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わたしの一番好きな場所

10-17-2017の記録より in Vermont, USA バーモント



ふと夜中に目が覚めたら
キッチンまで 階段を下りて


ひとりお茶を入れて
暗がりの静けさのなかで お伴は冷蔵庫のぶーんという 音色


雨が降り始める瞬間のざわめきが
あまりにもロマンチックで はっと驚いて


思わず扉を開けると 既に奏で始められた美しい雨音に 

ため息がもれた


キッチンという場所は



雑然としているんだけれど 最もココロ安らぐ場所で


ゲランの新作みたく ファンシーな香りはしやしないんだけど
あったかいスープの 温々したにおいとか
スパイスの混じり合う かすかなにおいとか
お菓子なんて焼いた日には 次の日の朝まで 甘々な愛に満ちた においとか
とにかくもっとも優しい場所であるに違いなくて
家好きのわたしのなかでも 


キッチンはいつだって 一等席の場所だった



山盛りになった 洗い物をかたづけるときや
同時に3つの鍋を火にかけるときは
テンポのいいボッサポップスなんかで ちゃちゃっとやっつけて



誰も起きる前の 静寂なすこしの間は


うんと穏やかで神聖な曲だけ選んで 湯をわかし 

お茶を入れる


わたしのすきなもの全てが 詰まった 特別な 場所



初めてその場所でほとんどの時間を過ごせるようになった自分を
幸運とおもう

好きなことと、楽しいと思えることだけ意固地に続けてきて良かった


その、場所

家の中が大好きで


快適に過ごす為に コツコツ生活を

ただひたすら積み重ねたら
気づいたら本当の意味で わたしの生きる場所となっていた


現実を真ん中に挟んで


もう反対側に居た時から

その理想が目の前に現れた時に

初めてそれを、長い間夢に思い描いていたことに気づく


こんなにも好きだったなんて本当に実際に
知らなかったのだ。




生活感は、野暮としておくべきではなく
アトリエに飾る作品として

最もクリエイティブな位置で
生かし続けておきたいもの

キッチンは、その

愛の看板みたいな立ち位置で




毎日このココロと身体をめいっぱい循環させるための場所



キッチンから始まる一日を
キッチンというその場所で閉じて


大好きな人が集まる愛に溢れた場所


わたしの一番、すきな場所。






10年越しの追記  05-22-2017

そのときわたしが何かを探していて、

そして最後に行き着いた先が、「食べる」の向こう側に見える、
真実だった。

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