アートダイバーズ・トリコローレ データバランスことはじめ


はじめに

まずこの文章が目に入った全ての方へ感謝を。システム知ってたり「書いてみたい」って興味を持っていただけないとそもそもこの文章が目に入ることないはずですからね。大感謝です。あざす。

システムの布教がちょっと上手くいってるように見えるので、調子に乗って書いてみようと思います。やってることの目新しさ的に考えることがちょっと多いから、システムのデータバランスわかんねーってなことになると思います。自分自身まだよく分かってない。ただ、何回か回してみて細分化してみると、意外とそうでもなくて単純...?と思ったので、自己理解を深める意味も込めて文章にしていこうと思います。
※シナリオフックなどはこの記事には記載しません。色々絵画を見て、いいなって思ったら書く。そんなもんだと思いますし、シナリオの着想は思い付くだけで無限に偉いので、それを形にする助けになればと思います。

そもそも「アートダイバーズ・トリコローレ」とはなんぞや?

TRPGを制作しておられるサークル「抹茶の日」様と共同で制作したTRPGシステムです。詳しくは以下のリンクの3作目
https://dayofmatcha.wixsite.com/mysite/drminion
システムの特徴としては
・3d6+色の能力+技能 で判定を行う
・トランプをPC間共通リソース《色彩》(トリコローレ)として使用する
・実在の絵画をマップとして、絵画に入り込み、内側から絵画を修復する
・マップに色を塗ってその絵画に影響を及ぼすことができる
このあたりでしょうか。
かなり新しいシステムに仕上がっていると思うので是非。どなたでも声かけてもらえれば回します。(手元には4人用シナリオしかないですが…)
自分は主にスキルのデータバランス調整を担当しました。

《色彩》という特異なリソース

早速ざっくりと踏み込んでいくのですが、このシステムをややこしくしてるのは《色彩》(トリコローレ)という部分が大いにあるでしょう。殴っても減る、塗っても減る、ラウンド経過しても減る、敵のアクションでも減る、最悪判定振るだけでも減る...様々な要因で減少しうるPC間共通リソースがこのシステムの大きな特徴であり、データ作成の難易度を上げていると言えるんじゃないですかね。
中でも、ラウンド経過で減少していくのが大きい。と言うのも、4人シナリオの場合は4手番で1クラブ、1人シナリオの場合は1手番で1クラブと、手番の濃度が変わってきます。厄介ですね。しかし、他3種類のリソースは人数が多ければ多いほど急速になくなっていきます。帳尻を合わせるためのスキルが黒合成と黒分解なんですがぶっちゃけどうしたらいいか分からない。あると思います。

ここから先は、データ作成の流れの一例を簡単に説明していこうと思います。

シナリオ作成の流れ

1.人数に応じてセッションを終了させるターン数を決める

まず、ラウンド終了時にクラブが1枚無くなります。そしてクラブは13枚あります。極論言えば、《修復士》は13ラウンド《絵画の世界》でボーっとしてればセッションが終わるわけです。
さすがに絵画修復を生業にしている皆さんはそんな訳にもいきません。アクションでクラブ以外の3種類の《色彩》も減っていきます。
では、大体どれくらいのペースで減るのか?明確に答えはありませんが、自分はおおよそ「1手番に1枚より少し多い」程度なくなるものと思っています。攻撃時のダメージ増加、スキルのコスト、彩色のための消費などが要因です。まぁ、調査とか使わない判定もあるので、シナリオとか構成によるところも大きい。
それらを元にざっくりと考えてみると、
1人なら15-16ターン
2人なら13-14ターン
3人なら11-12ターン
4人なら9-10ターン
くらいで終わるシナリオがいいのかなと思います。
13ターンを越えている分については、黒合成でクラブを生成するなり、ジョーカー使うなりで対応していく感じです。

