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ザ・リーサルウェポンズのライブに行ってきた

アーニーキ! アーニーキ!
地の底から鳴り響くDX7ベースと共に遂に姿を現した、赤バンダナにティアドロップサングラスのアメリカ人と謎めいたアメフトマスクのギタリスト。MVで見たままの2人が飛び出してきたさまは、フィクションのヒーローが次元を超えて物理空間に現れた衝撃そのものでした。これが見たかった!

この土日、TwitterやYouTubeでもにわかに話題のバンド、ザ・リーサルウェポンズ(The Lethal Weapons)の宇宙初ライブ2DAYSに幸運にも参加することができたので、感想がてらレポートを残しておこうと思います。

ザ・リーサルウェポンズって?

簡単にバンドについてご紹介しておくと、ザ・リーサルウェポンズ(通称「ポンズ」)は今年2019年にデビューしたばかりの2人組のインディーズバンド。オハイオ州出身のボーカル、サイボーグジョー(Cyborg Joe)さん(左)と楽曲制作・プロデュースを担当するトラックメーカーのアイキッド(AI-KID)さん(右)の日米混成ユニットです。

でまた、このアイコニックなビジュアルから繰り出される音楽が、80'sシンセサウンドを基調とした強烈なノスタルジーを匂わせるロック&ダンスチューンなんですね。しかも歌にする内容が「ストIIが好き」「残業がつらい」「ホッピーがうまい」「給料日がうれしい」「ゴキブリがこわい」みたいな、妙にリアルな生活感のあるものばかり。トラックのずば抜けたカッコよさに加え、キャッチーでおかしな映像も相まって、2月からYouTubeでゲリラ的に公開されるMVが一部界隈でじわじわと話題になっていました。

詳しくは、先月noteに書いたこちらの記事をどうぞ。

わたしもここに書いたとおり、もうハマったとしか表現できないハマりかたをしまして…4月1日に出たファーストアルバム『Back To The 80's』(各種配信サイト)を何度も何度も聴いて、で曲中に出てくる\アンパン!/とか\ホッピー!/とかみたいなコールも体に沁みついちゃって、これはもういつかライブがあるなら行くしかないなと思っていたんです。

そしたらなんと、もともとわたしがDJとして参加する予定だったイベントに、ザ・リーサルウェポンズがライブで出演してくださるっていうじゃないですか。その詳しい経緯は次項で触れますが、まあ飛び上がって驚いたよね。嘘でしょ!!!みたいなね。

前置きはこのへんにして、当日の写真とともに様子をお伝えします。

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2019.5.18 「HMC8」ゲストライブ@秋葉原MOGRA

4月19日に告知された50人限定の初ワンマンライブ、次いでそのワンマンの前日に急遽クラブイベントへゲスト参加するという情報が公開されました。それこそが秋葉原MOGRAの「HMC8」。

このイベントはちょっと説明が難しいのですが、敢えて一言で説明するならSFサイバーパンク海外小説『ニンジャスレイヤー』のファン「ニンジャヘッズ」による、ニンジャヘッズのための音楽イベントです。なんで小説の読者がクラブで音楽イベントやってるのよみたいなことは、これもnoteに紹介記事を書いたので気になるかたは読んでみてください(「HMC」をわかりやすく紹介します|R-9|note)。

かいつまんで言うと、この小説の翻訳者のひとりである本兌有先生がnoteの記事でザ・リーサルウェポンズのアルバムを紹介したところ、ニンジャヘッズの間で局地的に、かつ爆発的に流行ったんですね。歌詞にニンジャがたびたび登場するほか、なんといっても『サイボーグメカニンジャ』のサウンドと世界観が完全にニンジャスレイヤーとシンクロしてしまったのだ。かくいうわたしも熱狂的ニンジャヘッズであり、ここでポンズにハマった。

