見出し画像

noteで電子版同人誌を販売してみて

夏コミ新刊同人誌の電子版をnoteプラットフォーム上で販売開始してから、2週間が経ちました(『防水オモチシリコン』|R-9|note)。お買い上げいただいたみなさま、またオススメ機能を使ってオススメ行為してくださったみなさま、本当にありがとうございます! 具体的な数こそ伏せますが、当初想定していたよりもずっと多くを売ることができました。それとともに、電子版のリリースそのものに好意的なご意見を多数いただきました。

今回、そもそも有料note記事の販売自体が初めてだったわけですが、実際やってみてどうだったかというのを書いておこうと思います。

作品をテキスト記事にまとめる

まず、ここでいう電子版同人誌とは、いわゆる同人誌即売会などで頒布する紙媒体の一次創作もしくは二次創作漫画同人誌を、なんらかの形でデジタルデータとして編集したものを指します。ご存じの通り、PixivのBOOTHやDLsiteなど既に様々な二次創作向け電子書籍販売プラットフォームがあるわけですが、それらの多くは購入後にファイル(形式はPDFファイルだったり、連番のPNG/JPEGファイルだったり)をダウンロードしてもらう流れになっていると思います。

一方、noteにはそういったファイルストレージ機能がないので、通常のテキスト記事として作成して、記事中に画像をぺたぺた貼っていく形になります。noteの有料記事では無料公開範囲を自由に設定できるので、ある程度の部分までを試し読みとして提供することもできて、かつ、購入したら何ら別の閲覧用アプリを必要とせず、そのままプラットフォーム上で読めるというメリットがあります。

今回、わたしは自前のレンタルサーバー上に別途連番の画像ファイルを用意して、購入いただいた方には自由にダウンロードしていただけるようにしました。これはあくまでオプショナルなものですが、ローカル環境でも閲覧できるような何かしらの手段を提供することは、悪いことではないように思います。

noteのテキスト記事として作成された漫画作品の場合、ページをめくるような紙と違って、縦スクロールで読む形になるのは致し方ないところですね。漫画に最適化されているわけではないので…。一応、Webブラウザ向けの場合、画像をクリックすることでフルスクリーンで掲載順に画像だけを表示することもできますが(キーボードの←→操作によるページ送りもできる)。

遠くにお住まいの方にも作品を届けられる

今回、電子版をご購入いただいた方のうち、関東近郊以外にお住まいの方の割合が少なくありませんでした(こういう場合あんまり「地方」という言いかたをしたくない)。即売会となると、どうしても地理的な制約がでてきてしまうため、通常は書店委託などを通して通販の体制をとるわけですが、noteを使えばそれよりもずっと早く、手軽にできます。今回は、即売会の翌日から頒布を開始しました。

もちろん、即売会を通して対面で販売する行為自体には何物にも代えがたいメリットがあります。ありますが、そのことによって読んでほしい人に読んでほしい作品を届けるということが制限を受ける必要は全然ないわけで、自分が読者であったなら、たとえ紙媒体がベストであったとしても、一日も早く読めるならデータはセカンドベストの選択肢になりうると思います。

それに作り手としては、何より劣化しないのがうれしい。特に今回制作したコピー本は表紙もないペラペラのもので、これをこのまま通販なり書店委託というのは難しい。物理本の場合は何かと梱包にも気を遣うところですが、電子版はそういった心配はないですよね。

逆に…デメリットを考える

細かいところですが、手数料がかかります。具体的には、売上から決済の手段に応じた手数料(カード5%または携帯キャリア決済15%)が引かれ、そこからさらにプラットフォーム利用料として10%が引かれます(よくある質問より)。個人的にはまったく高いとは思いませんが、他のサービスと比較検討する場合はご注意ください。

また、noteの場合タイムライン形式のため、リリースから日が経つにつれて記事が埋もれがちになってしまうことがあります。例えばプロフィールページのトップに固定しておけるのは1記事のみで、(ダイハードテイルズさんが四苦八苦しておられるように)現状は記事のインデックス性が良いとはいえない環境です。なので、継続的に販売するのであれば他のSNSなりWebサイトなり、独自のプロモート手段が必要になってきます。その意味では、商品ページが固定ページとして専用に設計されているBOOTHとかのほうが強いですね。

工夫したところ

意識して工夫したのは、「記事の見出し画像をちゃんと作る」という点です。見出し画像はいわば物理本の表1にあたる部分なので、それが有料記事であり、かつサークルの作品であることを分かりやすくするためにフォーマットを考えました。

書名・発表年・表1の画像、必要であれば作者名なども記載したほうがいいかもしれませんね。noteの見出し画像は最新の仕様では1280x670なので(見出し画像の比率を変更いたしました|note公式|note)、それに合わせて作ります。

印刷用に原稿にスクリーントーンを使用している場合、画像が自動縮小されて掲載されることを前提に、トーンの箇所はグレースケールにしておいたほうが無難かなと思います。また、前述のとおりファイルホスティングサービスなどにダウンロード版を用意して、購入者へのダウンロードリンクを提供してあげると親切かもしれません。

あったらいいなと思う機能

前提として、即売会にわざわざ足を運んでくださって、なおかつブースに来て手に取ってくださる方は何よりもありがたく、本当はそういう方には電子版をセットで提供してもいいと思っています。実際に音楽などのメディアではそういう売りかたもあって、レコードやCDにダウンロードコードがついているなんていうケースは珍しくありません。なので、noteプラットフォーム上にもSteamのギフトコードのような機能があるといいなと思っています。

あと、右綴じ漫画形式に特化したビューアーがあるともっといいですよね。

◆ ◆ ◆

というわけで、note電子版同人誌、おすすめです。特に増刷や再販の予定がない古い作品や、書店委託でも手に入りにくくなっている作品などは、電子版として販売してみると意外な需要があったりするかもしれません。即売会への愛着はわたしもあって、しかしそれはそれで、届けたい人にいつでも届けられる状態というのも今だからこそ実現できることだと思うのです。気になる方はぜひ始めてみてください!

当サークルの既刊はこちら:


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?