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「天照」制作とen立ち上げまでの流れ

皆様初めまして。enです。

発足から1年、第一作目である「天照」がリワインドにて発売される運びとなりました。設計・ブランドデザイン・工場とのやり取りなど重要なことからその他の細かいことまで全く1からのスタートでしたが、なんとか一つのヨーヨーブランドとしてまともな形になってきたかと思います。

さて、今回発売される天照。これの設計に関するお話と、enというブランドの発足にまつわる小話をさせていただきます。長文・乱文失礼いたします。

発案

「自分のヨーヨーが欲しい」「市場にないものが作りたい」「単純に作ってみたい」

ヨーヨーを設計するにあたって、きっかけに細かな差異はあれど基本的には上の3つが最も重要な理由かと思われます。(ヨーヨーに限った話ではありませんが)

enはこの中で言うと「単純に作ってみたい」に該当し、その思い自体に大きな熱意はありませんでした。既存品に不満があったわけでもないし、自分専用のヨーヨーを作ろうとも考えていません。正直、「なんとなく」です。

手元のヨーヨーを測って数値の共通項を辿れば設計における必要条件は分かるし、個人からの依頼を受け付けている工場は探せば結構あります(自分の場合は親族に工場とコネクションのある人間がいました)。CADはちょっと面倒ですが、チュートリアルさえきちんとやればある程度使えます。

「別にそこまで難しいことではない」と思い、設計図を取り始めました。

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これが最初に書いた天照の設計図です。リムのウィング部分以外ほとんど現行版と変わりません。後述する設計思想を基に、自分なりの「使いやすい」を求めた形になっています。なんとなくとは言いましたがそこに妥協はしていません。

手で書いた図面を基準に細かい数値を調整しつつCADに落とし込んでいき、CADに精通している知り合いに問題が無いと太鼓判を押してもらったうえで工場に納品しました。

あとは完成品ができるまで待つだけ。それまで、設計に関する思想や盛り込んだ要素等お話していきます。

設計思想

技の制作、技の練習、フリーの練習。どういった場面においてこのヨーヨーが使われるべきか考えたとき、やはりいつでも使用できるものが一番いいと考えました。

そのために求めたのが「切り返しの軽さ」と「スリープの持続力」。これは天照の特徴としてリワインドの商品ページにも載せてもらっています。純粋にそういったフィーリングが好みであることもそうですが、それ以上にこれらの特徴は「ヨーヨーで遊べる時間を長くする」ために選んだ個性です。

「切り返しが軽い」点について、ラウンドの特徴が大きく出ています。少しの力加減ですっと動いてくれるので、ストレスがありません。初速時点で最高速度に近いスピードになるので、特定の技の特定の地点が動かしにくいということもないです。(ホリゾンタルに関しては少し苦手)

「スリープの持続力」は少々特殊で、なだらかな回転力の落ち方をしません。中間からガタッと落ち、回転が弱まったあたりからの持続力・姿勢制御力が高いです。投げ出しのパワーも併せて考えるとバイメタルに近い特徴かもしれません。回転力が落ちてバインドしようかな、というところから伸びるのでモノメタルの質感としては少し面白いものになっています。

形状に関しては、大きくとったラウンドから続くストレートに、エッジにかけて強く傾斜のかかったインバースといった感じになっています。この形状を取ったのは単純なスリープロス低減の他に、「ラウンドの操作感をインバースで相殺する」ことが狙いだったからです。

その結果、ラウンド特有の切り返しの軽さは残したままインバースのおかげで速度超過とスリープロスは少なく、重量からくる安定感も合わさってしっかりと回るヨーヨーになっています。目標として挙げていた点をすべてクリアしており、ずっと遊んでいて疲れるということもないのでこれ以上良くなるとは思えませんし、改善点が見つかってもおそらく直しません。