で、おりしも企画準備中であった5月18日のイベントに、われわれの仲間であるところのオーガナイザーのbettyさんが機転を利かせてバンド側に出演をオファーしたところ、快諾いただけたという経緯なのです。すごくない!? 結果として、ザ・リーサルウェポンズの記念すべき世界初ライブのロケーションとして、こんなにもハイコンテクストなイベントが選ばれてしまったというわけ。

イベント自体の感想はまた別のnote記事に書くつもりなので、ここでは大トリのアクトとしてラスト45分に登場したポンズの様子のみお伝えします。

もうなんか、いきなり件の名曲『サイボーグメカニンジャ』での登場なんですよ。めっちゃ盛り上がったし、ジョーさんがマイクを振るもんだからみんなで歌った。大勢のニンジャヘッズと『サイボーグメカニンジャ』歌った思い出は、いずれわたしの走馬灯に確実に入る1カットになりました。

しかしこうして見るとMVまんまのシチュエーションですね。この日はサイボーグメカニンジャMVの監督さん(Candy Manこと神田隆さん)もお越しいただいていて、ライブの最後にジョーさんに紹介されていました。

言ってもワンマン前日のゲストライブなので、4~5曲やってくださればうれしいって感じじゃないですか。アルバムから8曲+ストIIアレンジ『昇竜拳が出ない』+ラストに『サイボーグメカニンジャ』おかわりの計10曲もやってくださったんですね。サービス精神!

MOGRAはいわゆるライブハウスではないので音が取りづらそうなところもありましたが、そんななかジョーさんの場慣れしたパフォーマンスと歌唱力、アイキッドさんの超絶かっこいいギターソロで、アルバムを聴いて頭の中で思い描いていた通りの空間がそこにはありました。お客さんの多くも中毒的に聴き込んでいると見えて、『なんでやねん』の\ウ~…番長!/とか『80年代アクションスター』の\メルギブソン!メルギブソン!/とか、ジョーささんがなにもガイドしなくてもコール完璧だったのが印象的だった。

ジョーさんもアイキッドさんも積極的にフロアに飛び込んで行って、お客さんと一体となって爆音でポンズサウンドを楽しんだ。

改めてすごいなと思うのは、Webで話題になってから実際に物理空間でこんな夢のようなことが実現するまでのスピードの速さです。4月にアルバムが出てそこで知って、翌月にこれですからね。関係者各位の努力そしてフットワーク、なによりもザ・リーサルウェポンズのお2人に敬意を表したい。これ以上ない、最高の初ライブでした。

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2019.5.19 ザ・リーサルウェポンズ初ワンマン@阿佐ヶ谷家劇場

翌日、ライブ2発目はこちらも記念すべきバンド主催による初めてのワンマンライブ。前述の通り、このイベントは一ヶ月前にSNSでご本人により事前告知があったもので、メール受付開始2時間で予定されていた50席を完売していました。わたしもこのライブにはどうしても行きたかったので、仕事の打ち合わせ中に中座してメール送ってようやく取れた。

でね、会場の「阿佐ヶ谷家劇場」って初めて行ったんですけど、阿佐ヶ谷の駅から15分くらい歩いたところにある、ほんとに住宅街のなかの小バコなんですよ。50名限定というのもなんのことはない、キャパがスタンディング50人で、言ってしまえば前日のMOGRAの4分の1くらいの広さ…! このバンドの出発点として、逆の意味でレジェンド級のスケールと言えると思います。

オープニングアクトで登場したサンミュージック所属のトリオ「地球人ズ」に続き、『80年代アクションスター』で登場したザ・リーサルウェポンズ。両手でコルナを組み合わせたポンズ・ポーズももう浸透し始めてる! 50人のオーディエンスのテンションはもちろん\アーニーキ!/の瞬間からベタ踏みで、熱気がすごかった。

