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社会人1年目の、人生で一番ダサかった私へ。

社会人1年目の私へ。

こういうテーマなので、今回は本当に手紙を書くようなつもりで書いてみる。
社会人1年目の私へ。
たぶん、人生で一番腐ってて、しょうもない時間を過ごしていた私へ。

社会人1年目の君は、入りたくもない会社に入って、よそよそしくてやる気のない同期と、仕事をしない二回りも上のおじさんをたくさん見て、不満で毎日くすぶっていた。
自分はもっとできる人間なのにって、ありえたかもしれない、華々しい社会人生活を送る自分の想像ばっかりして落ち込んでいた。
その会社がレベルの低い環境だったことは、社会人7年目の今振り返っても同意する。でも残念ながら、1年目の君がそこにいることも順当だと思う。

だって就活の時、とびぬけて器用ってわけでもなかったのに、大した努力もしなかったでしょ。
自分が何したいか、何をやってきたか、何ができるのか、そういうこと全然考えてなかったでしょ。
「努力しなくても自分のこの才能を企業が見つけてくれるはず」って夢みたいなことばっか考えてたでしょ。
そんな才能ありもしないのにさ。
自分では到底認められないだろうから、代わりに未来から言ってあげよう。
この、甘ったれ。

社会人4年目、5年目の時に、新卒採用の面接をして知ったけど、そういう人はすぐわかる。
自分がどういう仕事をしたいかもわからければ、受けに来た会社で何ができるのかも知らない。そのくせ、夢みたいな漠然としたイメージだけは立派。そういうふわふわスカスカした子は3分でわかる。
私に見る目があるからじゃない。話している内容の具体性の高さが明らかに違うから、話せば誰でもわかる。
受験者が出て行ったあと、一緒に面接した同僚と「あの子、自分でも何がしたいかわかってないんでしょうね」と言いあったりしながら、当時の私もこう見えてたんだなってよくわかった。

厳しい事ばかり書いてしまったけど、腐りながらもその場所で仕事を一生懸命やった君は偉かった。
チームでぶっちぎりで一番の成績をとって、きちんと仕事を終わらせて毎日定時で帰って、親切な同僚に助けられて、周りの人とちゃんと仲良くして、のちに入ってくる後輩の面倒もよく見ていた(その子たちとは未だに仲良くしてる)。
理想とはかけ離れた現実に苦しみながら、その場所でなんとかやっていく道を探すために頑張っていた。

結局君は、好きなことを仕事にする人生を諦められなくて転職することになる。
これは本当に、君の人生における一番のファインプレーだった。
会社内にも友達にも転職している人がほとんどいなかった状況で、その一歩を踏み出せたのは本当にすごい。よくやった。
ただ、それまでの3年は相当苦しむことになる。安定を好む両親の期待を裏切ることや、(そんなもの本当はないんだけど)社会のレールから外れることへの不安相手に、誰にも相談できずに一人でずっと葛藤していた。我ながら同情する。
でも仕方ない。その時間は、君が払わなかった努力のツケだ。

転職先の出版社の初出社の日の感動を覚えている。漫画や小説が山と積まれ、壁にはアニメのポスターやカバーのデザイン案が貼られていたあの場所を目にした時。大好きだったエンタメの世界に足を踏み入れたんだって実感したあの時。
ここにきてよかったって心から思うだろう。
その場所で、君は初めて、「楽しそうな大人」にも出会う。自分の好きなものがはっきりしていて、仕事にプライドを持っていて、「こういうものを作りたい」と言える目標のある大人に。
特に、OさんとMさんに出会えたことは大きかった。二人とも業界の先輩として仕事の仕方や他社の情報を教えてくれた。自分のやってきたことややりたいことを、目を輝かせながら語ってくれた。
一回り以上年上の二人の姿を見て、年を重ねたってずっと楽しさを追い求めて生きていいんだと知って、前が明るくなったような気がした。
二人とはしょっちゅう連絡を取り合っては飲みに行ったりしている。そんな年上の友達ができるなんて、1年目の君にはきっと想像もつかないでしょう。

さらにびっくりしそうなことを言うと、私はそのあともう一度転職をして、今は人生三つ目の会社に勤めている。気づいたら髪も、21歳の時以来の金髪になっていた。

どう? 驚いた? 人生ってまじで何があるかわからないよ。
だから、このままここで一生くすぶって生きてくしかないだなんて、諦めてうつむく必要なんてない。

たくさんのラッキーな出会いと偶然に助けられながらここへ来た。
これからだってきっと嫌なことや大変なことがたくさん起こる。今の場所にいつまでいるかも、正直わからない。
でも、今は未来への不安はあんまりない。なんとかなるでしょ、と気楽に構えてる。
そう思えるようになったのは、自分で考えて、選び取ってここにいる自負があるからだ。
大丈夫。1年目になる前の君ができなかったこと、今はちゃんとできるようになっている。

こんな手紙を読んだら怠け者の君は「なんだ、どうにかなるんじゃん」とか言って、苦しんだり努力したりしなくなっちゃうかもしれないな。
だからきっと、この手紙は届かないほうがいい。
この場所に置いていくから、自力でたどり着いていつか読んでください。
だからどうか、未来を楽しみに、ゆっくりここまでおいで。

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ハッピーになります。