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『マトリックス』を観た

Netflixで5月1日に配信が始まった『マトリックス』(The Matrix, 1999)を観ました。今更なにと思われるかもしれませんが、観たことがなかったのです。

マトリックス - Netflix
https://www.netflix.com/title/20557937

事前になんとなく知っていたのは、本作はメタ現実もののSF映画であり代表的なサイバーパンク映画の代表作のひとつであるらしいこと(サイバーパンクって何?:ニンジャスレイヤー読者向けの入門用映画3選 - ニンジャスレイヤー公式ファンサイト:ネオサイタマ電脳IRC空間)と、なんかのけぞって銃弾を回避するシーンがあるらしいということ。

これだけの有名作品なのでもはやネタバレもなにもないけれど、私と同じように未見のかたがいたら先にご覧になってからのほうがいいと思います。

とても感心したのは、なるほど確かに正しくサイバーかつパンクな作品だという点。テーマが明確で、言いたいことをズバッと言っている。「目覚めよ、運命に抗え、従属を良しとせず戦い続けろ!」というようなこと。最後の最後にネオが電話で別の何者か(それはスクリーンのこっち側の私たちだ)に語りかけるシーンで、すべてがカチッとハマって繋がったような気がしました。

映像表現としてはやはりちょっとチープで笑っちゃうようなところもあったりして、もっと古い時代のSF映画の特撮技術のようなロストテクノロジー感とは別の、単純に古いCGなのです。でいて、そもそものSF世界観というか設定も意外とふんわりしていて、割とつっこみどころがある。

人間に"夢"を見させ続けるマシーンのまわりくどさとか、銃にリロードが必要だったりする仮想空間らしい全能感の薄さとか、一杯食わされて顔を見合わせちゃうエージェントのなんだか抜けてる感じとか…。宇宙船のデザインとかEMPのイージーな設定なんかも微笑ましいのです。

でも、そんなことは本当はどうーでもよくて、やっぱマシーンに対するrebelというテーマなんですよ大事なのは。要するにサイバーパンクってテックとイマジネーションのパワーを借りた現代の寓話で、退屈な日常を生きる熱量を与えてくれるようなものなのかなと思いました。

だから、ネオが預言者に抗ってモーフィアスを助けに戻ったシーンがこの映画のひとつのターニングポイントだと感じたし、それがあってこそのネオが呼びかけるラストカットなのですよね。あれは『レイズ・ザ・フラッグ・オブ・ヘイトレッド』でニスイが落下しながら電波の向こうに呼びかけるシーンであって、『ストームダンサー』のラストで少女が拳を突き上げるシーンなのです。勇気が沸き起こるよ!

全体的にはエージェントの手から逃げ回るのが中心になるので、システムの中枢に一発食らわすというような爽快感やカタルシスには欠けるんだけど、あくまでイクサの鏑矢としてのテーマは伝わったから私としては満足です。

それにしても、観てびっくりしたというか知らなかったのは、あのブリッジ銃弾回避のシーンでネオが被弾しているってとこです。避け切ったんじゃなかったんだ、あそこ!

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