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NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演しました

先日、NHKさんのドキュメンタリー『プロフェッショナル 仕事の流儀』という番組に出演させていただきました。2021年12月14日放送の回。なんとなくやっと書けるようになって、半年経ったいま、noteに書いてみます。

ただ、ひとつだけ。出演の経緯とか、取材の経過とか、そういうのは書かないつもり。興味持ってくださったは直接お話しますね。そういう『裏話』ではなくて、自分が番組出演を通して得たもの、感じたことを誰得でもない独り言のように、書き留めておこうと思っています。

1:まず、チームNHKの体現力に感動した

私としては、これが一番の感想でした。『事前に観たんですよね?』と聞かれることもあったのですが、私も事前に番組の仕上がりはおろか、途中経過の何一つチェックすることはありません。私は私の仕事を素材として提供して、それ以降は一視聴者と同じ。皆さんと同じタイミングで仕上がった番組を拝見しました。それまでは、『あんなに、何十時間も撮ったものを45分に編集するなんて、一体どんな仕上がりなのだろう。』と不安というか未知数でしかなくて。

私は自分の大事にしていることを何度も何度もカメラに向かって話したけれど、ディレクターさんや編集さんにとってそれは関係ないことかもしれないし。(リアルに、雑誌の取材の最後にライターさんから質問されたことに答えたんだけど、その最中にペンを置きノートを閉じる、ということをされたことがあり、単なるトラウマ。)どこをどう切り取られるかはわからない。『番組的に』見せたい側面があるかもしれないし。

だけど。

仕上がった番組は、私そのものがそのまま表現されていて、確かに45分になっていたけれどそれはあの2ヶ月弱というかプランナー人生の約20年間が濃縮しただけ。真っ直ぐにありのままの『佐伯恵里』が可視化されていました。大変なこと、撮影中にもたくさんあったありのままの私。だけど、とても泥臭くも美しく表現されていた。素直にうれしかったです。ディレクターさんだけでなく、お会いしたことがない編集さんや、プロデューサーさんまでも、私という人間を承認してくれたみたい。ほんの一部しか映していない、語っていないのに、本質を感じさせる体現力、本当に素晴らしいなぁと。

組織の何かとか、大人の何かとかは知りません。テレビ局は私の住む世界じゃないし。そんなことは関係なくて、ひとりの創り手として向き合ってくれた人たちに、敬意を感じた、それ以上でもそれ以下でもなくて。

密着途中でディレクターさんに話したのだけど私としては『プロフェッショナル 仕事の流儀を作っているプロフェッショナル』に、いつか密着して欲しい。いや、でもそれは見えない方が色っぽいのかもしれないけれど。

2:フィードバックを下さった人たち

放送後、たくさんの方々からフィードバックをいただいたのですが、一番多くて、びっくりしたのが『男性経営者(個人事業主含む)や結婚式が決まっているご新郎様』からのフィードバック。『泣いた』『感動した』『何度も観た』・・・正直、結婚式の良さを一番理解してもらえないのかも、と思っていた層でした。経営者ってとても賢くてロジカルなイメージで。実際、事前の告知画像見て『テレビ意識してわざと雨に濡れに行ったんだろ』って笑われたこともあったし。ご新郎様たちもどこか『結婚式って女の人のためのものですよね』っていう視線を持っているようで。だけど、番組を観てくださった方は、あの時点で既に私がずぶ濡れだった理由も、傘はコントラバスとテレビカメラの上にあったこともわかってくれて。(それでも楽器もカメラも濡らしちゃったけど。ごめんなさい。)多分、男とか女とか関係なくて『人間にはそれでもその一瞬に賭けたくなるものがある』ってことに共感してもらえたのかもしれません。また、ご新郎さまたちは、『結婚式って女性にドレスを着せるためのものと思っていたけど、何か、もっと人生のことだった。』と思ってくださったみたいで。共感していただけたのは、いろんなことを妥協したり我慢したりしないといけない中でも『自分の信念に真っ直ぐに生きる』ことは、誰でも心の奥底に持っている自然なことなんだということ。私も全て真っ直ぐとは言い切れないけど、それでももちろん、そうありたいともがいているし、今回はその私の本心をきちんとNHKさんが体現してくださって。そういうところに何かご自身のマインドを重ね合わせてくださったのかなって思ってます。そんな彼らとこれからも、ゆっくり想いを共有をしていきたい。そこに結婚式をさらに深める手がかりがあるような気がしています。

