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迷ったけど これについては記録しておかないといけないと思った…アンコールのあの曲の時(2021/9/19・宮城)

思い返せば2019年の2月から始まった前回のツアーは、ここ 宮城県の東京エレクトロンホール宮城で初日を迎えました。この楽曲についてDeanさんが一時封印を語った忘れられない思い出の地。ここで再び忘れられない思い出ができるとは…(ツアー開催中のため曲名はあえて差し控えます)

【Deanさんにとって大切な曲】

それはDeanさんにとって大切な1曲。台湾で音楽活動を始めることを決意した頃の「初めて作ったと言っても過言ではない古い曲」。Deanさんはこの楽曲について「ライブでこの曲を演奏できるのは自分にとって特別な事で、大切にしたい。心の中に録音、録画機能があったらしたいくらい思い入れのある曲です。是非イントロのギターのリフを静寂で楽しんで頂けたら嬉しい。そのかわり、歌が始まったら今日一番でっかい声で歌って下さい」と言っていました。(Oricon Music 2019.3.30 前ツアーの日本公演最終日の記事)

https://www.oricon.co.jp/news/2132539/amp/?__twitter_impression=true

【鳴り止まない手拍子】

本編が終わり、まずバンドメンバー、続いてDeanさんが舞台を降りると、会場は割れんばかりの拍手に包まれました。感染症対策で声援が出せない今は、拍手でしか感動や思いを伝えることができません。そのうち拍手はアンコールを期待する手拍子に変わり、Deanさんがアンコールで現れると再び割れんばかりの拍手が響き渡りました。

Deanさんが 中央のスタンドマイクの前にギターを構えて立つと、しばらく拍手が鳴り止むのを待って会場は静寂に包まれました。

静寂を確認するような数秒を経て、Deanさんが今日初めてギターの演奏を始めます。ギターの力強いリフが鳴り響きます。

しばらくすると どこからともなく会場から手拍子が沸き起こりました。

するとDeanさんは4回目のリフで演奏を止めたのです。

戸惑う観客…。しばらくして ここで何故か観客からの手拍子がどんどん大きくなります。Deanさんを応援するかのような力強い手拍子に。

Deanさんは戸惑ったかもしれません。しばらく手拍子が鳴ったままでした。

そこでDeanさんは手でバツを作って合図をして観客は拍手で応えたように見えました。再び静寂が訪れるまで待って、Deanさんのギターのリフが始まりました。

ところがギターのリフが始まると、再び どこからともなく手拍子が沸き起こりました。さっきよりは小さく。でもそれを聴き逃すことなくギターのリフはまた同じ所で止まりました。会場から少しの笑い声とどよめきが聞こえました。

【心で聴いて】

Deanさんは胸をゲンコツでトントンしながら、「みんな」と呼びかけます。その声はマイクに入っていない声(実質2列目なので私からは聴こえました)。

今度ははっきりとマイクを通しての声が聞こえました。

「みんな、心で聴いて。」

観客は少しザワザワした後 拍手を送りました。

「最後に思いっきり でっかい拍手 貰えれば嬉しいです!」とDeanさんは続けました。

しばらくすると静寂が訪れましたが、Deanさんはギターのリフから繰り返す事なくリフと同時にいきなり歌い出しました。つまりさっきまで弾いたリフを飛ばして歌の部分から始めたのです。そしてこの時も完全に静寂にはならず、ごくわずかにパラパラ手拍子が聞こえる会場内に於いても 最後まで演奏を貫きました。

そして、演奏後は今日一番の大きな拍手に包まれて、DeanさんはガッツポーズをしながらYAMAHAのアコギを掲げました。

緞帳が閉まる時は「ありがとう宮城!」と満足そうな笑顔を見せてくれました。

【新しい実験の始まり】

ところで初日の埼玉でもこの曲の最中、手拍子をする人は見受けられました。アンコールを求める手拍子がその流れを作ったように感じました。演奏後のガッツポーズはなく、Deanさんは演奏後に少し放心したような表情を浮かべ、その後、笑顔を見せながら「ありがとう」と言って埼玉の緞帳は閉まりました。

聞くところによると、その後の福岡公演、岡山公演でも手拍子はあったそうです。

そうなると、この宮城でのDeanさんの意思表示「心で聴いて事件」は、新しい実験が始まったとポジティブに捉えることができるかもしれません。

2019年までのライブでは、この歌については、ギターのリフは静寂をもって聴く。そして ギターのリフ以外の歌う箇所は、観客みんなが声を合わせて歌うアンセムのような楽曲でした。でも今回 観客は歌うことができないから、今まで以上にじっくり聴くことになります。

何十回 何百回 この楽曲を聴いてきたはずなのに、この歌の持つエネルギーや瑞々しさは時を経ても色褪せない。この曲を基に 成熟させた新たな曲を2020年にリリースしてたとしても オリジナルの持つ存在感は他を寄せ付けないものがあり、Neoとは違った役割を担った上で Deanさんを輝かせています。

静寂の中で、この曲を最初から最後まで通して生で聴く事で、私は改めてこの楽曲と久しぶりにじっくり向き合う事ができました。この歌の圧倒的な力強さに今までになく感動しています。それはまだ何者でもなかった頃のDeanさんの魂の叫びのように聴こえて、いつまでも私の身体の中でリフレインしているのです。

2年振りのツアーで、初めてDeanさんのライブに参加している方、静寂を忘れちゃった方、お付き合いで参加している方、色々な方々がいますが、みんなに楽しんで頂けたらと思います。

そしてDeanさんが 再び静寂の中で、魂を込めたパフォーマンスができるような環境を作りたいと思いました。最後のガッツポーズととびっきりの笑顔を目に焼きつけたい、そんな Transmute がきっとできる!そう願っています。

だから、アンコールは手拍子なしで、ね。