「こころもカッサカサです」 -男子発言ノート45

「乾燥してますね〜」という話になる。

冬のこの季節、居合わせるひとと掛け合う言葉は「寒いですね」「乾燥してますね」などなど冬冬している。

いつもは快活な男子がつぶやいた。

「こころもカッサカサですよ、この日々にっ」

どうしたのだよ男子。
そのこころに、私がこっくりとしたテクスチャの何らかを塗り込み浸透させ、潤してあげられたらいいのだけれど。

「馬油」ならぬ「おーしまー油」的な何かを。

どうしたらきみの日々はカッサカサじゃなくなるのか。

私が隣で、きみにとってはどーでもいいだろうことを喋って笑い合うのじゃ駄目かな?
きみが一人で出掛けているいろんな場所へ、私もこれからは一緒に行っては駄目?

夜明けの霜柱を一緒に踏みしだこうよ!!

……たのしいと思うんだけどな。

だって私には、
たのしい二人の画が頭の中にはっきりと見えている。もうずいぶん前から何度も。勝手に。

それに私たち、
たまたま同じハンドクリームだって使ってるじゃない!(たまたま)

……悪くないと思うんだよ、相性。

だけど彼は───。
一向に私を誘わないし、ずっと敬語やめないし、お互いにLINEだって知らない。

だからじゃぁ、彼はもっともっとカッサカサになればいい。

そうしたらおのずと、誰かを求め引き寄せるようになるかもしれない。ニンゲン吸水材のように。

それでそれが、たまたまでも私であったらいいなと思う。

ひゅっと吸着してくれよ、なあ私を。

……こころもカッサカサ?
私はかかともカッサカサだ。冬の半分は保湿クリームのことを考えている。



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帰っちゃいますか?(男子発言ノート20より)
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大島智衣

男子発言ノート

【連載エッセイ】どうせ“私じゃない誰かを好きな”男たちの言動について。