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自作曲アーカイブ用のYouTubeチャンネルを作りました

これはなに

R-9が11月26日に新たにオープンしたYouTubeチャンネル(アカウント)です。Web上のさまざまな場所に散逸していたり、物理的に取り外されたローカルHDDの奥深くに眠っていたりする自作曲やDJミックス、ライブ映像などを掘り起こして、一元的に管理&公開するためのものです。

なぜ作ったの

わたしは1997年からテクノを中心とした電子音楽を作り、インターネット上で発表してきました。「R-9」と共に自分自身のエイリアス、そして現在は届出上の屋号としても使用している「EPX studio」も、元はといえば自作曲を発表するための、今でいうネットレーベルが発端です。

活動を始めてから20年以上が経ち、作ってきた様々な音の断片が、至るところにバラバラに積み重なってしまいました。アルバムという形でCDなどの物理メディア形態で発表した曲もあれば、いくつかは友人知人の主宰するコンピレーション企画のための曲だったり、あるいはブログ記事などで一時的に公開していたデモだったりします。しかし、これらすべてをオンラインで、まとまった形で聴ける場所はありませんでした。

昨今、多くのインディーレーベルがYouTube上に自らフル尺の音源をアップロードしています。また、今月国内でもいよいよYouTube Musicがサービスインし、YouTubeで気軽に音楽を聴く機会は今後ますます増えていくでしょう。わたし自身も、ちょっとあれ聴きたいなと思い出したときには、録音クオリティや音質よりも手軽さを優先し、YouTubeの検索ボックスで探すことが多くなりました。

そんななか、自分もやはりこのあたりで今までに作った曲を全部YouTubeにまとめておこうと思い立ちました。別になんかの区切りとか、そういうわけでは全然ないけれど。

どんな形で公開しているの

実を言うと、YouTubeに自作曲アーカイブを作ろうというアイデアは随分前からあったのですが、懸念点がひとつ。音声だではなく「動画」である以上、映像をどうしようか…どうつけようかという課題がありました。

せっかくアーカイブにするなら、見映えや使い勝手を考慮してある程度統一されたフォーマットにしておきたいし、かといってすべての曲にジャケットとして紐づけられるような画像があるわけでもなく、都度適した画像を探すのも手間になってしまう。音源のストックはたくさんあるので、アップロードに当たってはなるべく手間をかけずにルーチン化してしまいたい。

そこでちょうどYouTube Musicが始まりました。YouTube Music用にレーベルから公式に提供された音源に関しては、システムで自動的に静止画が生成されるらしく、動画には以下のような画像がつくようなのです。

ジャケ画像が16:9でクロップされて背景になり、その上に一定濃度のグラデ、1:1のジャケ画像とその横に楽曲タイトル・アーティスト名・アルバム名が並ぶ。下辺が黒っぽく余白があるのは、YouTubeのバナーエリアだからでしょうか。なるほどこれは見やすいかもしれない。

なので、見よう見まねでPhotoshopで同じようなテンプレを作ってみた。

フォントは微妙に違うけど、レイアウトはほぼ同じ。1280x720(720p)の画像です。このフォーマットに沿った形で作ってしまえば、あまり悩まずに音源をどんどん動画化していけそうな気がする。

PSDファイルをここに置いておくので、もし同じような用途で使いたいかたがいればご自由にお使いください。

動画の作成は、Windows 10に付属しているWindows Live Movie Makerでやっています。本当はffmpegとかでバッチ処理させるのが手軽なのだろうけど、よくわからなかったのでとりあえず、普通に一曲ずつ作っています。設定に関してはいずれにしろYouTube側で再エンコードされるので、なるべく高画質・高音質で書き出しておく。

そしてYouTubeチャンネルは、Googleアカウントと紐づいていた本名のYouTubeアカウントとは別に、新たに作成しました。調べた限りでは、以前はひとつのアカウントで複数のチャンネルが管理できたようですが、今はたぶんアカウント=チャンネルという扱いなのですね。

