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[9] Archaeological Museum of Piraeus | Collective Exhibition for a Single Body

5年に1度の国際芸術祭ドクメンタのアテネ会場を見てきました。いくつか作品を紹介します。

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documenta 14
Athens

Venue Number [9]|Archaeological Museum of Piraeus
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Collective Exhibition for a Single Body

赤いメトロの終点にある駅Piraeusは様々な島に向かう船の出る港。観光客や、それを目当てにしたお商売で賑わいます。古代ギリシャの海軍基地としても栄えたこの場所は、ヨーロッパ最大かつ世界第2位の旅客港で、現在は中国がその管理・整備・開発の権利を購入したとニュースにありました。 

港から少し町中に足を踏み入れると見つかる博物館でパフォーマンスの展示が行われていました。金土日と正午から2時間半だけという短い時間ですが、博物館全体を使ったパフォーマンスが、逆に、これだけ長い時間上演できているのは驚くべきことかもしれません。

私が見た回は3名のダンサーがいました。同一の展示部屋の中で、観客がいたるところに立ったり座ったりしている中で、3名はそれぞれ別々の動きでパフォーマンスを行っています。振付は複数名のコレオグラファー(振付師)やダンサーのコラボレーションとして作られました。体はいくつかの部位(手足、筋肉、内臓)に分けられ、それぞればらばらに動きを割り当てられ、スコア化(振付の楽譜のようなもの)されます。ダンサーはスコアを元にパフォーマンスを行います。

即興で選択された振付でパフォーマンスをしているように見えました。お行儀のいい観客は静かにおとなしくベンチに座って鑑賞しますが。例えば子どもはダンサーに近寄り顔を覗き込みます。カメラを持ってダンサーの周辺を動き回り最良のアングルを探すおじさんもいます。カメラは持たなくても、とにかく様々な場所でパフォーマンスを見ようと動き回るような私もいます。ダンサーはそうした環境を振付に取り込むでもなく無視するでもなく、身体の集合体としてその場の環境になっているようなパフォーマンスでした。

博物館に展示されている歴史的価値の高い胸像は手足が無くなっているなど不完全な状態で展示されているものがほとんど。その間でバラバラの身体としてパフォーマンスが行われていると、時々胸像の欠けた身体とダンサーの身体の振付が重なる瞬間が、あるような気がするのです。

昨今、なんとかコレクティブという集合体が増えて(目にする機会が増えて)います。構成するメンバーが多様であることやそのフレキシビリティから様々な期待を持って考えることが多くなりました。地域のコミュニティもそうですが、機能や能力が集まった塊というものは、そのバラバラさに魅力や希望があったなということを再認識するきっかけになりました。同時に、いわゆるレガシーというか遺跡ほど古い半分死んでいるかのように扱われる対象も、集合体と隣接することで生き返るかもしれないことを想像させるパフォーマンスでもありました。

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