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ネイティブは意味なし。目指せInternational English!

ネイティブレベルの英語は憧れではある。日本で「ネイティブ」として教えられている発音は、アメリカ西海岸の白人の英語。世界中で使われている英語の発音のバラエティーと英語人口からすると「一つのなまり」と言ってもいい。イギリス人に言わせれば「アメリカ訛り」の一つにすぎない。

世界のどこへ行っても、インド人の英語、フィリピン人の英語、中国人の英語を必ず耳にする。日本の英語の教科書ではオーストラリアの英語の訛りを特別に取り上げているが、オーストラリア英語は、ほぼイギリス英語だ。

日本を一歩出れば「これが正しい英語の発音」なんていう発想は誰も持っていない。皆それぞれ自分たちの訛りに自信を持っている。互いに訛りのせいで、ちょっと聞きづらいことは当たり前だと思っている。大事なのは、お互いに訛りのある者同士で通じ合うことだ。これがinternational Englishという暗黙のルールだ。

International English

1. どんな国の訛りも聞き漏らさないリスニング能力
2. 聞き取れないときに聞き返す度胸
3. 自国でしか通じないスラングや慣用句を使わないマナー
4. カルチャーの違う人にもわかるよう、ロジカルに話す習慣

つまりリズム感やアクセントさえ英語になっていれば、日本訛りのカタカナ英語でかまわないのだ。カタカナ英語で、ビジネスの突っ込んだ議論をできる人を私は何人も見てきている。ただし文法は正確でなければダメだ。文法がダメならロジカルに話すどころではなくなってしまうからだ。

International Englishという心構えができていないとどういう問題が起こるか、二つ実例をあげよう。

私はずっとアメリカ英語に慣れてきた。普段から英語で考え、英語でメモをとり、英語で夢を見るようになっても、シンガポールに来た頃、イギリス人の英語が全く聞き取れなかった。何度も聞き返したものだ。BBCのニュースを見ていても、注意して聞かないとドイツ語かと思ったほどだ。

二例目。南部のノース・カロライナ州からオハイオ州に転勤してきた私の知人のアメリカ人は、奥さんがオハイオの言葉がわからずに、自閉症になって困っているということを漏らしていた。確かに南部なまりと北部なまりはかなり違う。北部の言葉はペースがはやい。

アメリカ人でイギリス英語を聞き取れない人は実は結構いるし、その逆もある。これではダメなのだ。どんな発音でも聞く姿勢をもってコミュニケーションをとること。それがInternational Englishだ。

ページトップの画像は、英語の使用状況。詳細はWikipedia - English-speaking world参照。

以下はおまけ。楽しんでいただけたら、International Englishの大切さがわかってくると思う。

発音のバラエティー

いくつかの面白いビデオを紹介しておこう。

イギリスとアメリカの英語の発音比較

イギリス国内には30の方言があるとも言われる。

世界の様々な国の人が話す英語の比較

言葉のバラエティー

同じものを指していても、国が変われば言葉が全く異なることも多い。この知識はグローバルな社会においてコミュニケーションの潤滑剤となる。

駐車場はアメリカではparking lotだが、イギリス英語圏(オーストラリアやシンガポール)ではcarparkだ。歩道はアメリカではside walk、イギリスではfoot path。ガソリンスタンドはアメリカではgas station、イギリスではpetro station。エレベーター(elevator)はアメリカ、イギリス英語ではlift。Footballはイギリスではサッカーを指し、アメリカではアメリカンフットボールのこと。

アメリカのファーストフード店では”For here, or to go?”と聞かれるが、イギリス英語圏では”Having here, or for take away?”だ。「朝ごはん食べた?」はイギリスでは”Have you had breakfast already?”だが、アメリカでは”Did you have breakfast yet?”が一般的。後者は日本の学校英語では明らかに文法が間違っているが、これが口語表現なのだ。

他にもたくさん違いがある。

日本語でも、豚汁を「とんじる」と読むか「ぶたじる」と読むかの違いがある。明石の「たまご焼」は明石市以外、大阪などでは「明石焼」だ。これとおなじようなバリエーションが、世界中で使われている英語にはもっとたくさんあると思えば、むしろ興味をもてるのではないだろうか。

そういえば私はよく”ballpark number”という言葉を使ってしまう。気をつけなければならない。アメリカでしか通じない、概算の数字という意味のくだけだ言い方だ。そもそもballpark(野球場)はアメリカ以外には無い。

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Cincinnati Reds Great American Ball Park (Source)
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British Vs American English: 100+ Differences Illustrated
British English and American English by British Council


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