見出し画像

『 #我が家工房 1周年記念 大怪獣ショーwithザ・リーサルウェポンズ』へ行ってきた

7月13日、LOFT9 Shibuyaで行われたデイイベント『我が家工房1周年記念 大怪獣ショーwithザ・リーサルウェポンズ』へ遊びに行ってきました。ポンズのミニライブはもちろん、先日のMV撮影でもご一緒したインディーズ着ぐるみ怪獣制作スタジオ「我が家工房」さんの活動のお話が気になって。

わたしは特撮とか怪獣とか知らないので、素人がついていけないマニアックな話だったらどうしようと思いましたが、まったくの杞憂でした。「好き」をひたすら突き詰めて創作したいという、純真で無軌道なエナジーが爆発するアラサーボーイズの普遍的な試行錯誤のストーリーであり、彼らの活動への共感と尊敬を新たにしました。

そもそも「我が家工房」って何? っていう話なんですけど、これは先日公開されたインタビュー記事をぜひ読んでみてください。わたしも知らなくて、これ読んで思うところがいろいろあった。

なかでも驚くのが、これら着ぐるみが特撮・怪獣映画などの映像作品などへの出演を目的としたものでも、クライアントから依頼されて制作したものでも、ましてや既存の怪獣のファンメイド二次創作などでも全然なくて、ただ自分たちが作りたいから作ったというところ…!

我が家工房は、ライターのガイガン山崎さんと若き怪獣マニア床山皇帝さんの出会いから始まる。床山さんが大学の卒業制作として作ったものの、行き場を失っていたオリジナル着ぐるみ怪獣の部品を、山崎さんのご実家の庭で預かったことがきっかけで、まさにその場所が7年越しで床山さんの怪獣アトリエたる工房に変貌してしまう。だから「我が家」工房。

今回のイベントは、その我が家工房さんの出発から1周年を記念して、実際にこの間に制作された何体かの着ぐるみを紹介する怪獣ショーであり、その紆余曲折の道のりを明らかにするトークイベントでもありました。

何を隠そう、公開2か月で60万回再生を誇る『きみはマザーファッカー』に登場する(サムネ左から)「仮面バンダー」「ジョルジュ星雲人」「ウィップ成人」がすべて我が家工房さんの作品。ロケ場所も工房(というか山崎さんのご自宅)の屋上なんだって。

会場に入ると、さっそく制作中の着ぐるみ怪獣「ギロチングキング」が展示されている。人が着るものなので、寄るとそれなりにデカく、存在感がある。展示コーナーにはウィップ星人の得物の金棒や、例のインタビュー記事などが紹介されていました。

イベントはガイガン山崎さんの仕切りでスタート。ステージ上に展示された我が家工房さんの初作品「バラモンキング」の紹介に続いて、『きみはマザーファッカー』でお馴染みのウィップ星人、ジョルジュ星雲人などが次々に紹介される。見たことあるやつ!

そこへ登場したヒーロー、ミュージシャンの大内ライダーさん扮する仮面バンダーをいじめる怪獣たち。

けんかの仲裁に入るサイボーグ・ジョー!

そこからシームレスにザ・リーサルウェポンズのライブへ。最初の曲はもちろん『きみはマザーファッカー』。F・U・C・Kもやったよ!

この日のミニライブのプレイリストは下記の通り。

きみはマザーファッカー
Super Cub is No.1
プレミアムフライデーナイト
シェイキン月給日
ホッピーでハッピー
80年代アクションスター

『シェイキン月給日』ではうまいスティック(うまい棒)をアイキッドさんがバケツで配ったりして盛り上がりました。ほかにも、途中で怪獣たちとの輪投げゲームがあったり。

輪投げがツノに全然入らないのでめっちゃ寄ってくれるウィップ星人。

ポンズポーズ!

