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楽しかったときの話をしようか

最近、大好きな和也さんという大切な恩師が亡くなった。
USJの森岡さんじゃないけれど、せっかくなので苦しい話でも悲しい話ではなく、楽しかった時のことを残そうと思う。

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和也さんと出会ったのは、3年半ほど前のことだった。

それは、「君の変態を支援」がキャッチコピーの海外インターンシップに謎の勢いで申し込み、事前研修という名の一日ビジネス詰め込み研修を受講するために大阪に向かった時のこと。

前日に大阪に住んでいる姉のアパートに泊めて貰ったのは良いが、私が「武者修行の研修に行ってくる」なんて言うもんだから、当日も会場の近くまで送ってくれたものの、「え、それほんとに大丈夫なん?なんかやばい気しかしないんやけど」と最後まで心配してくれてた姉に手を振って研修会場に入ったのが懐かしい。


受付の人も髪色すごいし(実はむちまるさんだった)、参加者もキャラ濃い人ばっかやし、平凡な私は「絶対違う、間違えた」と、会場に入って10分くらいで気がついた。


研修は8時間だか9時間だかの長丁場で、講師として現れた和也さんはとにかく愛妻家で生まれたばかりの息子を宇宙で一番溺愛しているちょっとイケメンなクソ熱い男だということだけは伝わってきた。もはやビジネスのことは多分2割くらいしか理解してなかった。


今思えば謎の行動力だったなと思うけど、その研修から3ヶ月後にはベトナムにいて、新規事業立ち上げインターンを経験し、和也さんにズタズタにフィードバックをもらいながら2週間でなんとか新規事業を形にするところまでたどり着くことができた。

ただ、2週間を経て、ただただ遣る瀬無い、悔しい気持ちが残った。


もっと頑張れたのに、私は何も得ていない。そんな気持ちが自分の背中を押し、和也さんの会社でインターンをすることを決意する。その時は2年間も働くなんて全く思ってなかったなあ。


なんて、出会った頃のことを思い出してると、その後のいろんな思い出も次から次へと浮かんできた。


例えば、和也さんによく「えりっくはおじさんたちの癒しだね〜え」なんて言われた。「今日だけだぞぉ、えりっくにはいつも癒しをもらってるからね」なんて言いながら毎回露天のフォーをご馳走してくれたのも、懐かしい。全然「今日だけ」じゃなかったし、今思えば和也さんなかなかのおじさん発言すぎて笑える。


研修で金沢に来てくれた時、「お金あげるからおかし買ってきてよ」って言われて「なんか子供みたいですね笑」って言ったら、「武者生はみんな俺の娘息子だよ」って言われて、そんなさらっとかっこ良い事言わないでくれよって1000円握りしめちゃったよ。


ベトナムでコーヒーのお使いを頼まれた時、わたしがカフェでテイクアウトで購入したコーヒーの紙コップが耐熱性なさすぎて、和也さんの元に届けるまでにふやけてダメになった時は、呆れた顔をしながらも、どこか「えりっくだから仕方ない」感が表情に出てて、むしろそれが地味に悲しかった。

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わたしが日本でのインターンがなかなかうまくいかず、「モチベーション下がり続けてる」という相談をした時は、謎にいい男と呑んだくれになってカラオケに行くことを許された。

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なんか思い出したら和也さん本当に面白かったな。
最初はあんなに怖いと思ってたのに、
最強で最高のCEOやったな。


いつでも「えりっくはえりっくのままでいい」って言い続けてくれて、「えりっくは良い男と幸せになるんだよ」ってなぜかいつも恋愛のアドバイスくれてw、考え方や価値観を無理に変えようとすることは1秒もなく、わたしが幸せになるための方法をいつも一緒に考えてくれた。


常に相手にベクトルを向けて相手のために全力で向き合ってくれる和也さん、素敵すぎたよ。


なんやかんや3年半くらい一緒にお仕事させてもらったりご飯に連れて行ってもらったりするようになるのだけど、明らかに体調がどんどん悪くなって突然生涯終えてしまうんだから。


訃報を聞いてから悲しむ間もなく仕事に行き、仕事中もふと思い出して手が止まるけどそれを揉み消すように仕事を再開して、それでもすぐ考えちゃって、お昼休憩の時にFacebookでみんなの想いを読んでふと涙目になって。

信じられなかったし実感なさすぎて涙もちゃんとは出てこなかったけど、ようやく「あ、もういないんだな」って思えてきちゃって「受け止めるべき現実」がやっと見えてきた。かな。

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USJのマーケターの森岡さんが、阪神淡路大震災の時に優秀だった友人を亡くして、こんなことを言っていた。

「せっかく生まれて来たのに、何も達成せずに死ぬのは、どんなに悔しかっただろうな。生き残った自分がなあなあに仕事をしていいのか。」

和也さんからは計り知れないくらい、たくさんの考え方や知恵、価値観、そして愛情をもらった。

自分が生きている限り、和也さんのDNAは生かしていきたい。
教えてもらったことを生き残ったわたしたちが受け継いでいきたい。

振り返って改めて、愛妻家で生まれたばかりの息子を宇宙で一番溺愛しているちょっとイケメンなクソ熱い男だけど、誰よりも武者生(インターンの参加者の総称)を愛していて、誰よりも周りの人のために生きる、かっこよすぎる恩師だったなと感じたのでした。


そしてわたしはきっと、これからもしんどくなったり全てが嫌になって丸投げしたくなった時は、しっかり「何もしない」を全うしていくんだろうな。

だって和也さんにお許しもらったんだもの。



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