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ここにいるあなたと 新たな星座の物語〜  DEAN FUJIOKA Live 2023 Stars of the Lid at 日本武道館 2023.9.23


プロローグ~"もっとでっかい物語"への道


DEAN FUJIOKA さん初の日本武道館Liveが実現した。

前回のツアー「Musical Transmute Tour 2021」から約1年9か月。
それはコロナ禍で、観客が声を出さなくても楽しめるよう、Deanさん自ら脚本を書いた戯曲の要素が盛り込まれた見ごたえのあるミュージカルだった。

そのツアーの中で、20公演中12公演目の熊本公演以から突然に、ファイナルまでの毎公演、Deanさんは「もっとでっかい物語」を口にするようになった。
「次は、”もっとでっかい物語”で一緒に遊ぼうぜ!」というように。

”もっとでっかい物語”???それが何なのか、その時はわからなかったが、少なくともそのうち1つが、自身初の日本武道館公演だろうと わかって約半年、ついに たった一度の、一夜限りの夢の公演が実現した。

日本武道館と言えば、日本のミュージシャンにとっては聖地と言われる。
だけどDeanさんは、日本武道館を目指して音楽を続けてきたわけではなさそう。どちらかというと、これまでのDeanさんの言動からは、武道館への特別な思い入れはあまり伝わってこなかった。

ところが蓋を開けてみれば、この日本武道館Liveは、日本でのDeanさんの音楽のキャリア10周年を記念するに相応しい、大きな意味のある金字塔を打ち立てることになった。

観客にとっては、コロナ禍を経て久しぶりの「声出し解禁」、心の距離を縮める一夜となっただろう。
さらに、ブロックで区切られた1階南の関係者席では、Deanさんのご家族をはじめ、各界で活躍する新旧の友人たちが数多く見守り、Deanさんにとっては、今の実力を内外に示すと共に、感謝を伝える絶好の機会になっただろう。

音楽キャリアにおいて歴史を更新し、それをみんなが目撃し証人となることで、名実ともにHistory MakerとなったDeanさん。
ここから始まる「新たな物語」がさらに楽しみとなる一夜限り、一度きりの武道館公演となった。

Set List

01. Final Currency
02. Apple
03. Searching For The Ghost
04. Plan B
05. Spin The Planet
06. Runawy
07. Teleportation
08. One Last Sweet Talk
09. Shelly
10. Sukima
11. Echo
12. Sayonara
13. My Dimension
14. History Maker
15. Permanent Vacation
16. Stars of the Lid
<アンコール>
17. Priceless
18. Showdown

地上の星座たち

01.Final Currency


初めての武道館。
始まる前からアリーナから2階のてっぺんまで色とりどりのペンライトが揺れている。
当日券も売っていたけど、一応、一般の客席はてっぺんまで まんべんなく埋まっているように、私の位置(2階南前方)からは見えた。
祝賀ムードに包まれて華々しくお祝いする気、満々だったが、それを良い意味で裏切ってきたのが、その意外性に惹きつけられたオープニングだった。

暗転した舞台、宇宙や星空を連想させる客入れの音楽がしだいに重々しさを帯び、やがて不穏な空気を纏う 「Final Currency」のイントロになった。
聴き慣れたイントロに、この時を待ちわびた大きな拍手が重なっていく。

舞台上を聖書に例えれば、まるで何もない暗黒から始まる、天地創造のようだ。

やがて、スポットライトが斜めから当たりはじめ、舞台の中央を照らし出す。
そのうち舞台上の四角く切り取った穴、奈落から、せり上がってきたDeanさんが姿を現し、歓声が沸く間もなく、不意にラップを歌い出した。
「だからさ、これがぼくにとって幸せ…」と。

あわてて双眼鏡で確認すると、驚くことにDeanさんは黒い目隠しをしている!そして手は縛られていない事を確認(笑)。
目隠し…おそらくうっすら見えているんだろうなとは思うけれど、この小さな小道具による演出には、ドキリとさせられた。

でもよくよく考えれば、この演出には覚えがある。

このような想像力をかきたてるオープニングは、芝居の要素が入った前回のツアー、”Musical Transmute Tour 2021” の演出を彷彿とさせる。

あの時のオープニングの1曲目、Neo Dimenseionを振り返ると、まず緞帳が開き、中央にDeanさんが立っていても、1番は顔が影になって見えないように照明が配置されており、曲が2番になるまでDeanさんの顔をハッキリと確認することはできなかった。

そう考えると、観客の集中力を惹きつける導入の儀式的な位置づけとしては共通性を感じた。

目隠しのままラップをたたみかけるDeanさん。
衣装はピカピカ光るイルミネーションを散りばめたように輝く、赤紫色のロングジャケットだった。中は上下 白色のセットアップのようだ。

初めての武道館で、わー!きゃー!楽しーい!と、”Teleportation”の曲調のようなオープニングを想像していたのを180℃裏切り、これには驚愕、やられた、さすが、「あーあ。」ため息しか出てこなかった。

「Final Currency」の間奏では自ら目隠しをはぎ取った。
知っているんだけれども、改めてその美しい顔立ちに驚き、心を鷲掴みにされた観客の、地響きのように湧き上がる拍手と歓声が沸き起こった。
硬い表情を崩さないDeanさんは俳優の顔をしている。