どんな曲を置いているの

公開は完全に順不同で、手元に近いところから動画化していこうと思っています。一気にたくさんはできないので、手が空いたときに少しずつ。

ちょっと紹介してみます。

PD (2004)

24歳のときの曲です。すごく音が荒いんだけど、バッキバキに歪んだ直線的なハードテクノに憧れていたころなので、ある程度はわざとやっています。ソフトはAcidのみで、ハード機材で録った一音一音を並べてサンプルベースで組み立てています。

阿佐ヶ谷にあったBASEというちっちゃい小箱で初めて主宰した、同じ「PD」という名前のパーティーのための曲です(意味は特にない)。自作曲のみのDJもやりました。このパーティーのことは昨日のことのように思い出せる。

Pushing The Envelope (2010)

友人のAtsushi Oharaくんが主宰するレーベルLinear(リニア)のコンピレーションCDに提供した曲です。これ、いいジャケ絵ですよね。武器と少女をテーマにした企画で、確か先にラフの絵を預かっていたので、それに合うような攻撃的で無慈悲な音をイメージして作りました。

EPX 40 (2007)

「EPX+連番」という形で発表していた曲は、自分のメインの音楽スタイルのつもりで作っていました。その40番で、2007年の曲です。わたしには音楽で表現したい(言語化可能な)メッセージが一切ないので、タイトルにはなるべく意味を持たせなくないなと思って連番にしていました。覚えられないので、途中でやめてしまいましたが…。

大学時代に所属していたテクノ・ハウス音楽サークルの10周年コンピCD企画に収録されている曲です。この曲は変な曲で、なんかフロアユースのテクノとしても浮いているし、どこかダウナーな音楽です。でもすごく細かいところに凝ったので、ヘッドフォンでよく聴くと左右にいろんな音の断片が聞こえてくるはず。今にして思うと、こんな手の込んだ曲よく作ったなと思います。アウトロもおもしろいよ。

Splendor (2009)

これもLinearのレーベルコンピのために提供した曲。声ネタを効果的に使ったハードテクノに憧れていて、そういうのを目指しました。元気がある。この時代はもうDAWのTracktionの使いかたにもだいぶ慣れて、かなりハイペースに曲を量産していました。

Lunar Rail (2009)

gatearray recordingsの「Presence」シリーズの7番に収録されています。今もけっこう気に入っている曲で、自分としては珍しいタイプのプログレッシブな雰囲気のテクノ。シャキシャキした高音とブレイクのキラキラ感がイメージ通りにハマりました。

曲を作るときは、まずはイントロ部分のようなシンプルなループを組み立てながら、どんどん足し算引き算で展開を考えていくのですが、この曲が化けたのは2:49からの展開を思いついたときです。そしたらフワン!みたいなシンセパッドを置きたくなって、パッドにかけるディレイも4小節めだけ左右にパン振りたくなって、キーも途中でシフトしたくなって…みたいな。ウワモノの音はだいたいRoland SH-201で作ったものをレコーディングして、オーディオトラックとして組んでいます。慣れているシンセなので速い。

作った曲全部ここに置く!

アーカイブを標榜するからにはハンパなことはせず、何から何までアップしていこうと思います。それこそ高校生のころのカセットテープの音源から、これから作っていく曲まで。需要とかはまったく考えていなくて、第一に完全に自分用で、そのうえでもし聴いてくれる人がいればいいなというくらい。なんにせよ、ミームは残しておかないと残らないのだ…。

普段は自分の曲を聴き返すということはあまりしなくて、全然別の音楽を聴いています。ただ、元気がないときには自分の曲を聴く。そうすると、下手で拙いなりにも理想の音を作るために頑張っていたことが思い出されて、エゴが強化されるんでしょうね。昔の自分にパワーをもらうみたいな感じ。こいつ全然下手だし才能ないけどけっこう頑張ってるじゃん、とか思う。

これからアルバム単位で上げる曲については、極力プレイリスト化して、一部はnoteでもまた紹介してみようと思います。というお知らせでした。

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