のらねこ

読書記録やつぶやき。まずは1000回書いてみる。

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マガジン

  • 本、読んだで。

    読んだ本の記録です。浅く軽く、書き残しております。

  • 20世紀末・北海道自転車1周記

    1990年代、自転車で北海道を1周しました。当時の記録を見ながら、今の記憶と合わせて、旅行のエピソードを書きます。

最近の記事

【799回】細見均「絵心がない先生のための図工指導の教科書」

本書を手にしたのは、出版社のページで目次を確認したからだ。 つまり、「図工の評価について知ろう」と「不安解消用具指導のポイント」である。 特に、「作品の評価の仕方」の項は、強く唇を噛んでしまった。 どれだけ、今まで、「本人が楽しそうだからいっか」「一生懸命やっていたなあ」「思い思いの作品を作っていた」と感覚で評価していたか。 おそらく生徒は、自由に作った、楽しかった。けれど、これが何の勉強になるんだ?と思っていただろう。 大切なのは、「目標」なのだ。 いくら、おもしろい

    • 【798回】バスティアン・ハイン、若林美佐知「ナチ親衛隊(SS)」

      ナチスの親衛隊の誕生、拡大、実験や虐殺、戦後の裁判、ドイツ社会への復帰まで。 偏った考え方を持つカリスマを称える群衆が、日本でナチ親衛隊のようにならないように。 ところで、ナチ親衛隊は、国民の密告を受けてユダヤ人を見つけ捕らえていた。特に日本のように閉塞性が高い社会———右に倣えといえば、右に倣うような社会―———カリスマの有無は問わないか。空気が醸成してしてしまう。差別せよ、見つけろ、訴えろって——— 例えば、コロナ時に、他県ナンバーの車に、文書で警告を貼って逃げた人

      • 【797回】高松美咲「スキップとローファー 10巻」

        前巻から、友人を連れて主人公の故郷に行くエピソードが描かれていた。 本巻は、その続きである。 主人公の故郷が、能登半島ではないか?と気になってはいた。その通りだった。 巻末に著者の思いが書かれていた。 著者の親族も地震に巻き込まれたこと。 著者が描いていた景色は消えてしまったこと。 この漫画の世界の能登は、地震もなく、同じ景色が続いていくと思う。 自身の大事な故郷を漫画で描いていたのに、現実では崩壊している。著者の心中を思うと、察するに余りある。 人生、楽しさがある。 この

        • 【796回】渡辺和子「置かれた場所で咲きなさい」

          うつ状態では決して開けない。 置かれた場所で、何をどう咲かせろというのか。怒りが湧いてくる。 そして、咲かす気がない、力もない自分を責める。 でも、変わってきた。 咲かす咲かさないはどちらでもいい。 咲かせなければならないとも思わない。 自然と咲いてくれるでしょう。 やっと、渡辺和子の言葉と向き合えた。 今を苦しむ子どもたちが目の前にいたら、今をまず楽しんでほしいと願う。そのために何ができるか考える。 今が過ごせる子どもたちが目の前にいたら、どうする? むしろ、子どもたち

        【799回】細見均「絵心がない先生のための図工指導の教科書」

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        • 本、読んだで。
          37本
        • 20世紀末・北海道自転車1周記
          7本

        記事

          【795回】沼田和也「牧師、閉鎖病棟に入る」

          牧師が、精神科の閉鎖病棟に入院する? 牧師、精神科、閉鎖病棟というあまりつながらないように見えるキーワードで構成された本。 著者と自分の共通点が身に沁みる。 すなわち、 という姿勢。もう20年以上前になる学生時代の自分。今は逆に、「他者」ではなく「ありのままの理想の自分に到達できない自分」を断罪し続けているのだ。 責める方向が他者か自分か。責めながら生き続けてしまっている。 仕事がうまくいっているときは、責める量が少なくなった、もしくは、うまく回避できた。責める癖はず