3:内省した。深く。

『想いが重なる交差点が、ひとつずつ、増えていく』とナレーションでは表現されていた、私の仕事のあり方。毎回の結婚式で、それをいくつ創れるか、どれだけ深く創れるか、を意識しているのですが、この期間にも『撮影される』というある種の緊張感の中で、『日頃自分が発信している言葉に嘘はないか』を考えながら日々過ごしていました。とは言っても、ずっとカメラが横にあり、ディレクターさんには気を許していく。取り繕うことの無意味さは、人の心を扱い続けてきたからこそわかってもいるので、割と簡単に素を出したりもした。カメラって残酷なまでに真実を写すものだから。最終的には、番組を見た私のことを離れた場所からも深く理解してくれているビジネスパートナーの唐木裕介さん(私たちはお互いをいつしかバディと呼び合っている)が『言葉で聞いていた佐伯さんのあり方が、映像になって目の前に現れて、(疑っていたわけじゃないけど)全て嘘じゃなかったと思わせてくれた』と、海を超えた向こうからだからこその(私、群馬。彼は四国にいる)信憑性ある言葉で感想を述べてくれて、なんだか安心した、というか、ちゃんといつもの私が伝わってよかった、と、思えました。あともうひとり、端的に『ちゃんと"佐伯"が映っていてよかった』と言ってくれたひとも。自分の中で、自分に対しての答え合わせになった時間と、ある意味での公開裁判。少ししか私のことを知らないひとは『とても感情的な人』と評価するのだけど、別にそれでいいんだけど、心と感情を分断し、その出し引きすら実は自分をコントロールしている私という人間の、実はちょっとドライで無機質なところ。が出ている。(長く付き合っていると、怒ることあるの?と聞かれます。笑 心はあるから怒りは生まれるし、怒ってないわけではなくて、ただあまり良い感情だと思わないから出さないようにしているだけです。嬉しい感情は出してもマイナスにならないから出してるだけ。)わかりにくくて、面倒臭くて、傷つきやすくて、弱くて脆い。そんな自分を真正面から見つめることで、少しだけ自分を承認してあげられたような気がします。

4 : さいごに。

『テレビに出る前と後でどうですか?』仕事だったり生活だったり、様々な分野についてそうご質問いただくことが増えました。正直、そんなに変わってません。今も、業務委託でのお仕事も時折お受けしているので、どんなお客様も私のところに来てくださった方には限られた条件の中でこつこつとでも温かな結婚式を創っているし、自分のブランドに共感してくださった方には、そういう世界の中でお二人らしさを活かして共創させてもらっている。私が創りたいのは私の作品ではなくて『二人が本質的に求めるちょうど良い結婚式』。
小さくても愛に溢れてる、とか。シンプルでも尖ってる、とか。二人らしさが滲み出てる、とか。

何組お手伝いしても未だにお腹いっぱいになれない私は、死ぬまでに『もう充分結婚式プロデュースした!大満足!』ってなれるのだろうか、とちょっぴり心配しています。そうして人生終えられたらいいなぁとは思っているのですが、フルコースに例えたらなんだかまだスープくらいな気がするんだよね。だけど、引き際は美しく、そっと閉じていきたい。結婚式を創らせていただけている今に感謝し、その日を後悔なく迎えられるようにやりきりたいと思います。

今年でウエディングプランナーになって20年です。産休育休中も私の帰りを待っていてくれたお客様がいたので、『担当の結婚式が0組』という日がこの20年間1日もなくて、毎日、どなたかの結婚式を創り続けてきた人生でした。ここまで来るにはたくさんの人に支えてもらったり、指導してもらったり、育てていただいて今があるから、こんな形で私のあり方をご報告できたこともとても嬉しいなと思っています。

父親よりも歳の離れた元上司が番組を観てくださった後に、『貴方の活躍は私の誇りです』と、そっとLINEをくれました。でも、私の活躍は貴方の教えがあったから。泣いたり苦しんだりしながらも、ずっと諦めずに寄り添ってくれたから。何度言っても私が満足できないのだけど、皆さん、本当にありがとう。皆様の溢れる愛情のおかげで、ウエディングプランナー佐伯エリは、ここまで大きくなりました。これからは、結婚式に恩返ししていきたい。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

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