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思ったより高級 カムリハイブリッド【評価・★×4.5】

なんだかえらい好評な「普段乗れない車をレンタカーで乗ってみよう」記事。吉田さん、パチンコ台を評価するより生き生きしてますね! とか言われて、もはやワイの本業は何なのか状態。

というわけで行ってみましょう。

カムリハイブリッド。

新型。


頭文字C

1990年代まで存在した、トヨタのセダンラインナップと排気量。

COROLLA・1300-1500cc
CARINA・1300-1600cc
CORONA・1500-1800cc
CAMRY・1800-2000cc
CORONAマークⅡ・2000-2500cc
CROWN・2000-3000cc

かつてトヨタのセダンは、頭文字Cでした。


車名とその由来

COROLLA・花のという意味
CARINA・りゅうこつ座
CORONA・太陽のという意味
CAMRY・からの造語
CORONAマークⅡ・太陽のコロナの第二世代
CROWN・王という意味

カリーナ、惜しい!
そこも冠シリーズで攻めてほしかった。

カムリは元々、セリカ4ドアとして登場しました。FF用レーザーエンジンを搭載し、スポーティな個性を与えられた。高度経済成長期に「どこまでも走れる広い車」となり、バブル前は高級路線へシフト。

CMキャラクターに田中邦衛を使ったあたり、「カッコイイおじさんのクルマ」というイメージ戦略だったのでしょうね。

「息子よ。そろそろ男同士の話をしようじゃないか」

かっこいいなオイ!Σ( ̄◇ ̄;)

時代の要請に応える形でアッパーミドル扱いとなったんですけど、マークⅡがアホほど売れてしまったため、存在として中途半端になってしまいました。また日本語っぽいネーミングも敬遠されちゃった。


バブル期のマークⅡ(上)とカムリ(下)

写真ソース→【トヨタ自動車75年史


アメリカでは大成功

バブル崩壊後、カムリは全く売れなくなりました。

ところがアメリカではメチャクチャ売れた。3ナンバーボディに大きなエンジンを与えられ、カムリが本来担うはずだったアッパーミドル層を獲得。トヨタの世界戦略車にまで成長します。日本ではマークⅡに奪われた「大衆車以上&高級車未満」のポジションを獲得したんですね。

今回借りたカムリは昨年フルモデルチェンジした新型です。国内のラインナップはハイブリッドだけ。もはや国内市場は狙ってないのかもしれませんね……。


エクステリア(外観)

雨粒で濡れてて申し訳ない(汗)

トヨタは自ら「官能のデザイン」と称しました。

バカじゃねえのw と思ったけど、実車を見ると、うん、確かに格好いい。ケツの垂れた欧州車とは異なるエロティシズムを感じます。

ただ、前アゴの張り出しは気になるな。レクサスで採用されたアゴヒゲの強調。でもまあ、どいつもこいつもアルファードのようなメッキグリルばかりになっているなか、カムリのフロントグリルはスマートに見えます。

前アゴ以外のサイドシルエットは非常にまとまっていますね。

大振りなサイズでありながら、これ見よがしに主張しない。より大きく! より高級っぽく!という、かつての日本車ではありえなかったセンスの良さだなと思いました。

リヤウィンドウ下端を後ろへ行くに従って大きく切り上げているのは、個人的にはあまり好きじゃないかな。アウディのように直線的にしてほしい。

……ここまで書いてみて、バブル期に登場してバカ売れしたカリーナEDを思い出したよ。現行カムリは、ああいうセクシーさを持ってるね。もちろんカムリは広いし大きいのだけれど、色気という意味で、カリーナEDだなって。

写真ソース→【トヨタ自動車75年史


インテリア(内装)

おお、これはいい。

コストダウンでプラスチック丸出しの車が多い中、シート、ハンドル、内壁等、手の触れる部分で心地よい。

ドアを閉めた際の重厚感は、カムリの名前で日本人が想像する車格を大きく超える高級さを感じさせてくれます。特にこのステッチは(写真よりずっと)良い色合いでした。


インパネ周り

とても独特なエッヂ。ハンドル付近から左下へ流れるようなラインは特徴的です。

かつてのトヨタ車は、こういう部分で「木目調」と呼ばれるプラスチック部品を多用しました。木目=高級車という日本人特有の感性があったんだよね。今でもレクサスHS250やSAIで採用されたたはず。

