スペシャリストとゼネラリストの狭間で。

大企業に勤めたこと無いから外から見た事という程度にしか分かりませんが、日本の大企業がよくやる部署グルグル回してゼネラリスト育成する方法は、あるいみ「その企業のスペシャリスト」を育成するのに役立ちますが、ひとりの人として見ると「その企業でしか生きられない半端なスキルの人」になる可能性が高いように感じます。

一方で、特殊な専門スキルのみを何年も続けて行く事は、特定領域におけるスペシャリストになりうる可能性は多分にありますが、あまりに周辺の仕事を知らなさすぎて「仕事を作り出す能力」に欠けるようになる傾向があるように感じます。スキルを活かすために与えられた仕事はできるのですが、それ以外の事はできないため、仕事が発生する現場のように曖昧模糊とした状態だと処理できずフリーズしてしまうという状態の“スペシャリスト”を多く見てきました。

私の属するWeb業界では、過去10年近くの間スペシャリスト育成傾向が続き、結果として職種と職種の間に落ちていく仕事の全てをすくい上げる事を「ディレクション」と称して、何とかしてきた傾向が多分にありました。スペシャリストと名乗ることを許された人は「それだけをやれば良い」という風潮がどこかに有ったように感じますが、“だけ”をやった結果、案件にフィットしない場合はアサインされず終いになるか、または“だけ”をひたすらやり続けるため、あまりに少数化してしまい代替が効かないまま過酷な職場環境になっていくか、どちらかの傾向が顕著なのです。

スペシャリストとして尖り続けるためには、年齢と共に有る一定レベルの実績や名声が必要になります。その状態を維持できれば引退まで“その道の専門家先生”として活躍できる可能性が出てきます。しかし、万人が目指せる方向ではありません。

では、どのような状態なら良いのか?という事ですが、尖ったスペシャリティを1〜数方向持ちつつ、有る領域の仕事に対して一定レベルかそれ以上の経験や体験を積んでおく事が重要であると、私は考えてます。

しかし、いっぺんに両方を得る事はできませんので、順番が大切な要素になります。どちらから?と問われれば、私は間違いなく「専門性から」と答えます。専門性を延ばすタイミングは、若ければ若いほど良いです。深く深く知識を身につけるためには、体力も気力も十分に必要です。また年齢と共に私生活環境も変化し、ひとつの事に集中できるだけの時間を得にくくなるのも事実です。

スペシャリストでありながら、一定のレベルでゼネラリストとしての立ち位置も得る事ができれば、その業界で長く活躍する地位や場所を得る事は、そんなに難しい事ではありません。広く知見を持つ人材と評価されれば、企業内で一定の地位につくことも容易になる事でしょう。

スペシャリストで在り続ける事に不安を覚えたら、自身の周辺で関連する近しい職種の人たちの仕事をよく観察して、知識を得ていくように動いてみましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?