コロナ禍を経て、久しぶりに湧き上がるみんなの歓声!それがこの大きな舞台、武道館であることが、なおさらドラマティックだ。
色とりどりのペンライトの灯りが揺れるなか、両手を広げて立つDeanさんの姿に、観客はすべてを委ねる思いで見守っていただろう。

そして歌詞の最後、「Time, time is fainal currecy…。」このリフレインが、高まりゆく心臓の鼓動のように、より切実さが増してくる。
Deanさんにとって文字通り、時は金なり。
いや、金よりも時のほうが貴重。
命の次に大切なのは…時間。
自分の命をこれから、どう使っていくのかを聴く者にも問い正しているかのようだった。

そういえば、Deanさんは「求められる」多忙な仕事の合間で、命を削り時間を使って、楽曲を作り続けることを選んでいる。
「締切が原動力になる」と正直にインタビューでは答えている。

Deanさんの音楽に何度となく救われてきた人は、私を含め多くいるだろう。今日、この日、この時、自分にも家族にも色々な準備をしてここに来れて、Deanさんと同じ時を過ごせて本当に良かった…。
これからも、Deanさんが音楽を作る道を選び続ける限り、ついていきたい!と改めて誓った1曲目だった。

02.Apple


「Final Currency」 の衝撃から途切れることなく「Apple」のイントロへ。
切迫感あるヴァイオリンの音色にどよめく観客。
今回のツアーから初めてヴァイオリンがバンドに加わったが、やっぱり生のストリングスは楽曲の表情をより深みのあるものに変える。
この1~2曲目の流れ、想像もできないスリリングな展開にワクワクした。

「Apple」は今年6月に開催されたFantasy On Ice 新潟・神戸のアイスショーで、田中刑事さんと華麗にコラボした事が記憶に新しい。

それまでは、Deanさんが主演したドラマ「パンドラの果実」のオープニングを飾った曲というイメージだったのが、FaOI 新潟・神戸で、この楽曲はもっとカッコよく華麗なイメージに Transmute した。

スタンドマイクの前に立ち、冷酷なまでに淡々と響く前半のラップ。
それがサビに差し掛かると、Deanさんの豊かな歌唱力でくっきりと美しいメロディラインが浮かび上がった。

後半では「Sing!」と観客へマイクを向けたDeanさん。しかも「もう恐れることはない」の下りで。え?ムチャぶり?今ここですか?歌いますか!?結構早口で ムズいんですけど、Boss!(笑)!
「Apple」のDeanさん、熱かった!
アイスショーで田中刑事さんと揃って観客を熱狂させた、おなじみの最後のポーズも、カッコよくきまったところで、大歓声と拍手が沸き起こった。

03.Searching For The Ghost


不穏なホーンとドラムスがイントロで鳴り響き、サビから入るという武道館Live専用のショート バージョンの編曲。
重低音を体全体で受け止めるのが心地良い。

Deanさんの声は、この日のために調整してきたと思うが、めちゃめちゃ良い。歌える身体にTransmuteしていま、第6形態。

スタンドマイクからハンドマイクへチェンジしたDeanさんのパフォーマンスに誉獅子雄が見え隠れしていた。

04.Plan B


前曲を終わらせないまま畳みかけるようにPlanBに繋がり、こちらも武道館専用のショート バージョンの編曲に思われる。
途中のWow Wowから入るアレンジで前曲とはメドレーっぽくなっていた。
花道を歩いてくるパフォーマンスに、ただただ見入ってしまった。


今ここにいる星座たち

05.Spin The Planet


重い楽曲が4曲も続いたのは、Liveをより玄人好みでレベルの高いドラマティックなものにしたいとの意図が感じられたが、今度は一転、地上から天上へ引き上げられ、暗黒時代が終わったかのような選曲、みんな大好きな 「Spin The Planet」。

イントロが始まると、急にモノトーン画面からカラー画面になったように会場が華やぎ、今までの緊張が解け、イントロではようやく笑顔を見せたDeanさんが初めて語りかけた。

「武道館のみんな!今日は来てくれてありがとう。最後まで楽しんで行こうぜ!Spin The Planet!」Liveでの喋り、DeanさんらしいMCがとにかく懐かしくて自然と笑顔になる。

歌が始まると同時に、Deanさんは指を、客席ではペンライトを、くるんくるんとSpin(まわ)し出す。アリーナから2階のてっぺんまで色とりどりのペンライトに彩られる。「Yeah!」のところでは一斉に突き上がるペンライトたち。サウンドのアレンジが原曲とあまり変わっていない点もホッとさせる。

間奏では「ブドーカーン!(武道館)」とDeanさんの声が響いた。

「See the tears…」のところで床にしゃがんで歌うスタイルは ”Musical Transmute Tour“ を踏襲。
目の合う、近い場所からは歓声があがっていた。
そして 「wow wow~」のところはとても気持ちよさそうに伸びる高音。

アウトロでDeanさんはこう語りかけた。

「いまここに居ることを選んでくれたみんな!ここから新しい物語、一緒に歩んで行こう。今日が始まりの日。あの日 見た夢の続き!

