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スパークリングゴールド色のねずみ4

3つづき

ある程度自分が深い潜在意識に入ろうと意識をしていたのは最初の短い瞑想時からだった。

すでにもう、決めたテーマをクリアにするつもりで来ているので、自分のほうも完全にプロセスをスタートした状態で臨んでいるのである。
彼の誘導で、部屋の真ん中から上方に向かって光の玉をイメージし、そのシャンデリアからの光を浴びてゆく、という時に
確かわたしはすでに涙を滲ませていたとおもう。

とくに感動したとか、憧れのグルに遂に会ったからとかそういうのではなく、いつも通り自分がやっている癒しを起こす状態を作り出しているので何もかもが響きやすくなっている状態。

わたしも日々、おなじ癒しの方法をクライアントの人々に伝えいる。


そして、彼の第一声は” Sparkling gold” であった。

ドブネズミの入った箱を抱え、最後までサプライズで開いてはいけないよ、と言われて箱を開けたわたしに降り注いだ色。
それは、数日前に動画で彼が、「成功する人に多い色」と語っていて、反吐を吐きそうなくらい強く反応し、苦々しい気持ちでそれを聞いていた、
まさにその色だった。

キラッキラ煌めく、ゴールド。直訳するとそんな感じ。ちなみに前半わたしの前にメッセージをもらっていた方のなかに、ゴールドと言われていた方はひとりもおらず、ゴールドはおろかそういうスパークリングとかいった描写をされていた方もいなかった。

わたしは、キツネにつままれたような気分のまま、じっと彼のほうを見つめ、彼が言うことに耳を傾けた。彼は、動画の中でチラッと語っていたような、「それは思考を現実化することのできる人のこと」で、「成功者に多く」、「男性的な創造するエネルギー」のことを指しているとわたしに向かって言った。

最初に書いた通り、わたしは汗だくのまま意気揚々と遅刻をし、その会場に入った。その瞬間のことを彼は指摘し、
「君がドアあけてこの部屋に入った瞬間から、キラッキラのゴールド振りまいてこの椅子に座ったらからね。」と指を指す。

わたしは、自分が携えてきたテーマがそれだったから、その色が出たのか、ただの偶然なのか、その辺はよくわからぬまま
とにかく驚きと感激とショックといろんなものが混じり合い、涙を滲ませながらその話を聞いた。

多分普段だったら、ニコニコ笑って「うれしー!」といった様子で聞けたところを、そのゴールドを携えているはずが、
もう長いあいだずっと、「何かを創造する」ところで失敗しつづけ絶望に伏していることの矛盾に対する悲しさとか怒りみたいなものを
全身で感じながら、彼の話はつづく。

「男性的」というキーワードを、おそらく前だったら嫌なものとして反発したかもしれないとそう思った。長らくわたしのなかで自分が男性的であるところとか、可愛げがないところへの強いコンプレックスにより、「仕事ができる」とか「自立してる」みたいな言葉へ拒絶感があった。

同じく「優秀」とか「頭がいい」といった言葉も、=男。のイメージが抜けず、ながらく耳から耳へ通り過ぎてきた。アホで仕事ができないのが可愛い。それこそが女子の鏡。憧れすぎて30余年がすぎた頃。


最近、ちょうどそのあたりは乗り越えて「どんなときでも自分は女性らしい」という感覚はどしっとあったので、むしろその「男性的」という言葉は、わたしにとって初めて心強い光が差し込んだような気がした。

彼の言葉の端には、フォローの意識なのか、「ほら、こんなに女性らしい外見で、服装で、声で喋っているけれどもね」と前置きを入れていた。

ちなみに名前を三回言うというのは、どういう意味があるのかはよくわからないが、確かに自分の名前を口から吐き出す瞬間にオーラの状態がパッと明確になるらしい。

例えば特定の言葉にわたしたちは反応する。「ゴールド」に強く私が反応したり、「男性的」に強く反応したり、その時の開く感覚や逆の抵抗する感覚はエネルギー的にはっきり動く。

それを彼は「色の様子や変化」を通して見るのだ。


「あ、君は望んだことを必ず現実化することを過去これまでやってきて、これからもやってゆく」とそう言われた。

わたしは「ある時期」まで確かにそうだった、という2年ほど前まで自分がやりたいことをほとんど叶えてきた時までの、20代の頃の経験などを振り返ってみていた。外国で暮らしたいと思い暮らした。大学に戻りたいと思い戻った。外国で子供を産みたいと思い、生んだ。会社を作ってみたいと思い、作った。

彼には一切の事前情報はいっていないので、私がすでに自営であることは知らないが、「もし今どこかに勤めているならこれから独立して自営をする」というようなことを言い、そのあと、いくつかわたしが今抱えている問題点について指摘してくれた。

ひとつめ。自立し、望みを叶えるだけの力があるがゆえ、周りから「マイはひとりでなんでもできる」と思われがち。
サポートが必要で、助けてほしいときに、なかなか手を差し伸べてもらいづらく、ひとりで抱えこみ苦しむ。
こういうときはできる限り自分も、助けてほしいと周りに伝えることを意識するのが大事だと。

ふたつめ。最近、とても大きな喪失、誰かに裏切られたとか、大事なひとを失ったとか、そういう経験をしている。その絶望によってかなり消耗していると思うけど、宇宙は古い関係を断ち切って前に進む時期だと言っている。

みっつめ。何かを創り上げてゆくときに、誰を信頼していいか不安に感じたり、誰のことも心から信頼できないと疑ってしまったりすることがあったかもしれない。本当は自分の直感が、必ず嗅ぎ分けて、誰を信頼し、誰に頼ればいいかを知っていて、その自分の直感自体を信じて問題ないから、これから何かをするときにサポートをしてもらう人に関しては、安心して選んで大丈夫。

どれも、自分の状態と問題、解決策すべてとても的を得ていてスッと染み渡った。
スッと染み渡ったが、「スパークリングゴールド」と言われていた時点でほとんどわたしは半分パニック状態で浮かれており、
ついでにふたつめに「おおきな喪失、古い関係を断ち切って前へ進め」と言われた瞬間に
どばっと涙が溢れた。

三回名前を言うあたりのパニックと、まさかのゴールドのパニックで
つい最近の大恋愛に終止符を打ってきたことをすっかり忘れていた。

瞬時にあたまによぎったのは、まぎれもないこの2年好きで好きで好きでたまらなく好きで信頼関係を築いてきた彼のこと。
別れしか道はないのか?

どうしても未練がましい私は、それ以外の古い関係のことを頭によぎらせながら、

とにもかくにも「今この瞬間、節目がやってきたのだ。」

とだけ受け取り、完全燃焼で私の番が終えた。

「次」と言う彼の切り替えは、目をみはるほどに速く、私は呆然としたまま秒速で過去へと流れた。



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