見出し画像

ニンジャスレイヤーをどこから読むか(2019年3月版)

現在もTwitterやnoteで新作が翻訳公開されているブラッドレー・ボンド氏とフィリップ・N・モーゼズ氏による連作小説『ニンジャスレイヤー』。わたし自身も友人に薦められて読み始めた手前、友人知人に「これ面白いよ」とことあるごとに薦めがちです。

しかし、最近実際に読み始めてみたという以下の体験記は目から鱗でした。

たしかにこの方の仰るとおり、これから作品に完全に初めて触れる方が最初にどこから読み、その続きをどうやって読み進めて行くのかというのを考えたときに、現状ではまだまだ迷ってしまうのかもしれない…。

わたしが見る限り、『ニンジャスレイヤー』翻訳チーム(を擁する作家集団「ダイハードテイルズ」)さんは、折に触れて事細かに作品の紹介をアナウンスしておられるし、noteにおいては現行の機能で考えうる限りの導線の整理と更新をなさっています。それでも、Web媒体という特性上、コンテンツを取り巻く状況はどんどん変わっていきますし、数年前には便利だった情報が今ではあまり参考にならないみたいなこともしばしばあるわけです。

以下は、単にいちニンジャヘッズであるわたしの考える「ニンジャスレイヤーはどこから読むか」の2019年3月版ガイドです。これを参考のひとつににしてくださってもいいし、もちろんしなくても。また、おそらくは4月を控えて公式であるダイハードテイルズさんからも初心者向けガイダンスがあるでしょうし、これまでの蓄積もいろいろありますので、ご自分の判断で探してみてください。

ひとつ言えそうなことは、「ニンジャスレイヤー読んでみようかな」って自分で調べるタイプの人は、その時点で相当適性があるんじゃないかなってことです。これは、そういう素朴な知的欲求に限りなく応えてくれる作品だし、常に予想のその上を攻めてくる。そんなあなたのための小説だし、だからこそ入り口で迷ってほしくない…と思います。

一番最初に読むべきページはここだ

諸説あるとは思いますが、わたしは下記のリンク先のnote記事が作品の説明として最も簡潔にまとまっていると思います。このページは、現在ニンジャスレイヤー公式Twitterアカウント(@njslyr)のプロフィール欄にもリンク先として掲載されており、その意味でも初めに案内するのに相応しいと言えます。

まずはこの記事を最後まで読んでもらえれば、最低限の概要は掴めるはず。もしくはニンジャ…? カラテとは…? のようにさらに謎が深まるかもしれません。

そのうえでじゃあ、たくさんのお話(エピソード)のなかから具体的にどこからどうやって読んでいくか、という話になりますね。

基本は書籍1巻『ネオサイタマ炎上(1)』

これも折に触れて翻訳チームの方々が言及していることですが、「迷ったら小説の書籍版第1巻から」はまず間違いないと思います。それはこの本。

ブラッドレー・ボンド、フィリップ・N・モーゼズ著/本兌 有、杉 ライカ訳『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上(1)』エンターブレイン(2014)

実際、わたしもこの1巻を友人に貸してもらったことがすべての始まりでした(まさかこんなにハマるとは)。

無料でも読めるって聞いたのに、いきなり本なの…みたいな、しかも文庫版サイズじゃなくて意外にかさばるしお試しにしてはお値段もそこそこするし…みたいなところもあるかもしれません。でも、本作に関してはいくら時代は下っても結局はここに戻ってくるみたいな、バイブルみたいな所があるので、これはとにかく買うか借りるかしてまず手に取ってみてください。Kindle版も全巻出ています。

書店や図書館の棚で探しにくいことがあるのですが、基本はライトノベルの棚に並んでいることが多く(背表紙が広いので大変目立つ)、そうでない場合は海外翻訳小説の作家名「ほ」のところにあります。また、あまり言うのも憚られることではありますが、都市部のブックオフの店舗では100円の棚でも状態のいい本を頻繁に見かけます。

この書籍版は、Twitterで翻訳連載した作品に加筆修正を加えたバージョンに書籍オリジナルの読み切り作品を加えた決定版と言うべき内容で、完結済みの第1部(全4巻)、第2部(全8巻)を網羅し、第3部(8巻まで刊行)も間もなく完結する見込みです。なので、もし最初の1巻でハマって次、その次となったときに一切迷わずスムースに読み進めることができるのも利点です。

こちらはアニメーションのティザーPVですが、
原作小説の案内としてもおすすめ(原作者が出ている)

総合目次としてのニンジャスレイヤーWiki

一方で、有志により制作されたWikiは作品全体の総合目次として、あるいは総索引としていまも大変有用です。正直なところ、翻訳チーム自身が運用されているnoteというWebサービス(ここ)は、大量の作品を網羅するインデックスとしては現状まだまだ使い勝手が良いとは言えない状況だからです。

ニンジャスレイヤーWikiはこちらです。

ナビゲーションから「エピソード一覧/第1部:ネオサイタマ炎上」を見てみると、作中の大まかな時系列順にエピソードのタイトルがずらっと並んでいて、そこから各作品の紹介ページへ行くことができます。各作品の紹介ページでは、あらすじや登場人物とともに「Togetterまとめ」として連載時のTwitterログをまとめたページに遷移して、そのままお話を読むこともできます。

