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[2] Athens School of Fine Arts (ASFA)|複数の作家

5年に1度の国際芸術祭ドクメンタのアテネ会場を見てきました。いくつか作品を紹介します。急ぎ足で見た場所なので映像についてはほとんど触れられていません。もっと時間をもうけるべきでした…。

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documenta 14
Athens

Venue Number [2]|Athens School of Fine Arts (ASFA)—Pireos Street (“Nikos Kessanlis” Exhibition Hall)
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Ciudad Abierta
Amereida Phalène Latin South América (2017)

チリの港町から30㎞離れた場所につくられたスペースCiudad Abiertaのアーカイブ(?)展示。アーティストや詩人などで構成された集団によってつくられたコミュニティ。ピノチェト政権時代から様々な思想や主義が介入して変容してきた場所のようです。アテネでは主にその歴史に焦点をあてた展示がなされ、カッセルではその場所を構成する人々の経験や活動に焦点をあてた展示になるそうです。

下記フリーズにCiudad Abiertaの記事がありました。現状がどうなっているのかも含め、一度いってみたい場所です。何かしらの理想や思想が成功体験をした後にどのような変遷を経験するのか、その単位が微妙(小さくもなく大きくもなく)であればあるほど興味がわきます。

Bonita Ely
Plastikus Progressus: Memento Mori (2017)

戦争や排外主義が生んだトラウマ的現状と環境汚染を結び付ける大規模なインスタレーション。アテネでは太平洋における植物相/動物相がいかにプラスチックをむさぼりながら進化していくのかというディストピアを見せています。

Olaf Holzapfel
Zaun (2017)

干し草の作品、わらの絵画。東西ドイツを経験した作家の作品でした。境界線(Boundaries)に対するアプローチが作品の中に込められているのがわかります。

Agnes Denes
Echo Chamber: Man’s Life: An Echo (1970/2017)

大がかりな社会彫刻(とされる活動)をNYなどで展開するアーティストの、設計図のようなドローイングの展示。

Sokol Beqiri
Adonis (2017)

コソボの木の枝をアテネの木に接ぎ木するパフォーマンスとその記録。前回のオリンピックで代表国のひとつとして参加できていたのが印象的なコソボ自治区の作家です。アテネで展示されていた映像からは想像できないほどラディカルな(過激な、とこの場合は)映像作品を作っているらしい。

作品名にあるAdonis(アドニス)はギリシャ神話に登場する美男子の名前です。美の女神アフロディーテーと冥府の女王ペルセポネが取り合いをしたほどの美男子。彼はアフロディーテーの嫉妬から不幸にみまわれたミュラーという女性の子どもで、ミルラの木に変えられたミュラーから生まれました。

アドニスを奪いあったアフロディーテーとペルセポネは芸術の女神(ミューズ)の一人、カリオペが主催する下級裁判所にその裁きがゆだねられます。その判決によって決められたルールをアフロディーテーが(美の女神が!)破ったため、アドニスはペルセポネ(冥府の女王)の嫉妬に殺されました。

コソボがアドニスだとしたら。という作品なのでしょう。

Lucius Burckhardt
Works from the series ”Landschaftstheoretische Aquarelle” 

“Why is landscape beautiful?”という問いに対する回答としての水彩画。風景が美しいかどうかについて言葉で回答できるのかどうか。

Bili Bidjocka
The Chess Society

多数決でチェスのコマを進めていくタイプのゲームが展示されていました。1500年ほどの歴史を持つとされるチェスは古代インドからペルシアを経てヨーロッパ諸国に知れ渡り、当たり前のようにアメリカや各地で遊ばれるゲーム。駒のモチーフからもわかるように盤上では制圧や戦略が繰り返され、そりゃもういつの時代においても批判や問題の対象とされる物事のメタファーとして使われますよね。

Angelo Plessas
Experimental Education Protocol, Delphi (2017)

この作品を通じて覚えているのは、人が集まりそれぞれが流動的な役割をもって表現ないしはそれに準ずるアウトプットのきっかけを作る、ということに対する期待というか。

Bouchra Khalili
The Tempest Society (2017)

これはもう一度見たい。実は私は10分ほど流し見をしただけでしたが、どうやら重要な作品らしい。

María Magdalena Campos-Pons and Neil Leonard
Matanzas Sound Map (2017)

キューバのアテネと異名のあるMatanzasのバーを模した作品。

Artur Żmijewski
Glimpse (2016–17)

難民キャンプのドキュメンタリー映像。私はあまりいい気分がせずにすぐこの映像は去ってしまいました。

最後にASFAの外壁にあるドローイングをいくつかご紹介して終わります。

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