そうかぁ、2021年12月26日、Musical Transmute Tour大阪でのツアーファイナル、オリックスホールで聞いた「今日が始まりの日」。そしてまた武道館の今日も始まりの日。
Deanさんと居ると、いつまでもいつまでも新しい物語は続いていく…。
無限に広がる”夢の続き”。
5年前に想像できなかった今があり、今想像できない5年後がある、きっと…。めっちゃ 楽しみ!

MC①


「武道館!やっと会えたなぁ! ついにこの日が来ました。
DEAN FUJIOKA?(首をかしげるの可愛い)DEAN FUJIOKA (言い直し 笑)
正式名称を言わせてください、”DEAN FUJIOKA 2023 Stars of the Lid at 日本武道館” !こんばんは、DEAN FUJIOKA です!(拍手と歓声)

ありがとう!今回のこのLiveは、リリースしたベストアルバムと同じタイトルになっておりまして。
私、日本で音楽活動を始めて今年で10周年ですね。(拍手と歓声)
ありがとうございます。
ファーストシングルを出して10年経ちました。
10周年を記念して、これまでリリースした楽曲を1つ1つの星座に見立てて、”Stars of the Lid” というアルバムタイトルにしました。
「天上の星たち」。

というわけで同じタイトルを武道館ライブでも付けたわけですけれど、今回久しぶりに来て下さった方も、初めましての方も、いらっしゃると思います。
またこうやって皆さんの前でLiveができることを本当にうれしく思います。
今夜限り、一夜限りとなっております。
そこに居るあなたと、新たな星座の物語を、一緒に作りあげていきたいなと思っております。
準備はいいですか武道館!
OK!では次の曲いってみよう、Runaway!」


06.   Runaway


正面のスクリーンには緑あふれる自然の景色の中に、シルバーの球体が浮かび上がり、この曲のMVでの黒い球を思い出させる。

イントロからすでに観客は軽快に手拍子。この手拍子は曲が終わるまで続いた。
Deanさんの力強い歌声が響き渡った。
間奏でDeanさんは舞台の上手(かみて・ステージからみて左手側)へ走っていき、拳を何度も突き上げて観客を盛り上げ、続いて「SOS~」のところで今度は下手(しもて)へ走っていき、観客を盛り上げた。
「SOS~」が原曲よりも長かったのは、武道館の舞台が左右に長いからだろう。
Deanさんの声は、走っても少しも息が上がることなく正確に歌えるのが、また凄いと思った。

そのあとで、中央と下手の間の、客席に近い場所に座り、例の「また会おうどこかで」のくだりは「共に行こう、この先の未来へ!」と叫び、みんなの大歓声を浴びた。

そしてバンドのほうへ向きなおり、手のひらをいつものピラピラしてバンドの音を最後はカッコよく制した。

軽快な音楽と手拍子に乗り、Deanさんの弾んだ声。

D「あったまってきたか 武道館!」(歓声と拍手)
D「Stars of the Lid、もっと行けるのか武道館!」(歓声と拍手)
D「ありがとう!」(歓声と拍手)

D「この曲、ここで歌うことを楽しみにしてた人、たくさんいるんじゃないでしょうか。僕もその一人です。人生色々ありますけれど、生きてゆくこと自体を今一緒に楽しんじゃいましょう。ということで。
アリーナ行けるのか?(拍手と歓声)
スタンドのみんな行けるのか?(拍手と歓声)
上のほうはどうなんだ?(ちょっと主任のドSさん入っている言い方、拍手と歓声)
いくぞ武道館!コールを頼むぞ!君の心に…」

みんな「テレポーテーション!」

この場面をDeanさんはちょうど武道館公演の前日に夢で見たとインスタグラムのメッセージ機能で伝えており、まさに正夢(っていうか、リハのしすぎで夢に出てきちゃった!?)となって実現したのだった。


07.Teleportation


とにかく見晴らしが良くステージが見やすいので、今まで座っている人が多かった2F南スタンド前方も、この曲をきっかけに立つ人が増えてきた。
ハンドマイクで歌い、体で大きくリズムを取る笑顔のDeanさん。

間奏ではメンバー紹介。「10周年を記念してバンド名前は ”Decade Band”(10周年バンド)。オサムちゃん(ドラムス)、ニカちゃん(ベース)、ケンティ(ギター)、タケちゃん(キーボード)、初参加・翔平ちゃん(ヴァイオリン)、木内プロ(シンクマスター)、そして私が DEAN FUJIOKAです、よろしく!そして何よりも武道館のみんな!」
(大きな拍手と歓声)

コール&レスポンス
D「そしていいね、いいよねでいってみよう。」(みんな「いいね、いいよね」)
D「もっといってみよう。」(みんな「いいね、いいよね」)
D「本当にいいのか武道館?」(みんな「いいね、いいよね」)
D「もっともっといこうぜ」(みんな「いいね、いいよね」)
D「あがってきた、いいね」(みんな「いいね、いいよね」)
D「All right! !Let’sGo!」(みんな「いいね、いいよね」)
D「みんな、ありがとう!」(みんな「いいね、いいよね」)

こんな感じで、BossであるDeanさんのリードする武道館は Teleportation のコール&レスポンスで早くも完全に一つになった。
久しぶり、この感覚に「ただいま!」


