区決勝で1A部門FE最高点、コレオグラフィ(音ハメ、テンポなどの加点項目)に関しては大会全体1位とやりたいことのコンセプトに恥じない結果を残せました。
「この音にはこの技だろ」と思って見せたものにどよめきや歓声が起きるたびに演技中に自信が湧いてきて、
演技が終わって知り合いからもそうでない人からも「本当に良かった」と伝えてもらえて、
1年間温め続けてきたものが報われて本当にうれしかったです。

この演技で今回の使用曲である「ELLA」とアーティストである「Nega/squared」を聴き始めたという方もちらほら居てくれて、布教活動もしっかり果たせました。


EJに出場・決勝進出したサトウユウト選手、イジマサハル選手からもフリースタイルに関する記事を書いてもらいますので、楽しみにしていてください。
これからもenをよろしくお願い致します。


en
照屋




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