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テクノ新譜試聴メモ:2018-12

12月の新譜チェックです。

Randomer - Fat Purple Figs [Headstrong 2]

今月はこれ! 誰かのDJミックスで聞いて気になってたヤバイ曲だ。キャッチーなウワモノのシンセリフで引っ張るレイヴチューン。叩きつけるような歪んだキックとスッカスカの低音域がたまらなくウェアハウス的で熱い。今年はロウ・テクノとレイヴの結びつきを強く感じる曲が多かった一年でもありました。

Body Unknown - Lack of Skin [Horo EX25]

ドラムンベースレーベルSamuraiの実験的サブレーベルとして始まり、いまや分離独立したHoroから、KwartzとQestionによる新しいプロジェクトBody Unknownが登場。もう完全にテクノですね。ドープでヒプノティックな波打つ4つ打ちループの上に、泡のように次々に現れては消えていくノイズの数々。すごくいい。

Kwartz - Contortion [Clergy 14]

次いでそのKwartzのソロがClericのClergyレーベルから。深いリバーブの効いた空間的な音響のなかで、応答するようなフレーズが延々と反復する。怪しげな幻惑的女性ボイスサンプルが目立つClericのリミックスも相当かっこいいので併せてチェック。

Stef Mendesidis - Valley of Machines [Klockworks 23]

Ben KlockのKlockworks 23番はモスクワ在住のStef MendesidisのEP。ソフトなシンセパッドとコードがシンプルながらも美しく、シャキシャキと展開するのが気持ちいい。ハードウェア機材一発録りとのこと。ディープめの音像でもBPMは速く、畳み掛けるようなテイストがレーベルの雰囲気に合っている。今後が楽しみなアーティスト(名前が覚えにくそうだ)。

O/V/R - The World Remade [Downwards VR1]

ベテランJame RuskinとRegisによるユニットO/V/Rの新作EP。タイトルトラックのA1はダークでスモーキーな匂いを漂わせつつも、スネアやクラップを挟んで適度に展開するファンキーなグルーヴがかっこいい。意外性ありますね。逆にB1"Reversing Into Tomorrow"は、往年のDownwardsまんまの縦ノリのハードミニマルで相変わらずこの路線もいけますみたいな。20年前と同じことしていてもかっこいいのは何なんでしょうね。

Sleeparchive - Things In Their Elements [Sleeparchive 17]

Sleeparchiveのアルバムも90年代を思わせるオールドスクールなロウ・スタイル・ハードミニマル。こういうよく手入れされた道具みたいなツールトラックはいくつあっても困らないし、そこには単純な反復であっても…いやむしろ単純な反復しか表現できない美的感覚が確かにあるのだ。

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「テクノ新譜試聴メモ」は、R-9が習慣的に行っている新譜チェックのなかから、気になったトラックについて個人的な覚え書きを残しておくものです。原則としてBeatport上で当月内にEPないしアルバムとして新規にリリースされたものが対象。通常は楽曲単位での紹介、まれにEPやアルバム単位で紹介することもあります。

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