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ITSMの実現には莫大なお金がかかる? その認識、ちょっと待ってください

読者の皆さんの中には「ITSM(ITサービスマネジメント)に取り組むには、お金がかかりすぎる。特にITSMツールの導入は高額で無駄になる」と考えている人がいませんでしょうか。
 
確かに、ITSMツールのライセンス料は高額に感じることが多いです。しかし本当に失敗の元になるのは、その他の費用にお金をかけすぎてしまうことです。

特に目立つのがツールのカスタマイズ費用です。ITSMの業務フローや適用範囲をしっかりと現状評価せずにツールの導入だけ決めてしまい、後から無理やりツールを業務に合わせるようにカスタマイズしたら、どれだけ追加費用がかかるかわかりません。結果的に、ツールのカスタマイズ費用に毎月数百万円飛んでいく……ということも起こります。
 
ITSMを実現するための取り組みは、短期間で成果が望めるものではありません。そんな中、ITSMツールの導入に偏ると費用効果の低さばかりが目立ってしまい、意思決定者が取り組みに対して正しい評価を下せなくなる可能性があるのです。

ツール先行はもちろん、ツール後付けもよろしくない

現在、世の中にはITSMの実現をサポートするITツールが数多くあり、多機能で高額なものもあれば、機能が限られていて低額なものも存在します。
 
そのような中で、ITツールを選定する際、「多機能なものを選んでおけば間違いないだろう」と判断するのは早計です。例え、そのITツールの人気が高く、導入実績が多いとしても。
 
なぜなら、目指すべき姿によって最適なITツールは異なるからです。目的に合っていれば、低価格のツールでも十分対応できるのです。
 
さらにいえば、ITSMに取り組み始めた時期なら、特別なITツールは必要ないこともあるでしょう。例えば、顧客からの問い合わせを管理したいというだけなら、まずはスプレッドシートを駆使してメールを管理すれば事足りるかもしれません。
 
ITの世界ではよく言われることですが、ツール先行で進めるプロジェクトは失敗しがちです。ツールはあくまで道具でしかありません。まずはどのようなことを実現したいのかを明確にした上で、戦略に適したツールを導入すべきなのです。
 
ただし、ツール先行がNGだからといって、ITツールの導入や活用方法の検討は後回しにすればよいというわけではありません。
 
取り組みを成功に導くには、まずはITSMの業務フローや適用範囲をしっかりと設計し、それらをどう実現させるかを十分に検討して、どのようなITツールを、どのように使うかを考慮しておくことが求められます。つまりITサービスマネジメント戦略の中に、ITツールの活用方針をきちんと反映させるべきということです。