学習障害という「現実」を受け入れた親御さんは、その子の本当の"味方"になれる

その子と一緒に勉強をしたのは二十数年前のことです。とにかく乱暴で、塾に来てもほとんど勉強することはなく、ただただ周りの子供たち(当時は小規模な集団塾でした)を威圧するような子でした。2年近く通ってもらい私なりに手を尽くしたのですが、あまりにも変化がなかったので、結局こちらからお断りしました。

今思えばあの子は、ADHDだったのかもしれません。今のように「学習障害」が認知されていなかった時代、北海道弁で言うところの「手あまし」をしてしまったのです。

最近はかなりの頻度で学習障害を持つ子供たちに出会うので、私もあの時よりは辛抱強くなったと思います。

学習障害のお話の前に…

学習障害とは関係なく、子供にはそれぞれ違いがあり、その子によって情報の入り方が違います。その「入り方」を教える側が見つけられれば、学習の効率が格段に上がります。なかなか情報が頭に残りにくい子も、ある時突然できるようになることがあります。結構難しい考え方だとしても、「それがその子なりの情報を定着させる術」という場合があるからです。そこにたどり着けさえすればいいのだと思います。

学習障害だと気づけないと、つい子供を責めてしまう

最近は入塾するにあたって、「ウチの子は学習障害かもしれない」とおっしゃる親御さんが結構いらっしゃいますが、障害ではなく、「単に自信を失っているだけ」という子が多く、自信さえ取り戻せれば、それなりの成果が出てきます。

逆に、学習障害を抱えている子の親御さんの多くは、自分の子供に障害があるということに気づいていなことが多いです。そういう私も、学習障害なのか、その子がただ努力を惜しんでいるだけなのか、一緒に繰り返し勉強してみないかぎり、見分けることはできないのですが…

学習障害があることに気づいていない親御さんは、成績が伸びないことで子供を責めてしまうことがあります。障害が大きい場合、「次回までにこのページをやってくる」と約束しても、約束自体を全く忘れてしまうことがあります。本当に「全く」です。何度繰り返し「やってくるように」と言ってもです。「それがその子の限界」という場合があるのだと思います。このような場合、今目の前では理解できているのに、次回塾に来た時には全く忘れてしまっています。

現実を知ることで、親は本当の"味方"になれる

「少しでもいいので、毎日一緒に勉強してあげてください」

学習障害があるお子さんの親御さんに対して私は、このようにお願いしています。毎日一緒に勉強すると、繰り返しによって記憶に定着する確率が高くなるからです。でも実は、このお願いにはもう一つ、重要な目的があります。

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