          【795回】沼田和也「牧師、閉鎖病棟に入る」

          【794回】上村真也「愛をばらまけ 大阪・西成 けったいな牧師とその信徒たち」

          再読なのだが…初めて読むかのようにスルスル読んでしまう。 大阪・西成。釜ヶ崎のそばにある信徒20名程度の小さな教会の誕生と日常のドキュメント。 ホームレス。酒に溺れる者。お金を持って消える者。犯罪経験者など。社会からはじかれてしまった人たちが信徒となり、牧師西田好子のもとに集まる。 まったくほのぼのとしたものとは対極にある。 ところが、真剣に人に向き合い続ける世界は、嫉妬さえ感じる。 西田牧師は、まっすぐ。思いついたら言葉が出る。行動する。おかげで色々な人と対決して

          【794回】上村真也「愛をばらまけ 大阪・西成 けったいな牧師とその信徒たち」

          【793回】堀川惠子「教誨師」

          再読。ページを捲る手が止まらない、という本ではない。教誨は「受刑者に対して行う育成を目的とする教育活動」である。それを行う教誨師の相手は、死刑囚だ。社会復帰を望めない、死ぬために生かされている者たちに何ができるのか。ページが重い。 死刑囚の心を救う。 ところが、そこに奢りを感じた教誨師は、死刑囚の声をただ聴く、そして死刑囚の横にただ在るようになる。 自分自身の弱みもさらして。 この世に存在している一人の人として、誰かに関わってもらえた経験。それを初めて持つ死刑囚もいる。

          【793回】堀川惠子「教誨師」

          【792回】最首悟「能力で人を分けなくなる日」

          最首悟と3人の中高生の対談。 人は能力によって、価値が決まるのか。生き死にを決められるのか。 人は…自分という一人ではない。相手とともに作られていく。 この「あなた」は私にとってどんな能力や価値があろうとも関係ない。 恋人や家族のような濃厚な関係とも限らない。 僕が、同僚A先生を頼り、A先生が僕に仕事を依頼する。 僕がB先生に悩みを語り、B先生が僕に愚痴を吐く。 同僚性を出せば、それぞれの職員の得意不得意がある。A先生には仕事の依頼を、B先生には相談を…と関わりを選択

          【792回】最首悟「能力で人を分けなくなる日」

          【791回】エゾシカの列

          僕は北海道に住んでいる。だから、よく動物に会う。 今朝も車を走らせていたら、シカに出会った。 道路を渡ろうと、ちょっこり頭を出すシカが1頭。 急に走り出しても困るので、減速して車を走らせる。 ふと横を見る。 「シカ、めっちゃいる」 そこにはざっと見た限り、10頭以上のシカがいた。ただ集まって群れているなら、noteに記録として残すまでもない。 シカを見て、笑ってしまったのだ。 10頭以上のシカが、一列に並んでいたからだ。 まるで、電車に乗車する人たちのように。それは見事

          【791回】エゾシカの列

          【790回】鳥山明先生の訃報に際して

          鳥山明先生が亡くなられた。 アラレちゃん、ドラゴンボールと、少年時代に自分に与えた影響は大きい。 ドラゴンボールは毎週の楽しみだった。 少年ジャンプを毎週買って、ワクワクしながら連載を読んでいった。今でこそ、コミックでまとめて物語を楽しめる。しかし、連載当時は、いったい孫悟空とフリーザはどういう結末を迎えるのか、1週間に1話ずつ進んでいく物語に、早く続きが読みたいと思ったものだ。 そう。超サイヤ人の初登場時、髪の色が変わるなんてそんなパワーアップがあるとは!と震えた。

          【790回】鳥山明先生の訃報に際して

          【789回】北海道自転車1周記5日目(小平→天塩)〜展望台、無料を選ぶ、見つめるライダー

          199X年8月   5日目 小平〜苫前〜羽幌〜初山別〜遠別〜天塩 103km 走行時間 6時間5分 PART1.展望台から景色を楽しむ。 小平町望洋台キャンプ場といえば、高いところから海を望む、景色がポイントだろう。展望台に登れば、キャンプサイトから海まで、景色を独り占めできる。 展望台は、キャンプサイトの端にある。記録によると、30分ほど景色を楽しんだらしい。前日も旭川を出発したのが午前10時。今回もゆっくりしたスタートだな。 「今日は、ここまで行かなければいけない」