比率的にラウンド7・インバース3という感じですが、このインバースをストレートにしていたらおそらくもっと軽くなっていたんじゃないでしょうか。



そっちも使いやすそうですね。



命名

「天照」という恐れ多くも仰々しい名前。これは自分で名付けたわけではなく、プロトタイプを見せた友人に軽い気持ちで募った名前がそのまま使われています。ほかにもいくつか案出ししてくれていたような気がしますが、天照のインパクトですべて忘れてしまいました。

プロト制作当時はそもそもブランドを立ち上げることも考えていなかったので、最終的な方向性を決定づけてくれたのはその友人といえるでしょう。この場を借りて感謝します。

ブランドへ

さて、出来上がったヨーヨーが思った以上の完成度と使用感でまず最初に感動9割の中「自分で作ったものだから少し盛ってるんだろうな」と1割疑いました。そうして沖縄からの友人であるミヤカワカズマに振ってもらうとこちらからも好評。練習会に持っていって振ってもらうとそちらからも。

これはいいヨーヨーなんだと確信を得たと同時に、「それならきちんと作ろう」そう思ったのがブランドの始まりです。

ブランドの名前は自分で付けました。天照から連想して日本神話をテーマにすることはなんとなく決まっていたので、まほろばだとか高天原だとかいろいろ案はありました。当時は高天原がいいかなと思ってそう呼んでいましたが、ヨーヨーとブランドセットで名前を言われやすいことを考えると将来的に「高天原の天照」なんて文面が出来上がってもう何が何だかわからないなと思ってやめました。

最終的に出てきたenという名前は手元のヨーヨーを見ていて「丸いな」とぼんやり考えていたところから着想を得ました。「日本も円じゃないか」「日の丸もそうだ」と、つながる部分が多かったのでこれしかないと思いました。

ブランドロゴも円形をベースに、漢字をそのまま神域の入り口であるとされている鳥居に見立てたものとなっています。転じて、enというブランドの入り口であるという意味合いも込めて、頑張って描きました。

イメージキャラクター

enのヨーヨーにはそれぞれのイメージキャラクターが存在します。天照でいえばこの子ですね。

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こうした要素は、ヨーヨーが内包する写真や映像コンテンツにキャラクターをあてがったら面白そうだと考えたからです。単純なキャラ売りに留まらず、en独自のアプローチができたらいいなと思っています。ちなみにヨーヨーにキャラのキャップや刻印をつける気は全くありません。無機質からキャラを見出していただけると幸いです。

なお、ヨーヨーの制作優先なので個人的な忙しさも相まってそれらは遅れ気味です。ひとまず2月あたりに一本動画を出す予定なのでよろしくお願いします。

小話

小話①

以前ツイッターでつぶやいた裏話についてですが、実は天照は既に公式大会の出場経験があります。

2020EJにてミヤカワカズマ選手が使用しているのが天照です。こちらはアルマイトの着色テストをしたバージョンで、製品版より暗い緑色です。こちらは従来より重く、体感67~69gあるように感じました。

小話②

天照って名前もまあまあ悩みました。「ちょっとカッコ良すぎないか」を筆頭に「伊勢神宮行って参拝しなきゃ」とか、色々考えていました。

自分が出していた名前案は「モデリスタ」。好きな曲から引用したもので、今後作るヨーヨーも何かしらの曲から引用しようと思っていました。ブランド名は「ラジオウェーブ」とか「USEN」とかだったはずです。宮川に打診したら「天照でいこう」と一蹴されたので結局お蔵入りです。

小話③

伊勢神宮には行けていません。

まとめ

勢いに始まり早一年、enというブランドが本当に始まるのはこれからです。

図面の添削を引き受けてくれた知人、ヨーヨーに名を付けてくれた友人、フィードバックをくれたミヤカワカズマをはじめとする選手の方々、今回天照を取り扱っていただくリワインド様等、様々な人が関わって成り立っています。これもまたブランドの名前に込めた意味合いの一つでもあります。

今後も作るものが多いのでより一層忙しくなりますが、発足から今に至るまでこのブランドに期待を寄せてくれている方々に応えていけるよう頑張っていきます。


それでは今後ともごがありますよう、皆様何卒よろしくお願いします。

en

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