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「じぶん編集」の授業

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美術大学で学生に伝えている、デザインにおける考え方やコミュニケーション、健やかに生きていくための思考方法のまとめ。「じぶん」を再発見する為にどんなことを普段授業でしているかをご紹… もっと読む
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2018年3月の記事一覧

じぶんカメラの話(2)

今回は、前回の授業の続きです。 『じぶん自身を見るカメラ』に続く、『世の中を見るカメラ』の話です。 - - - 「コミュニケーションって、憑依(ひょうい)することだと思うんです」 はい。憑依という言葉が強すぎるのがわかっていながら、そういう表現をいたずらに使いたいだけです。とはいえ、学生の怪訝な表情を察知すると『通じないとマズいぞ』と弱気になり、すぐさま別の言葉で言い直します(笑) 「違う言い方をすると、他の人の視点、すなわち他人のカメラをハックすることとも言えます」

じぶんカメラの話 (1)

人は写真に写るとき、ちょっとでも良く写ろうとします。 笑顔をつくったり、顔が小さく見えるようなポーズをしてみたり。 あれって、誰のための、何のための演出なのでしょうか。後でじぶん以外の人に見られて恥ずかしくないように、なんて対外的な理由として、じぶんを納得させてしまいがちですが、本当はじぶんの写っている写真を見返すのは、本人がいちばん多いのではないでしょうか。 となると、より良く写りたい願望というのは、未来のじぶんが写真を見返したときに、過去のじぶんを肯定したいという気持

面接官に入れ替わる。彼氏に入れ替わる。

数年前、学生が就活をしている時期に、2年生の時に教えていた女の子から連絡がありました。なんでも、その日の午後に東京の大手企業の最終面接があるのだけれど、何を話していいのか、どのように話していいのかが全くわからなくなり、軽くパニックになっているので、できれば会って話を聞いてほしい。ということでした。丁度そのとき僕も東京にいたので、お昼ごはんを食べながら話そう、ということになりました。 「ものすごく緊張してるし、本当に何を話していいかわからないんです。 どうやったら会社に気に入