53.彼を利用してしまう

エホバの証人が『罪』とカテゴライズする中で『排斥』決定となる大罪は3つあり、
『偶像崇拝』『血の誤用』そして『性の不道徳』です。

私の中ではずっと排斥処分を希望しているので『大罪を犯す方法』を考えていて、
私が知っている排斥された人のほとんどはやはり『性の不道徳』が原因だと『若い人は尋ねる』という書籍をもとに聞かされていたので、

ひとりの若い人間としてはやはり『性』がいちばん手っ取り早く、
エホバの証人でない人と交際して婚前交渉をすれば、絶対免れないれっきとした排斥理由になる、というのが頭にありました。

だからといって彼を利用してやろうと思ったことは一度もないですし純粋に彼と結ばれたいという気持ちはもちろんありましたが、

付き合う=婚前交渉もする仲と考えるとこれは結局目的のために彼を利用して大罪を犯すことになるのでは、
彼の心を傷つけてしまわないかと考えた自分もいました。

彼に自分の葛藤を打ち明けると彼は
『ERIEがエホバの証人を辞めたいと思うのなら、俺を利用してくれてかまわない。』
とまで言ってくれた心の広すぎる人でした。

7月末に出雲へ一泊旅行することが決まり、前日に突然母から着信が入ります。

2ヶ月程全く連絡を取らなかったので変わりはないか、元気にしているかとの電話でしたが、
私はそこで『本当にエホバの証人を辞めたいと思う、今お付き合いしている人がいる。』と母に告げます。

母はなんとなく予感はしていたのだと思います、
それほど驚いてはいませんでした。

けれど母は事実を受け入れることができなかったのか、電話は途切れてしまいました。

私はその出雲旅行で彼と一線を超えました。

もう後戻りはできないと思いましたが、私から母に連絡するのはとても躊躇してしまい、
排斥処分を希望してもK会衆の長老たちの連絡先は全てメモリから消してしまったので、しばらくどうしようもできない状態が続きました。

彼が『エホバの証人としては自然消滅でもいいのでは?』と言ってくれたこともありましたが、

私はもうエホバの証人として籍が残るのは絶対イヤだと思っていましたし、
彼と一生生きていくにはケジメをつけたいと思っていました。

その年の年末年始に彼の自宅へ泊らせてもらうことになり、私は初めて彼のおかあさんとお会いします。

彼はおかあさんに私がエホバの証人であるけれど辞めたいと思っていることを事前に話してくれていて、おかあさんもなにも言わずに私を受け入れてくれました、
おかあさんにも私は頭が上がりません。

彼の弟さん夫婦や従妹にも話す機会があり、
弟さんの奥さんは『なんだそんなこと。深刻な顔で話し始めるからニューハーフとかカミングアウトされるのかと思った。』と笑ってくれて拍子抜けしてしまいすごく安心したのを覚えています。

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