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もし明日死ぬのなら、今夜は女友達とニューヨークグリルがいい

#おいしいお店

チームで会食をするときなどに、「人生であと五回しか食事ができないとしたら、どこへ行く?」という質問をして順番にシェアしていくと大いに盛り上がる。大体の人は高級店を二つくらいあげたあとに、地元のトンカツ屋さんとか焼き鳥屋とかマックを上げだすのだけど、もしこれが最後の一回!(かつ外食限定。お母さんの肉じゃがとか無しで)だったらどこに誰と行くかな、と考えてみると。

私は、パークハイアット東京のNYグリルがいい。

なんてったって、空間が好き。超高層ビルのてっぺんにありながら、珍しい10メートルはありそうな天井の高さの壁には大きな絵がかけてあって、床材の上質な硬さもあいまって、外国人による生演奏がよく響く。コンサート会場的な観点で言うと音響は良くないのだろうけど、ガヤガヤした音が心地よくなるスペース。

ぷらっとジャージで行くようなお店じゃないから、遠慮なくオシャレをした客層など、本当にNYみたいでかっこいい。そしてお料理の値段がお高い分、潤っている・ノっているご機嫌な感じの人がたくさん集まっていて、いい気が流れているような気もする。デートの人や、仕事での会食、出張中の外国人の一人客、女子会など、いろいろ。

私は普段はそんなに派手な外食はせずに暮らしているのだけど、明日死ぬならもう今夜はお金のことは考えず、キャビアとシャンパンからスタートして、ドレッシングがかかりすぎなシーザーサラダを経てからゆっくりWagyuステーキやらパスタやらを楽しんで、ワインも普段頼まないようなのをボトルで頼んで、飲みきれなかったら厨房にプレゼントして(一回やってみたかった!)最後は席をカウンターに移動してからデザートとウィスキーでも飲んでしまおう。

誰と行く?

明日死ぬ、って考えても多分割といつも通りに過ごしたいなと思うはずなので、きっと学生の頃からの女友達を何人かに声をかけて相手をしてくれる人を探すと思う。最後の晩餐とはいえ、夫と行ってもきっと彼はソワソワしてしまってうまくいかないだろうし。チキンラーメンとか頼みかねない。

Lost in Translation

パークハイアット東京が好きになったのはそもそも、ソフィアコッポラ監督のLost in Translation(2004年、スカーレットヨハンセン主演)をみて、なんて美しいホテルなんだ!と憧れを大いに抱いていたのがきっかけ。大学の教授にゼミ生全員で何かのお祝いでNYグリルに連れて行ってもらった時は感激した。

その憧れの流れで、昔ここのホテルのボールルームで結婚式をあげようとしたことがあるのだけど縁談自体が結局うまくいかなかくて、キャンセルしてしまった。色々がっかりして落ち込んでいたその直後、友人が「結婚未遂慰労会」と称してニューヨークグリルでの食事に招待してくれて、その思い出の上書きをしてくれた。「ワカメちゃんはさ、このまま行くと、この大好きなホテルのことを嫌いになっちゃうかもでしょ。だから今日は楽しんで、新たな記憶を残しましょ」なんて素敵すぎることを言いながらしこたまワインを飲んで記憶を飛ばした夜。「渡すはずだったお祝儀よ」と部屋まで取ってくれて、女子3人でキングサイズのベッドでそのままお泊まりして、翌朝はプールにゆっくり入ってサッパリしたらそれまでの苦悩の憑き物が少し落ちていた気がする。

ということでおかげさまで今もニューヨークグリルは私にとって大切な場所と思えているのだけど、こうして書いていたら、わざわざ死ぬのを待たずにまた行くべきな気がしてきたので、今度誰かのお祝いがあったらここにしよう。

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