写真ソース→【car watch

計器類は見やすい。高級車で多く搭載される液晶ディスプレイも発色良しです。ハンドルに付いているスイッチ類も操作しやすかったな。覚えるまでは大変だけどw


視認性

最近の車は空気抵抗削減で燃費を稼ぐべく、フロントガラスを大きく寝かせます。軽のワゴンに乗っていると、垂直に近いフロントガラスから生まれる視認性の良さと開放感が喜びとなる。

そりゃセダン離れするよなって思う。圧迫感半端ないもん。

しかも寝ているから、上下幅が狭く、天井とダッシュボードが近接しちゃう。当然、運転席から見える上下の範囲は狭くなります。

とはいえカムリは、まあ、良い方かなぁ。後日書くノートに比べれば、前方向の視認性は高かった。

後ろはこんな感じ。

昔のカムリとは比べるべくもないし、後方の視認性はもはやセンサー類に頼る時代なのだけれども、まあ、良くはないわな。

ちなみに後方の視認性で最悪なのは、アクセラ。あれをバックモニター無しで車庫入れさせようと思ったら、ほんと苦行よ。子供なんかがいたら絶対発見できないと思うわ。


走行感

これはね、素晴らしいの一言。

静粛性、加速、高速安定性。どれを取っても高級車です。いや、これ、すごくね!? と、何度も我に返って驚いた。

ハイブリッドとガソリンのつなぎは絶妙で、アクアを運転すると耳につく「あ、ガソリンになった。あ、今度は電気だ」という感覚は全く無い。徹底的にシームレスであり、つなぎ目のない加速とクルージングを楽しめました。

あとね。実はね。カムリハイブリッドで一番の良さはそこじゃない。ボディに驚愕した。カーブや交差点を曲がる際、向かいたい先にボディがしっかり、しなやかに向いてくれる。鋼鉄なはずなのに固くなく、車体の後ろ半分が粘るように着いてくる感じ。当然、後輪がブレることもありません。

また、アクセラやアテンザと同様、ドライビングポジションが素晴らしい。両足を投げ出したところにアクセルとフットレストがある。さらにアクセルはオルガン式で、かかとを軸にした人馬一体的な加減速を行えます。

写真ソース→【AUTO CAR

高級車なんだけど、徹底的にドライバーズカーです。運転してこそ喜びを得られる高級セダンだ。

これはいい。

これは欲しい。

燃費はエアコンを掛けてもリッター20キロ。高速走行メインではなく、伊豆半島の険しい道も走ってこの数値は立派だ。


すごくダメな点

もちろんダメな点もありました。致命的に小回り効かない。車幅1800mmの車はいくつも乗ってるけど、「え?」と戸惑うレベルでハンドルを切りそこねました。車庫入れ、転回で、切り返しを一回多くやる感じ。

それもそのはず。カタログを見たら5.7m、グレードによっては5.9mだそうで、一般的なセダンより50cm以上は大回りさせられる。全幅1840mmとのことで、なんとクラウンよりも幅広だ。

軽自動車と比べれば1mも大回りだ。交差点などで転回をする時は、片側2車線でも回りきれません。これはね、結構致命的にアカンかった。広い北米なら問題ないんだろうね。ちなみにクラウンの最小回転半径は驚きの5.2m! さすが日本専売w

もう一つ問題点を上げるなら、価格。

支払総額400万円だと、同じスタイリッシュセダンのベンツCLAに手が届く。ベンツを買える金額を払ってカムリハイブリッドなのかなってさ。

でもこれ、おっさんの考えなんだよな。海外、特にドイツ車を信奉してしまっている。伸び盛りなベンチャー企業の社長がカムリハイブリッドに乗っていたら素敵じゃんね。


買うならこれ

北米仕様のWS。フロント周りのデザインが精悍です。日本でもやっとリリースされました。Gは下あごを気に入れば……。

WS

G

まとめ

1800mmを大きく超える車幅と、それに伴う最小回転半径の問題さえ飲み込めれば、アリだと思った。先日のエクリプスクロスより幅広なのに、そこまでの大きさは感じませんでしたし。パッケージングの上手さなんだろうなぁ。

カムリハイブリッドの滑らかな走りと、嫌味にならない上質な内装は、ちょっとクセになりそうです。

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