写真・動画の撮影OKというアナウンスが初めにあったので、いくつか撮ってみました。少しでもライブの楽しさ、息の合った会場の雰囲気が伝わればいいな。

地下アイドルちゃんのライブなども行っているハコらしく、サウンド的な物足りなさは全然なくて(壁ひとつ隔てた住宅街でこんな音出していいのかと心配になるくらい)、なにより曲の雰囲気に合わせたライティングの演出が完璧でした。『マハラジャナイト』でのミラーボール、『ゴキブリナイトメア』でのドラマチックなホラー演出は特に良かった。

この日は、前日の秋葉原でプレイしなかった『シェイキン月給日』『Super Cub is No.1』『ゴキブリナイトメア』『ホッピーでハッピー』の4曲を加えたアルバム収録曲の全曲、そして『昇竜拳が出ない』を加えた公開済みの持ち曲全13曲すべてを演奏した完全版のセット。お客さんも完全に仕上がっており、まるで初めてとは思えないパーフェクトな双方向のライブでした。

途中、マイクが不調になるなどのトラブルすらもお客さんとの合唱に繋げるパフォーマンスはライブならではのもの。前日に続いてのジャンケンのコーナーでは、ファンメイドのポスターが1名のかたにプレゼントされました。

サイボーグジョーさんはお喋りしながら日本語難しいだなんて仰っていたけど、全13曲あの歌詞をひとつも飛ばさずに歌い切ったのプロフェッショナルを感じたし、かっこよかった。一方でポンズのブレーン、アイキッドさんはライブ中の口数は少ないながらも、暴れ馬たるジョーさんを巧みに乗りこなすみたいなコンビのバランス感覚が垣間見えて、そのへんも良かった。

MCでアナウンスがあったとおり、今後墓場の画廊さんとコラボしたTシャツなどのグッズ展開も予定されているとのこと! 次回ライブについての予告はありませんでしたが、ジョーさんの力強い「また遊ぼう!」のメッセージを信じて、より大きいステージでのライブを楽しみにしたいと思います。

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iTunesランキング1位、ANNオンエア…

で、このライブ両日と時を同じくして、まさにこの数日、急激にザ・リーサルウェポンズがバズっています。わたしの観測範囲では、きっかけのひとつがこの『きみはマザーファッカー』のYouTubeからのMV動画転載ツイート。

これが3万RTとかされて、いわゆるインフルエンサーの人たちの目に留まった結果として、1月末の動画デビュー以来初めてとなる規模で、様々な反響が起こりつつあるようです。iTunesのアルバムランキングロック部門で1位、Amazonのアルバム総合ランキングでも一時2位など、配信サイトの評価の上位に食い込んできているほか、昨夜オンエアの『星野源のオールナイトニッポン』の1曲めに『きみはマザーファッカー』がかかるという快挙も成し遂げました。きみはマザーファッカーからのビタースイートサンバだよ!

ザ・リーサルウェポンズの魅力って、アイキッドさんの才能とかジョーさんの天性のパフォーマーぶりとかいろいろあるんだけど、やっぱMVを見ていて感じられる手作りの質感だったり創意工夫の形跡というような、在野の職人たちの意地・底力にもあるように思います。

なかでも欠かせないと思われるのが、アイキッドさんとジョーさんを引き合わせたというブックマート都立家政店さんの存在。

話によると、お店に集まるいろいろに才能を持った人たち、ご近所さん、そういった人々のなかであれらのMV作品が生まれたのだそう。事実、都立家政にほど近い阿佐ヶ谷家劇場で行われたワンマンでは店長さんが物販に立ち、また売り子さんがご近所とのことから和歌山県の梅農家「岡畑農園」さんがスポンサーについていたりと、イベント自体がインディーズの手作り感そのものだったのです。

曲を聴いたらきっと誰もが行きたくなってしまうザ・リーサルウェポンズのライブパフォーマンス。『ニンジャスレイヤー』ファンイベントへのゲスト出演、そして50人規模でのワンマンに始まったレジェンド…こうなったら行き着くところまで見てみたい!

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