          【789回】北海道自転車1周記5日目(小平→天塩)〜展望台、無料を選ぶ、見つめるライダー

          【788回】タンチョウの足音が聞こえる

          北海道鶴居村でタンチョウを観察したい。「鶴見台だよな」と思い込んで行ってみたら、実際には5箇所ほど観察ポイントが存在していた。 きっちりと下調べをせずに行ったので、当初「鶴見台」以外の訪問は考えていなかった。今思うと、タンチョウがたくさん観察できそうな「①鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」には行くべきだったか。 そのまま、釧路市に戻ろうと車をUターンさせた。ふと、「④音羽橋」という観察ポイントの存在に気づいた。少し横道に入るだけで、大きな迂回にならないようだ。 川をま

          【788回】タンチョウの足音が聞こえる

          【787回】列車からもタンチョウに出会っていたな

          前回、鶴居村鶴見台でタンチョウに出会ったことを書いた。 パソコンをいじっていたら、ある動画がでてきた。以前、列車に乗っていたとき、タンチョウに出会っていたのだ。 JR北海道根室本線で普通列車に乗っていたとき、偶然見かけたのだ。 2023年9月。池田〜豊頃の辺りだ。 動画からキャプチャした写真を載せる。 たぶん彼らもつがいだね。 偶然風景を録画していたら、タンチョウが映っていた。それだけのお話。 ひとり、数名の客を乗せただけの空いているH100形の車内で、ワクワクして

          【787回】列車からもタンチョウに出会っていたな

          【786回】鶴居村でタンチョウに会う

          鶴居村っていうくらいだから、鶴の居場所になっている村なんでしょう? 場所は、北海道東部。釧路市の北側にある。 「鶴見台」に行ったらタンチョウ(鶴)がいる。 まさに鶴を見るための場所といった名称だ。 行ってみた結果。 確かにタンチョウはいた! 監視員なのだろうか。常駐している職員がいて、鶴見台の説明をされていた。耳を立てて聞いていた。トウモロコシであるデントコーンを撒き、給餌場としているという。冬の間は餌も少ないし、タンチョウにとっても助かる場所だなあ。 数羽程度の群

          【786回】鶴居村でタンチョウに会う

          【785回】高校生が髪の毛の色を変えることについて

          「ルリドラゴン」という漫画がおもしろい。朝起きたら、角が生えていた女子高生が主人公。ドラゴンと人間のハーフという主人公は、学校の中で圧倒的マイノリティだ。一人しかいない。そんな彼女が、仲間と過ごしながら、高校生としての日常を過ごしていく物語である。 クラスの仲間で、気になる人物がいる。あえて、狙ってこういうキャラクターにしたのか。何かの伏線なのか。 神代(かしろ)という同級生。ツインテールの女子。主人公のセリフを借りると、「めっちゃイカつい2色ツインテじゃん」(p114)

          【785回】高校生が髪の毛の色を変えることについて

          【784回】「家なき人のとなりで見る社会」その2

          【782回】「家なき人のとなりで見る社会」その1の続きです。 SNSでは、自分を直接見ていない人たちが、勝手に自分の姿を作り上げ、自分の名前に、自分の行動に、言葉に向かって、攻撃的な言葉を浴びせてくる。直接顔と顔を向き合った時には、おそらく言葉にできないような内容だろう。SNSという顔の見えない、日本のどこにいるかもわからない匿名性に隠れ、浴びせられる言葉は恐怖ばかりだ。僕もSNSでは名前を出せない。自分を強制的に否定したくなる言葉に囲まれて、息も絶え絶えになってしまう。

          【784回】「家なき人のとなりで見る社会」その2