バラードの星座たち

08.One Last Sweet Talk


ギターとヴァイオリンのソロが入り、ソウルフルでエモーショナルなアレンジに仕上がった。
原曲が自己紹介アルバム「Cycle」の中の「Sweet Talk」であり、原曲はもっと古くから存在するという Transmute したDeanさんの、日本語 中国語 英語がミックスされたバラード。

個人的にも懐かしく、このタイミングで武道館で聴けることがとても嬉しかった。
歌うDeanさんの歌唱力も抜群に安定して良かった。
もしかしたら原曲よりも、今日のほうが良いかな!と思うほどに。

09.Shelly


前曲の余韻を残したまま、続くのはメロウでロマンティックな「Shelly」。前回のツアーの時を思い出すシャンパン ピンクの照明が美しい。
Deanさんはスタンドマイクに両手を添えてしっとり歌い上げた。

途中の中国語パートでは笑顔を見せ、ラストのサビではスタンドからマイクをはずしハンドマイクで熱唱。
ここいつもDeanさんが好きな D'Angelo(ディアンジェロ)に乗っ取られるところ。

最後は両手を広げてマイクなしで歌ったと思ったら、セリで奈落へと消えるように下がっていった。観客によってはDeanさんが舞台から消えたように見えたかもしれない。一瞬の出来事だった。

音楽の止まらない舞台上では、ケンティさんの美しいギターソロ。
曲が終わるとヴァイオリンの翔平ちゃん、これまた美しいソロが旋律のバトンを繋いだ。

10.   Sukima


曲が途切れない中、今度は中央花道から続くセンターステージのセリからDeanさんが上がってくるのが見えると客席からは大きな歓声が沸いた。

衣装が変わっていた。さきほどまで着ていた上着を脱いでいる感じで、縦に皺加工を施し、真っ白な襟付きシャツとパンツのセットアップが美しい。

楽曲では1番では下手側、2番では上手側を向いて、客席に向けて手を振りながらの歌唱だった。

この間、観客席では、ペンライトを白色に変える現象が多く見られた。
最後の「照らして~」のところでは、手を握りしめ、後ろを向き、花道をステージのほうへと戻るときに美しいシルエットとなった。

11.Echo


ステージには真上から白いピンスポットが当たり、Deanさんがひとり浮かび上がった。
「Echo」のイントロが流れ、スクリーンには月(?)が浮かび上がった。
今回はDeanさんがピアノを演奏せず、スタンドマイクで歌う「Echo」。
これまでは最初はピアノの弾き語りで、途中からハンドマイクで歌うことが多かったので、最初からハンドマイクで歌うのは貴重!

サウンドのアレンジは大きくは変えていないようだったが、ギターのソロが胸に迫った。

無表情で天を指さすDeanさん。そこからwow wowへ入るところで両手を広げた。すべてを受け入れるDeanさんの姿勢に似ている気がした。

スクリーンでは、さきほどの月が大きくなり、マグマでできた螺旋のトンネルに入り、最後は宇宙の始まりであるビッグバンのような映像が続いた。

Deanさんは手を胸に当てたり手振りで歌っていたけれど、sip on Echo(Echoのシュッ!)を切ると天を指した。
白いスポットがふわっとDeanさんに集まった時は、一瞬 ”Musical Transmute Tour”での白いライトが集まる演出が一瞬頭をよぎったが、その時よりももっと柔らかな、白い炎のような「Echo」だった。

12.Sayonara


大きな拍手と、あちらこちらの観客からの「Dean!」との呼び声にやや間があって、ピアノのイントロが流れると会場が静まり返った。

頭上からオレンジ色のスポットがDeanさんを照らすと、Deanさんは上手(かみて)のほうへ、次に下手(しもて)のほうへと歩きながら歌った。

左右のスクリーンも正面のスクリーンにもDeanさんが映り、本人と合わせて4人のDeanさんが見える。

Deanさんが手を振ると、曲の情緒とは関係なく大きな歓声があちらこちらであがるのが微笑ましい。

Deanさんが「2人」を表すときの指が、英語圏の「2」(日本風の2(チョキ)ではなく、親指と人差し指の2)だったことがDeanさんらしかった。

山場での「Sayonara~」は正面を指差して熱唱。
Deanさんは高音の美しさに定評があるがファルセットがいい声過ぎる!

「Don't you miss me baby…」のタイミングでDeanさんが「C'mon」(一緒に歌って)と。
そういえば2曲目の「Apple」でもマイク突きつけられて「C'mon」って言われても早口の難しそうなとこだったし、今回は「Cuz we can never be… So don't you miss me baby …」を観客に歌わせるなんて、普通に難易度高め(笑)と思ったけれど、Deanさんが何とも幸せそうな笑顔だったから、ま、いっか。

曲と曲の間の静寂のなか、観客からの「大好き~」の声に
D
「俺のほうが好きだ~!」と突然大声で叫ぶDeanさんには思わず笑ってしまった。
「キャー」と笑いの入り乱れでザワザワ。
そこを間髪入れずに
D「なんてな。ほんとだけど」…ズコー。
また「キャー」と笑いで満たされる客席は温かかった。