ただ、冒頭でご紹介したジョン久作=サンは、ここでどのバージョンのログを読んでいいか迷われてしまったのですね。もっともな話だと思います。

例えば、これは第1部エピソード『ボーン・イン・レッド・ブラック』の紹介ページですが、この小説を読みたいと思った方がこのTogetterまとめから読むべきなのはどれか分かるでしょうか…。

正解はなんと、この中にはないです。冒頭に書かれているとおり、本エピソードの小説版は物理書籍「ネオサイタマ炎上(1)」(前節で紹介した本)にのみ収録されている作品のため、Twitter連載のTogetterまとめとして読むことはできないのです。ここに掲載されているTogetterのリンクは、すべて小説版ではなくて、漫画版連載時のログやアニメ版の実況ログなど。

この作品はまあ例外ではあるのですが、このようにWikiの一覧から辿っていこうとして、逆に迷ってしまうのは無理もないと思います。そんな方にお薦めなのが、こちらも有志によるスマートフォン向けリーダーアプリ

リーダーアプリとは、上のWikiで紹介している各作品のTogetterまとめへのリンクを分かりやすく整理し、なおかつTogetterの広告などを排した読みやすいインターフェイスで作品そのものもすべて読める、という優れたアプリ。じゃあもう、最初からそれでいいじゃんと思うじゃないですか。わたしも少し前までなら、まずはアプリをお薦めしていました。

iOSなら「NJRecalls」一択、でもAndroidは…

あなたがもしiPhoneやiPadなどのiOS端末のユーザーであれば、難しいことは何も考えず、AppStoreから無料アプリ「NJRecalls」をインストールすればすべて解決です。ニンジャ漬けの日々が今日から始まる。

このアプリは実際熱心な読者のひとりである@NJRecalls=サンが開発されたもので、大変に読みやすく設計されています。そればかりか、Twitterリアルタイム翻訳ならではの連載時のライブ感を、ログを通して快適に疑似体験できるツールとしてはほとんど唯一のもので、変な話、ニンジャヘッズならこのアプリのためにiOS端末を持っていてもいいまである。

しかし問題はAndroid。少し前までならNJSLYR Readerという不動のリーダーアプリがあったのですが、昨年からなにかのご事情で実質的に開発が止まっているらしく、インストール済みのユーザーでもエピソードが正常に読み込めない不具合が解消されないままになっています。現在ではPlayストアの検索結果にも表示されず、利用できない状態です。

無論、有志のご厚意で開発されたアプリなので、いつ何時提供が終了してもおかしくはないのですが、現状こういったわけで、残念ながらAndroidには適当なリーダーアプリがありません。

※2019.6.26追記:
今月、待望の「NJRecalls」Android版がリリースされました!
というわけで上記の状況は一変し、Androidユーザーの方も無限にニンジャできるようになりました。スゴイヤッター!

noteは? Twitterは?

こうした状況を救ってくれそうなのが、昨年からダイハードテイルズ公式noteアカウントで開始された「ニンジャスレイヤー3部作アーカイブ」です。ここでは、翻訳チームが自らTwitter連載時のログをエピソードごとにまとめて、noteのインターフェイスで読みやすい形に編集してくれており、無料で読むことができます。

ただ、いかんせんこのnote版アーカイブはまだまだ不完全なもの。基本的に週1ペースで作品が追加されるのですが、現状第1部の半分くらいまでの公開にとどまっているため、その先をnoteで読みたいと思ってもどうにもなりません。書籍か、アプリか、はたまたWikiから辿ってブラウザ上でTogetterを読むか…。

いずれにせよ、お試しとして読むには強力すぎるほどの読み切りエピソードが既にいくつか揃っているので、そうしたものからまず入ってみるというのはお薦めできます。

※2019.6.26追記:
本記事の初稿作成時から3ヶ月が経ち、note版の3部作アーカイブのうち第1部の収録はすでにほぼ全話完了しています。

他方、Twitterアカウント@njslyrをフォローして、現在連載されているお話にいきなりダイブするというのも全然アリだと思います。なぜかというと、本作においてはTwitterリアルタイム翻訳連載ならではの楽しみというのが確実にあるから! これも詳しくは以前別のnote記事にまとめましたので、ご興味があればこちらを読んでみてください(『ニンジャスレイヤー』Twitterリアルタイム翻訳連載ならではのギミックまとめ)。

まとめ

わたしなりに考えたメソッドをまとめるとこうです。

1. 公式note記事「ニンジャスレイヤーとは?」を読む
2. 書籍1巻『ネオサイタマ炎上(1)』を読み、書籍を追う
3. もしくはiOS/AndroidアプリNJRecallsで読む
・WikiからエピソードごとのTogetterまとめを探しても読める
・第1部までならnote上の公式アーカイブでも読める
・いきなりTwitterアカウント@njslyrをフォローして読んでも全然いい
・原作小説以外なら、アニメもマンガもオーディオドラマもある

この記事では、敢えて「おすすめのエピソード」については書かず、あくまでも手順のようなことについてだけ書きました。ご参考まで!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?