今日もカッコ良かったザ・リーサルウェポンズ。そしてこの日のサプライズは、バンド初となるグッズの販売がイベント後に会場で行われるとのビッグニュースでした。

しばらく休憩を挟んで、イベントは後半の我が家工房主要メンバーによるトークライブへ。

壇上に登場したのは床山皇帝さん(左)、ガイガン山崎さん(中)、大内ライダーさん(右)の3人。iPadで写真を見せながら、我が家工房ができるまでと、怪獣作りが始まってからの一年間の足跡を辿る。

でまあ、工房のオーナーたるガイガン山崎さんの語りで始まるんですが、とにかく床山皇帝さんの奇才っぷりを示すエピソードが尽きないんですね。湯水のごとく湧いて出てくる。

インタビューでも語られていた、初対面のときに「怪獣の着ぐるみを来たままチャリに乗って高円寺の飲み屋に来た」一件に始まり、そもそもの初めに卒制の怪獣着ぐるみパーツを自宅ベランダに放置していたら雨水が溜まって階下のヤンキーが怒鳴り込んできた話、見かねた山崎さんがご実家の庭で預かったはいいけど7年間放置されて扱いに困った話、無職になった床山さんが自宅よりも工房の近くにバイトを見つけてほぼ工房から通っている話、もはや家族と見做されて山崎さんのお母様が床山さんの分のフィレオフィッシュを買ってくる話、などなど…。およそ常識を超えた奔放さ、それに戸惑いつつもパトロンとして仲間として見守るという関係性、この2人の風変わりな日常がまずおもしろい。

そしてこの工房自体も、ガレージのようなアトリエ然とした施設なのかなと思いきや、初めはブロック塀を背景に雑草が生い茂る、完全に野ざらしの庭なんですね。冬はあまりに寒くて作業にならないのでウイスキーを飲んで、結果3日のうち1日は酔いつぶれていたり、電気もないので作業はヘッドライト頼りで、夜間はまるで洞窟内の発掘作業だったりとか。さすがに途中で、雨風を凌ごうとブルーシートを張り渡したり、家から電源を引っ張ってきたりと工夫に工夫を重ね、徐々にアトリエになっていく過程も紹介された。

併せて、彼らの作品であるそれぞれの着ぐるみ怪獣たちの制作過程に関するエピソードも。処女作バラモンキング(写真左)こそが、まさにその7年間人の家の庭を占拠していた怪獣パーツをリメイクしたもので、ほとんどがゴミと廃材、それからダイソーで仕入れてきた100均アイテムに手を加えてできたものであることが紹介されました。「顔」のデザインがなかなか決まらないなどの試行錯誤を経て、このツートンカラーに決まったときに我が家工房の作品の方向性が固まったという話も。

彼らの作品作りの話を聞いていると、自分にも共感できる、創作活動に普遍的な「あるある」が次々飛び出してくるんですね。当初の構想とどんどん違う方向に行ってしまったりだとか、ある程度形ができたら仕上げ作業よりもう次のものを作りたくなってしまうだとか。前述の、ウィップ星人がもともとは魚の顔をした全然違う怪獣(怪人)で、あるときインスピレーションのようにして沸いた「鬼」のイメージを元に、ツノを生やして金棒を持たせてみたら完璧にハマった、みたいなエピソードとかも。

一方で、やっぱり常人には真似できない床山皇帝さんのぶっ飛んだ話もガンガン出てきて、初対面の大内ライダーさんの寝室でウレタン(着ぐるみの素材になる)目当てにマットレスを切り裂いた話とか、飲み会に怪獣を着てくるのでツイッターで蟹の目撃情報を辿ると現在地が分かるだとか。四六時中怪獣のことを考えているみたいな、どこか2、3個ネジが外れたエピソードと、アーティストとして創作意欲に火が付いて止まらなくなっちゃうイメージが不思議とぴったりと重なるのです。

トークショーの最後では、編集中の映像作品『我が家ファイト』のプロト版の上映も行われました。これはガイガン山崎さんが精通するという『ウルトラファイト』をモチーフにした、我が家工房の怪獣たちが出演するオリジナル映像作品で、将来的には半年後くらいを目処に公開を予定しているものだそう。海岸で(なぜか)スマホで自撮りをしようとするウィップ星人にジョルジュ星雲人が割り込んできて、殺伐としたバトルに突入する作品!

なんにせよ、誰に強制されるでもなく、自分たちが好きで作りたいものだけを作るんだという、あまりにもピュアなクリエイティビティの眩しさと、それゆえの苦難(お金にならない!)…しかしそれを補って余りある仲間たちの存在と、我が家工房さんの「強さ」と魅力を存分に感じたイベントでした。活動一周年、おめでとうございます。

終演後は、ポンズも壇上に戻ってきて物販&チェキ撮影会。この日初登場のオリジナルデザインのバンダナ(1200円)と、ラバーキーチェーン(800円)、それにラバーリストバンド(600円)が購入できました。今後、Tシャツやステッカーなどを加えてバリエーションを増やしていくそうです。

よくできてます。超かわいい!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?