Deanさんは、武道館の大きさをものともしない、リラックスした雰囲気で、人柄の温かさが伝わってくる、そんなやり取りだった。

MC②


D「7曲、一気に続けてお届けしました。それぞれの星座の物語、いかがだったでしょうか」(拍手と歓声。)
「ありがとうございます」(自分では「ありがとごじゃいます」に聞こえたよう)「ありがとごじゃいます?って。この後もちょっとポンコツ味を出していきたいと思います、もう後半戦もスタートになります、ここ日本武道館」

D 「というわけで、センターのほうにもご挨拶行こうかなと思いますよ」と花道をセンターステージに向けて、話しながら歩き出した。

D「さきほど発表されましたがこのLiveの様子が、テレ朝チャンネル1にて独占放送されるそうです。
なので、皆さん身だしなみをしっかり整えてください。
映ってますよ、ちゃんと!放送の詳細についてはネットで検索?(「検索?」の言い方が可愛い)してください。ありがとうございます」(拍手)

D「ちょっと質問しちゃおうかな!皆さんに、今日 DEAN FUJIOKAのLive、初めて来たという人、挙手!
あ、結構いる。上のほう、いらっしゃいますね。初めましてDEAN FUJIOKAと申します。初めまして!初めまして!
それでは何度も来てる、久しぶりという方、挙手!ありがとうございます。大勢のリピーター毎度お世話になっております。DEAN FUJIOKAです。」

D「今回実はヴァイオリンの翔平ちゃんが初参加なんです。これ実は我々「初めまして」じゃないんですよ。
月9ドラマ「シャーロック」で、私、劇中でヴァイオリン弾いてましたよね?楽しませていただきました。
覚えていますか?(拍手)
その時に現場のヴァイオリンの先生として。
なので、今日「Shelly」だったり「Ghost」だったり、Decadeバンドのみんなと ここで演奏できたことに不思議な巡り合わせを感じております。」

D「今日10周年、今日っていうより今年ですね。
日本でのファーストシングルをリリースしてから10周年なんですけど、まさに、次にやる曲がファーストシングルだった曲で、自分の原点ともいえる、音楽キャリアをここからスタートしましたと言える、DEAN FUJIOKAが、どこから来てどこへ行くのか、存在の自己紹介みたいな曲になっております。今日はみんなと一緒に歌いたいと思います。準備はいいですか?」

天上の星座たち


13.  My Dimension


(拍手と歓声)
D「でっかい声で歌ってよ~。初めましてじゃない方はきっと何回も聴いていると思うんで。
でもね、今日初めましての人もね、いらっしゃいましたんで、ちょっと1回みんなで練習しましょうか。
じゃもう歌えるぞ~っていうそこのキミはね、まず一緒い歌ってください。練習なんで」

■LaLaLa~の練習タイム
D「LaLaLa LaLaLaLa LaLaLaLaLa~、はいっ!」
みんな「LaLaLa LaLaLaLa LaLaLaLaLa~」
D「初めましての方も」
みんな「LaLaLa LaLaLaLa LaLaLaLaLa~」
D「いいね~いいよね」

「LaLaLa~」に合わせてDeanさんの弾くギターのリフが重なる。
これすごい!と思ったのは、My Dimension のギターのリフについて、これまで試行錯誤してきた、静寂を阻む数々の問題…手拍子問題や、合いの手問題や、変な声問題がすべて解決し、ギターのリフが完全なクリアな形で聴けこと!!
なんて素敵な幸せなマジックだろう!考えた人、天才!

サウンド自体は、”Musical Transmute Tour”での 「My Dimension」 バンドバージョン(神戸・広島・大阪①で披露)を踏襲したものだったが、途中でヴァイオリンアレンジが入ると音に厚みが増して何とも言えず感動的だった。
そしてDeanさんのギターのカッティング。
みんなで合唱ができて、Deanさんの満面の笑顔、最高だった。

Deanさんはスタンドマイクを前に、YAMAHAのギターを弾きながらみんなで一緒に歌って、コ ロナ後の新しい My Dimension は大成功に終わった。
曲が終わるとDeanさんは拳を突き上げ、拍手喝采を浴びた。


14.History Maker


2023年6月、「History Maker」とフイギュアスケートとの融合、”Fantasy On Ice 新潟・神戸”の出演により、この歌はより多くの人に届くようになった。
すっかり板についたパフォーマンスも、声も、何の心配もいらない。
ハンドマイクを握りしめた力強い歌声に、どれだけ多くの人たちが励まされ、背中を押されてきたことだろう。

観客席からは、wow wow の大合唱。
スクリーンでは鎌倉の水中花火のような映像が流れる。(ローカルな比喩でごめんなさい)
その中で、気になるDeanさんの言葉があった。それは「もっと遠くへ」。

この楽曲も、Deanさんも、いつも同じ場所にとどまることとなく「もっと遠く」を目指している。
「C'mon, 武道館!」
wow wow の歌声はこれからどこまで届くのだろう…。

「そうだろ、武道館!We were born to make history!」
”FaOL神戸”でDeanさんが、引退するジョニー・ウィアーさんに、「You're
History Maker! そうだろみんな!」とリンク上で叫んだ「そうだろ!」がオーバーラップして聞こえた。
Deanさんの歌声は最後まで力強く、安定感に満ち空間を満たしていた。

