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【3】諦めてからがはじまり

このマガジンでは、せらせらとオルくんが交互に1つのテーマについてエッセイを書いていきます。3ヶ月目の今月のテーマは、「諦め」です。

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これまでに諦めてきたことは一体いくつあるだろう。たくさん諦めてきた気もするし、もう諦めたことさえ忘れてしまった。それでも諦めという感情は、深いところで私を突き動かしている。

諦めるのは悔しい

1年前、私はオーストラリアの聖地・ウルルに行くことを諦めた。本当は1年間のワーキングホリデーを終えて、帰国する前に立ち寄る予定だった。しかし行くことは叶わなかった。働いていたファームで足首を骨折したからだ。当たり前だけど、松葉杖で色んな場所を歩き回るのは困難である。

私の右足は、ギプスと包帯でグルグルに固められた。最初は自力では歩くこともできなかった。絶望した。

自由がきかないだけでなく、行きたかったこと、やりたかったことができなかったのが辛かった。そんな状況になった自分の不運を恨み、「あのときこうしていれば」「あそこに行かなければ」などと自分を責めた。

諦めると悟るは似ている

「諦めないでがんばって!」と言われることはあるが、「もういいよ、諦めて!」というセリフは聞かない。諦めることを褒められることはあまりないし、諦めることを良しとしない空気もあるように感じる。

でも諦めは人を強くする。諦めざるをえない状況で「諦める」を決めるためには、エネルギーも覚悟も必要だ。怖くもある。様々な状況を考慮して、「できない」「やめる」と決めること。その後に残るのはできなかった虚無感だけでなく、次の行動に映るためのパワーだったりするんじゃないかと思う。

あるとき「そうか、これはこういう風に受け入れればいいのか」と自分が納得できるポイントが見つかる。

私は骨折してやりたいことが達成できなかったけれど、オーストラリアに行ったこと自体が間違いだったとは思わない。それまでにしてきた選択をなかったことにはしたくはないから。(そろそろ諦めがゲシュタルト崩壊してきましたか?もちろん私はしています)

諦めたことがあるからまたやりたいことも増えるし、悪いことばかりではないと信じている。

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あきら・める【諦める】
もう希望や見込みがないと思ってやめる。断念する。「助からぬものと―・めている」「どしゃ降りで、外出を―・めた」 出典 小学館デジタル大辞泉