39.Xデー②エホバを捨てる

家に帰ると母は私に『隠しているものを全て出すように。』と言いました。

私は淡々と家と車の中に隠していたものを全部自分から出しました。

『3度目の正直』とはよく言ったものです、
母に昔から植え付けられた『3回ルール』がここで私の中で通用するとは。

私はもう20歳、成人した大人だ、もう架空の神が敷いたレールの上を走る人生は嫌だ、
今日私は『自由』への一歩を自分の足で踏みだせるかもしれない。

全部母の前に広げ終わって、母は『で、どうするの?』と私に聞きました。

私は自由になりたかったけれど、母の期待を裏切って失望させてしまうことは怖かったです。

でももう私は戻れないし、そもそも私の中にはエホバへの愛なんてものは存在しない、
自分に嘘をついて生きるのはもうしたくなかったのです。

私は勇気を振り絞って『捨てない、エホバの証人を辞める。』ときっぱり母に告げました。

『それはエホバを捨てるってこと?』と母に聞かれたので『そう。』と答えました。

母はさっきまで奉仕に行っていたはずの正規開拓者の娘の口から『エホバの証人を辞める』『エホバを捨てる』と聞いて、どう感じたでしょう?

母に初めて鞭ではなく素手で頬に平手打ちをされました。

母の怒り、悲しみ、絶望がすごく伝わる、びりびりと痺れのある痛さを忘れることはできません。

でも私は『正規開拓者を辞める』ではなく『エホバの証人を辞める』とはっきり言えたのです。

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