2.ターン数に応じてセッションクリアまでの手番数を決める

ターン数を決めれば、セッション終了までに行える手番の数も見えてくるはずです。単純に掛け算です。
1人なら15-16手番
2人なら26-28手番
3人なら33-36手番
4人なら36-40手番
これが、行える手番の数になります。
ただし、ここには判定に失敗したり、セッションクリアには関係のない行動をする可能性も大いに含まれていることを留意して設定していかなければなりません。
シナリオの難易度やギミックにもよりますが、大体行える手番の数を0.7-0.8倍程度したものがセッションクリアまでに成功させなければならない手番と思うといいかと思います。
1人なら11-13手番
2人なら18-23手番
3人なら23-29手番
4人なら25-32手番
くらいです。
これを「必要手番数」としておきます。

3.必要手番数を実際のギミックに置換していく

必要手番数が大体決まったら、この数に応じてギミックを設置していきます。
・全てのエリアを彩色する
・全てのエリアを調査する
・出現するエネミー全てを打倒する
ここでは一旦この3つを必要手番数に置換して考えていくこととしておきます。
実際には、調査をしなくてもよかったり彩色しなくてよかったりするところも当然ありますが、大きめに見積もっておけば事故を防げます。どうせならギミック全部踏んでいってもらいたいし。

まずエリアについてですが、これはそれぞれのエリアを調査・彩色することを考えなければならないので、エリアの数×2を必要手番数とします。

次にエネミーのHPの設定です。
これは一概に言いづらいのですが、攻撃では数字が大きい、10以上の《色彩》を消費したものと考えていいと思っています。1回の攻撃のダメージ期待値は大体20点です。(正確には3d6+10=20.5)
個人的には、モブの体力は15で割ったものが大体必要手番数くらいなイメージです。
HP30のモブは、大体1回の攻撃を耐えてくれますが、2回の攻撃はほぼ耐えられません。
ボスのHPは、50につき3くらいで考えておいていいと思います。

以上のような感じで考えた例をいくつか示してみようと思います。
1人用
エリア数:4(必要手番数:8)
エネミー
HP60(必要手番数3-4)
合計手番数:11-12

2人用
エリア数:6(必要手番数:12)
エネミー
HP50(必要手番数:3)
HP50(必要手番数:3)
HP30(必要手番数:2)
合計手番数:20

3人用
エリア数:7(必要手番数:14)
エネミー
HP200(必要手番数:12)
合計手番数:26

4人用
エリア数:9(必要手番数:18)
エネミー
HP150(必要手番数:9)
HP30(必要手番数:2)
HP30(必要手番数:2)
合計手番数:31

概形はこんな感じで作れます。あとはこれに調査項目とか足していく感じです。
これにスキルの上振れ分とか、調査しなくていいエリアとかがある場合とかがあるので、少し強めに作っても多分大丈夫です。
これより下は少し複雑な話です。最悪概形をベースに肉付けしていけばシナリオを作れると思います。
ギミック的なことをしたい人は以下を読んでみてもいいかもしれません。

4.シナリオで縛られる《色彩》の枚数を考える

「シナリオで縛られる」とは、使用用途が確実に限定されてしまう《色彩》で、
・敵を攻撃するときのダメージ増加
・彩色をするときのコスト
に使用されるものは、実質シナリオ上避けることができない要素と考えられます。
なので、エリアに彩色をする回数とエネミーを打倒するのに必要な手番数から「シナリオで縛られる《色彩》」の枚数を考えられます。
例えば、彩色しなければならないエリアの色が「赤・青・緑・黒」だった場合、彩色の用途でシナリオで縛られる《色彩》は7枚ということになります。
クラブ以外の《色彩》は初期で39枚あるので、39からこれらの枚数を引き、残った枚数が、《修復士》達が自分たちで使い道を決められる《色彩》ということになります。
これは必ず出さなければならないパラメータというわけではないですが、あまりにも多く余っている場合は、《色彩》に影響を及ぼす攻撃手段を持ったエネミーを出すのも楽しいかもしれません(後述)

5.エネミーの目標値について

この辺は割とフィーリングになるのでなんとも言えない。ただ、確実に当たるとは言えないような、回避する可能性のある攻撃目標値(13とか14とか)にする場合は、そのエネミーに対しての必要手番数を少し多めに見積もっておくといいと思います。
エネミー側のスキルの回避目標値は、どれくらいの殺意を持って当たるかによるかと思います。このシステムは回復手段がかなり乏しいので、期待値で回避できるくらいにしておいて、判定に対して《色彩》を切らせるくらいの難度でもいいかもしれません。
シナリオ1回のぶっ飛んだエネミー特技とかあると楽しい(後述)

