システムと感情ーエモーショナルデザインを考える

私たち人間は、プログラムコードの塊であるシステムと、感情的な関係を築いている。二次元嫁もそうだけれど、もっと日常的に、毎日、ほとんど誰もが体験していることだ。

インターフェイスの中の感情

感情を感じるとこが第一のゴールの場合
映画を見ること、ゲームをすること、それによって得られる感情的高ぶりが第一のゴールだった場合だ。そのゴールを達成するために必要となるデバイス、例えばテレビのリモコンやゲーム機などは、そのインターフェースを使うことによって感情を動かすことのないような、効果的なユーザビリティがとても重要となる。

目的のためにシステムを使う場合
例えば何かを学ぼうとすることが第一のゴールだとする。その場合に使うシステムにおける感情デザイン、この場合にはユーザをやる気にさせるような、感情に訴えるようなデザインがとても有効になる。

システムと感情の入力と出力

私たちがシステムと感情的関係を結ぶには、大きく分けて3つのパターンがある。以下の「感情」は「ユーザ」と読み替えてもらって構わない。

システム -> 感情
システムによって感情を掻き立てられる場合。信頼感を持たせるデザインや、早くしないとなくなるよ、と焦らせるアラート。

感情 -> システムの修正
自動的にユーザの表情や心拍数を読み取ることによって、システムに変化を加える。例えばゲームでユーザが飽きてきたら、難しくしてもっと遊ばせようとするなど。

感情 <-> システム <-> 感情
メッセンジャーアプリやオンラインコースのビデオ講義。システムの両側にいるユーザがシステムを介して感情のやり取りをしている。

ダークUX

これまで見てきたように、私たちの感情はシステムと日常的に関わりを持っている。つまり、デザインによってユーザの感情を書き立てることが可能である。それが、いい目的で使われるのであれば素晴らしいが、そうでないことも可能となる。例えばギャンブルだ。

ダークといってしまっては業界の方に申し訳ないが、例えば日本で言えばパチンコがいい例だと思う。現代のパチンコの機械はわからないが、私が日本にいた当時は、パチンコのスロットの当たる確率はコンピュータで制御されていると聞いた。当たりそうで当たらない、諦めようかなやめようかな、と思ったところで大きく当たり、そのまま続けてまた次の当たりを待っていても次はなかなか来ない、が一度当たっているのでまたあるかも、と期待してしまう。これはまさに「システム->感情」のいい例だと思う。もしかしたら現在では顔認証などで「感情->システムの修正」も行われているのかもしれない。

ギャンブルほど極端ではないが、例えばホテル予約サイトなどの「あと1部屋しかないよ!」というアラートも、行き過ぎるとダークになるのではないかと思う。ユーザの焦りを掻き立て、本来ではもしかしたら購入しなかったかもしれないものを買わせているかもしれないのだ。

感情<->システム<->感情のダークな例としては、ネット上のいじめなんかがあるだろう。メッセンジャーやSNSを介したいじめだ。

効果的なUXをつきつめるというのは、その最終目的が何であり誰の得になるのか、ということを意識しないと、簡単にエシカルでないものともなりうる、ということをデザイナーとして肝に命じておきたい。

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