15.Permanent Vacation


来た来た、ズンズンズンズンと身体で感じる振動。このイントロで何の曲かはすぐわかる。今まで曲のアレンジはほとんど変えてこなかった、Live の定番、「Permanent Vacation 」。
曲の始まる直前「行くぞ、Tokyo!」と叫ぶDeanさん。
終盤に向けてDeanさんの体もサウンドに合わせて大きく揺れる。

思い出すのは、Deanさんが主演した2017年の映画「結婚」の主題歌。
共演した萬田久子さんも、きっとこの南2階席の真下、1階の関係者席で聴いておられたことだろう。武道館の入り口に飾られた深紅の薔薇だけをアレンジした2段のフラワースタンドがとっても豪華で美しかった。

MC③


曲が終わると唐突にDeanさんが言った。

D「今、びっくりしたことがある。次が最後の曲」
ええええーっ!悲鳴のような声が続々と上がる場内。

D「あっという間だったな。時が経つのはあっという間ですね。
10年音楽を仕事として続けてきて、ま、その前も2008年、2009年くらいからかな、自分で音楽を作り始めて。キャリアを始めて日本でシングルデビューしてから10年が経って」。

D「簡単なことではなかったですね。何事も。続けるというのは。ねぇ、みんなもきっとそうだと思うけれど、それぞれの人生で。
それでも前に進んできたし、これからも前へ進んでいくし、ま、自分の場合は、音楽に救われてきたから。だからこそ、自分がこうやって作ってきた曲を通して、みんなと武道館の地で会えたこと、本当に奇跡のように感じます。
(拍手)

君に会えてよかった。(拍手)

そんな気持ちを込めて作った、この10年間の集大成の曲。
ベストアルバムのタイトル、そして武道館Liveのタイトルにもなっておりますこの曲、一緒に歌ってください。Stars of the Lid。」


16.Stars of the Lid


正面のスクリーンには白い光のなか、メビウスの輪が映り、そのメビウスの輪の中に、この10年間の映像が記録フィルムのように映り流れていく。最初は前回の”Musical Transmute Tour”の時の、「Permanent Vacation」で使われたので、見慣れた約80枚の映像の焼き直しかと思えば、「My Dimension」 や「Cycle」のジャケット写真など、新しい写真もいくつかあった。

Deanさんの声は透明で、のびやかで、温かくて、これ以上を求めることなど不可能に近いほど完璧だった。メロディーラインからラップに移るときも、その透明度は失われない。
稀有な43歳だと改めて思う。こんな純度の高いオジサンいますか?(いません!笑)

歌っているDeanさんの、こんな幸せそうな顔を見たのは初めてかもしれない。
苦しい時代もあったが今は深い満足に満たされたような笑顔。
私はそんな幸せそうな笑顔を見ていると、胸がいっぱいになって、なんだか泣きたくなった。
10年のうち、私が共有できたのはそのうちの8年くらいかもしれない。
けれども、積み上げてきたものの偉大さ、一方で単身赴任だったゆえ犠牲にしてきたことの大きさを思うと。(だから、このあと、お子様たちが舞台に上がった出来事は私にとっても大きな慰めになったのでした。)

Deanさんの歌があったから救われた。Deanさんが居たから踏み出せた、だから今の私がいる。
そのことに対して、全部に感謝をしたい、ありがとうって叫びたい!そんな瞬間だった。

今日歌われた1つ1つの楽曲が、武道館の天井やその先の宇宙空間に星座として煌めいて、そして観客の私たちもまた、一人一人が星座として煌めいているような、夢のようなひとときだった。
そして歌唱を終えたDeanさんの最後のポーズは通常版のアルバムジャケットと同じ、天を指さすポーズ。こんなところにもシンクロしている感動的なフィナーレだった。ありがとう、Deanさん!

アンコールの星座たち


17.Priceless


手拍子でDeanさんの再登場を待ちわびて、やっと出て来たところで、拍手喝采の嵐。Deanさんはアコースティックギターを下げている。
「アンコール、ありがとうございました!「Stars of the Lid」 いかがだったでしょうか。(拍手と歓声)
楽しんでくれたか武道館!それはよかった。
ありがとう!
「Stars  of the Lid」 のほうはベストアルバムからでしたが、これからのアンコールセクションはベストアルバムに入っていない曲です。(拍手と歓声とどよめき)

アンコールの曲はですね、2011年3月11日にジャカルタで作った曲です。
あの日スタジオのテレビで、日本で震災が起こったというニュースを見て、自分はすごく驚愕したのを今でもハッキリ覚えています。
そのきっかけもあって、長く離れていた日本に本当の意味で帰ろうかなと考え始めたきっかけでした。
その時に作っていた思い出の一曲なので、今日みんなと一緒に歌えたらなぁと思っています。(拍手)

上(武道館の天井)にさあ、日の丸下がってる?(「下がってまーす」「え?見えないの?」「ありまーす」と会場からの声声声)本当に?あった?赤丸?周り白?日の丸ですね?(会場笑)
今日ここ、武道館でこの曲を舞台でやれるのを、心から「ただいま」と言えるそんな気持ちです」(拍手)

「では聴いてください。そして一緒に歌ってください。準備はいいですか?「Priceless」。」
曲が始まり、ギターをストロークで弾きながら、リラックスした伸びやかな声で歌うDeanさん。
間奏になると話だすDeanさん。

「さきほどこの曲、2011年3月11日に作った曲と言いましたが、不思議なもので、その6年後に、同じ日に、息子が生まれました。(拍手)

普段ね、離れて暮らしているので、あんまり父親が普段仕事で何やっているかっていうイメージがわかないみたい。

いまここ武道館のステージ上から観ているシーン、子供たちに見せてあげたいなぁって。(歓声)

この曲を一緒に歌ってもいいですか?(拍手と歓声)
このわがままにちょっとだけ付き合って。小っちゃなスペシャルゲストを呼びましょう!

