「恋かも!?」男子発言ノート14

男性はドキッとすると、なんであんなに分かりやすく顔に出るのだろう。

飲みの席で、私がつくった水割りを「ちょっと濃いかも」と言いながら隣の男性に手渡したら、「……え?」とヒジョーに戸惑っているのだった。それから「あ!」と何かに気づいて、しばし苦笑いの彼。

「いや……"こいかも"って、お酒が、だよね。今てっきり……」
と恥ずかしそう。

どうやら「濃いかも」を「恋かも」と聞き間違えたらしいのだった


え……? 聞き間違えるってアナタ、私との間にちょっとでも、恋かも?的な可能性を、見出だせる系のレア男性だったの!?

そんな期待で一瞬フワフワした気分になったけど、その人ってばものすごくストイックで孤高な感じで、男くさいんだけど博愛主義者で、私では似つかわしくないのが明らかな、恋愛地球儀の裏側に居るような人……。

だから「え?へへへははッ!ちち、違いますよー!やーだなーあ!ぶはッ」
と大笑いしてその場の空気を一掃! ……してしまった。

それにしても、そんなお堅い感じな男性の、「え?」から「あ!」までの反応や表情がとても可愛らしく意外で、かなり推せた。

あのまま誤解が解けずにいたらどうなっていただろう?

分量をわきまえずヘタクソに濃いお酒を作っただけで、一人の男性をドキドキさせてしまうなんて。まったくの想定外。
下手したら帰りがけに呼び止められて「ゴメン。俺には大事な人がいるから」なんて気遣いされつつフラれるかもしれないところだった。あゝ危ない。

“恋愛なんて脳の誤解だ” 
とは言うけれど……あやうく文字通りの誤解をされるところだった。

それにしても「恋かも」なんて。
そんな可愛いセリフ、私は言えないなぁ。

そんなことを言う子らは、「かも」なんて言う時点で相手への恋ゴコロを、そして相手からの好意をも、確信しているんじゃないのかな。そんな「手応え」感じたことないもの。ぐぅ。

告白なんて、実らぬ恋を終わらせるためにしてきたようなものだ。

これは「恋かも」と、頭をよぎることはある。

男友だちを女友だちに紹介して、三人で飲んでいる時 — トイレに立つと早く席に戻ろうと焦っている自分がいる。

友だち同士を長い時間二人きりにさせたくないのだ。

今この瞬間、私がいない間に、二人の間に運命的な恋が生まれやしないだろうか!?

私とは何年も友だち関係なのに、どうして彼女には恋が芽生えたの?

その差、何!? 気になる教えて、いや聞きたくない!!

……とワケも分からず動揺しているのだ。

ハッとしてギョッとする。

「私どうした?」と自問し「これが恋かも?」と思わなくもない。けれど、だからといって席に戻って「ねぇ、今トイレの中で気づいちゃった。恋かも♡」なんて言うはずもない。男友だちを好きになったりしたらいろいろ面倒そうだし、できれば気のせいにしておきたい。

友情レーンから恋愛レーンへの車線変更。そのウィンカーが突如カチカチと音を立てたとしても、積極的にやり過ごしていきたい。

「恋かも」しれないけど。


(*2015年2月の投稿に加筆し再掲)

✒こちらも併せてぜひ
漫画『男子発言ノート』第2回「恋かも!?」(漫画:つきはなこ/原作:大島智衣『男子発言ノート』)

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帰っちゃいますか?(男子発言ノート20より)
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大島智衣

男子発言ノート

【連載エッセイ】どうせ“私じゃない誰かを好きな”男たちの言動について。
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