6.エリアの目標値について

初期作成なら大体13-15 難しかったら16
重要な情報があるところは少し低めにしてもいいかも?
初期作成なら単色16/混色15/黒14くらいになると、彩色やその色に特化した人じゃないと塗るのが厳しくなってくるな、といったような感じです。

大体シナリオのデータの作り方についてはこんな感じかなーって思います。ここでできたデータを読み返してみて「あれ?簡単だな?」と思った方。シナリオデータ作成について思っていただけたなら光栄です。シナリオクリアについて思った方、おそらくその感覚は正しい。今回紹介した作り方はどうあがいてもクリアに向かえばクリアできるような難易度で完成する方法だと思います。これはさまざまなところを必要以上に手番がかかるものと見積もっているためです。シナリオによっては、必要なエリアだけを塗る必要がありますし、アタッカー向けスキルを積んでいれば、HP100は5手番で落ちることは普通に予想できます。そもそも期待値5手番だし。なのであくまでこれは骨組みくらいなもので考えて、肉付けをしていくとよいかと思います。
以下に使ったら楽しそうとかのギミック案をいくつか並べておきますね。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

EX1:ギミック案

ここでは「エリアA」という名前のエリアで起こっているイベントや調査内容とします。
「このエリアにいる修復士は以下のスキルを使用できる。」「全ての修復士は以下のスキルを使用できる。」「このスキルは、エリアAが○色に彩色されている場合にのみ使用できる。」みたいなのを追加すれば、使用を縛ったりできます。
使えそうなギミックとかあれば是非使ってください。名前内容改変も全然OKです。
この辺はシナリオのバランスを壊したりする可能性もあります。調整は各自。

タイミング:ムーブ
エリアBに移動する。
(エリアが完全に分断している場合の移動手段として)

タイミング:メジャー 射程:場面 コスト:任意1枚
[コストとして消費した《色彩》の数字]d6のダメージを与える。この攻撃には追加の《色彩》を消費することができない。
(エネミー討伐手段として)

タイミング:常時
あなたが与えるダメージに+[エリアAに置かれた《色彩》の枚数]d6する。
(エネミー討伐手段として)

タイミング:常時
ラウンド終了時に[消費したクラブの《色彩》の数字]ダメージを受ける
(修復士へのダメージソースとして 普通にやると7ターン目終了時に累積30点以上削れるため、解除の手段や回復手段を用意する必要あり)

タイミング:常時
ラウンド終了時に3ダメージ受ける
(修復士へのダメージソースとして)

EX2:エネミースキル案

シナリオ1回クラスの強さを持ってるやつを記載。射程:視界・対象:場面(選択)で飛ばして修復士を絶望に突き落とそう。

回避に失敗した対象×1枚のクラブの《色彩》を捨て札にする。
(回避失敗したらクラブを飛ばす攻撃)

対象のHPを1にする。
(手痛いダメージかと思いきや、対象を場面にすると倒れている修復士を起こす手段にも使えたりする)

対象のエリアの《色彩》を捨て札にする。
(エリアの色リセット。場面(選択)で打つと全てのエリアをリセットできる
エリアの色をはがすタイプの攻撃はその分の必要手数が増加することに注意)

自身の異なるスキルを2つ使用する
(エネミーのラウンド毎のアクション回数を増やす)

次のラウンドではエネミーのアクションと同じタイミングでムーブアクションとメジャーアクションを行う。アクションの内容・対象はGMが決定し、拒否できない。(タグ[#基本]のついたスキルのみ使用できる。ただし、タイミング:オートアクションのスキルは使用できない。タイミング:常時のスキルは適用する。《色彩》は判定強化及びダメージ増加に使用できる)
この際に基本攻撃が使用された場合、対象は【エリアの色】+【感覚】、回避目標値:攻撃の達成値で回避判定を行うことができる。

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