(拍手と歓声につつまれて3人のお子さまたちが下手(しもて)からトコトコ登場「かわいい」「かわいい」の大歓声!)

「歌えるかな、ちゃんと…」すっかりパパの顔になって、今から始まる一発勝負に心配そうなDeanさん。

Deanさんが、お子さま用の2本のマイクの高さを調節。
立っているカイくんとリンちゃん(双子の長男と長女)で1本のマイクを調節。
背がぐっと低い次男のシンくんには低くマイクを調節。
まだ幼い姿がとっても愛くるしい!可愛い!
けれども3人とも、舞台上でどうして良いかわからない感じで固まっている。
「皆さん、ということで、この子供たちと一緒に歌ってあげてください。準備はいいですか?」

そこで「It's priceless~」と、リフレイン部分をDeanさんがギターを鳴らしながら歌い出す。子供たちも「It's priceless~」とパパに合わせて歌い出す。

「このままいってみましょう、みんなで」とDeanさん。
サウンドには観客もバンドも加わった。

震災後に付け加えられた2行の歌詞が感慨深い。
「ねえもう少しだけ涙こらえて 願い叶うまで負けないでいてね…
ねえもう少しだけ涙こらえて 願い叶うまで負けないでいてね…
It’s Priceless!」

最後は顔を見合わせて、声を合わせて4人で締めることができ、場内はそんな父子の「初めて」を見守る温かい空気で満たされた。

子どもたちの成長は早い。
今まで同じ景色を共有してこれなかった事、当たり前のことが難しかった事、それを今夜この夢のステージで、リセットとまではいかないけれど、少しだけ特別な思い出を、特別な同じ景色を共有することができたら…。

Deanさんだからできる勇気、なんて尊いのだろう。
今日からは3人にとって、パパは間違いなく唯一無二のヒーローになったに違いない。

「ありがとう武道館!ありがとう!」と、ギターを背中のほうに回し、感慨深げなパパの声のDeanさん。

目だけキョロキョロしながら立ち尽くすお子さまたち。鳴りやまない拍手と歓声。観客席ではたくさんの人が感極まって目頭を押さえている。

しばらくして、ついに「ありがと」と可愛くお辞儀しながらリンちゃんが言った。それに応えてウォーっと沸く歓声。
ボーイズたちは何も言えず立ち尽くすのみ。
やはりスターのDNAを受け継いでいるのはリンちゃんか?
でもボーイズは、この時期女の子に比べたら成長がゆっくりなだけで、特にシンくんは、良くも悪くも遠回りをしたDeanさんに比べたらもっと早くスターになれるのでは?と期待もしてしまう。
ま、どうであっても自分が好きな事ができる人生なら最高ですけれど。
神さま、どうかどうか、このファミリーをずっとお守りくださいね…。

おそらく今日いちばんの大きな拍手のなか、小さな体の子供たち一人ひとりを抱きしめ、頭にチュッてして、最後は全員を一度に抱きしめる、世界一素敵なパパ、Deanさん。
なんて美しい光景だろう。そんな光景を、まさか武道館で観られるだなんて。

今まで誰もやったことないことをやり遂げる、ファーストペンギンのDeanさんに感動する。
子供たちも、こんなにたくさんの観客を目の前にして、落ち着いていたしよく頑張った。
Liveが始まってそろそろ2時間経とうとしているから、時間的にももう終わりが差し迫っている。このアンコールはどんなふうに締めるのだろう…。

「またね~」という日本語を強調するようハッキリ発音して、Deanさんの掛け声で手を振る子供たち。

「皆さんのお陰で、子供たちと最高の思い出を分かち合うことができました。本当に、本当に心から感謝します。武道館ありがとう!」(温かい拍手)
3人を下手(しもて)へ送り出すと同時に、自分もいったん下手へ下がるDeanさん。

Liveの主役の顔から、どこにでもいるパパの顔へ、一気に変わるDeanさん。子供たちにとって、この貴重な経験が、将来子供たちの人生を左右するきっかけになるかもしれない。

きっと、この一生に一度かもしれないチャンスにDeanさんは賭けたんだ。
やらなかったら後悔すると思ったかもしれない。そんな勇気あるDeanさんを讃えたいと心から思った。

私の周りには最後まで立たない(ステージが良く見えるので立つ必要がなかった)観客も少なからず居たし、Deanさんを初めて観たらしい人もいて、最初子供たちが出てきた時は戸惑う声も聞こえてきたけれど、一連の「分かち合い」を体験することで、Deanさんの人柄や、普段離れて暮らしている家族への気持ち、普段どんなに簡単じゃない仕事をしているかも含めて、説得力のある行動だった。

Deanさんと子供たちが、ぞろぞろと下手(しもて)へ下がっていくときは、このまま子供たちの手を引いてインドネシアに帰っても、みんな納得しちゃうくらいの説得力があった。

振り返っても、誰にでもできるわけではないけれど、Deanさんは最善を尽くして子供に愛情の痕跡を残せたのだと思う。
決断できる姿勢が親としてとってもカッコよくて、同じ親として見習いたくなったし、Deanさんへの尊敬の念が明らかに増した出来事だった。
きっと、目撃したみんなも、同じ気持ちだと思う…。

18.Showdown

しばらくして再びバンドが音を鳴らし始めた。
Deanさんは中央のセリから高くジャンプして飛び出してきて、みんなをびっくりさせた。
音もすごかったけど、Deanさんのジャンプの高さにびっくり!
あとで聞いたら、トースタージャンプと言うのだとか。
確かにトーストみたいに飛び出してきたけど、Deanさんの着地の完璧さといい、改めて身体能力の高さに感動する。

と同時に、金銀テープの破裂と共に始まった曲は「Showdown」。
わぁ懐かしい!

昔、アンコールの最後の最後が「Showdown」だった事もあったが、
この曲が1曲目だったLiveもあった思い出の曲だ。

歌い方もちょっと昔のDeanさんの初期衝動を感じさせる歌声。
それにしても、なんて素敵なラストシーン、なんて素敵なハッピーエンドだろう!

「武道館!」「最高にありがとう!」「燃え尽きるまでこ~い!」と叫びDeanさんは最後のを歌唱を終えた。万雷の拍手。

曲を終えると歓声のなか、まだ弾んだ声で
「ありがとう!」それから間髪いれずに
「みんな、最後に一緒に写真とろうよ!」と現実に戻る、Bossみ溢れるBoss!

D「みなさん、カメラ見えていますか?見えない?OK?」と仕切るDeanさん。
D「いい笑顔でお願いします。それじゃいきます。いいね~」
みんな「いいよね!」
D「記念にもう1枚!武道館、いいね」
みんな「いいよね!」
D「ありがとうございます!」


D「武道館のみんな、最後にもう一度、DEAN FUJIOKA Decadeバンドのみんなに大きな拍手!
ショウヘイちゃん、タケちゃん、ニカちゃん、オサムちゃん、ケンティ、木内プロ、ありがとうございました!」

D「みんな今日、ここに居ることを選んでくれて本当にありがとう
今ここにみんなと一緒に居れることが本当に幸せです。」(拍手)

D「なんか湿っぽいようなことになっているけどさあ、(笑)
まぁでも、そうですね、やっぱり自分が作った音楽でこうやっていろんな縁に恵まれるっていうことは、音楽に救われてきた自分としては本当に本当に感無量、そして奇跡のような体験だと思っています

さっきも言いましたけど、この場で、(日の丸が)まだ下がっているかな?ちょっとこの景色で最後に一言言わせてもらっていいですか?
DEAN FUJIOKAとして、そして藤岡竜雄として。」

(あちらこちらから「タッちゃーん」コール)
D「ただいま、にっぽん」。「おかえり~」と客席。

D「そして行ってきます
「え~?」とざわつく客席。

D「ちょっとさあ、地獄生きの船に乗って、サッって行ってくるから。また地獄から必ず帰ってくるってね。
そのときは大きい声でお帰りと迎えて頂いたら嬉しいです。」

みんな「いってらっしゃい」
D「ありがとう。
みんな、またこの先の未来で会いましょう
今日は本当にありがとうございました、
DEAN FUJIOKAでした!」

いつもはサーッと潔く舞台を去るDeanさんも、さすがに今夜の武道館では名残惜しそう。
D「愛してるぜみんな!またすぐ会おう、行ってきます!」
みんな「行ってらっしゃい~」
こうして、Deanさんは手を振りながら舞台を去っていった。

武道館が終われば、今度はDeanさんが挑戦する初のホラー映画「Olang Ikan」の撮影でインドネシアに渡るDeanさん。
安全第一でどうぞ!


エピローグ~今夜の星座たち

いつまでも余韻が抜けない、本当に特別な日本武道館のLiveだった。
Deanさんの、誠実さ、優しさ、努力、謙虚さ、そして思いやり…良いところがすべて出たLiveと言っても言い過ぎではない気がする。

今夜、集った人々には、子供もお年寄りもいて、老若男女さまざまだったけれど、みんな笑顔だったのが印象的だった。

Deanさんは時々、ふと日本からいなくなってしまって、もう帰って来ないのかとみんなを不安にさせることもあったけれど、「またすぐ会おう、行ってきます」と、今回はちゃんと次の約束してくれた。
だから寂しくない。
ありがとう、Stars of the Lid!
グッバイ言うてもまた会える…。

日本武道館公演データ


日にち:2023年9月23日(祝・土)
天気:雨のち曇
最低気温:20.8℃
最高気温:24.3℃
開場:17:00
開演:18:00
実際の開演:18:03
終演時間:20:04
筆者の位置 2階南正面 前から3列目ほぼ中央。