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新宿ゴールデン街と結婚式 

昨夜、本当に久しぶりに夜中の3時まで
結婚式の話をしてました。
新宿二丁目のゲイバーに行ってみて
LGBTQに触れてみようというのがことのスタート。
結局ゴールデン街までハシゴして
ずうっと結婚式のことを話してた。

ブライダルというのは
つくづくコントロールの難しい産業で
ほんと、海みたいだと思う。

歴史や文化的側面としては、例えば海水浴。
好きな人は好き。
そうじゃない人もいる。
だけど海水浴は
江戸時代から医師だった松本順が
維新後、陸軍の軍医総監を退官し
医療のために大磯ではじめた。
明治政府に働きかけて
彼は何年もかけて最適な土地を探し
日本ではじめての海水浴場を作った。
国民の健康のために。
いま、そんな初期の目的を
覚えてるひとはほとんどいなくて
海水浴は気軽なレジャーのためのものとなっている。

でも、海水浴という文化が始まったから
発展した土地や産業、芸術もあるのだろう。
おそらくそんなには気づかれていないだろうけれど、
海水浴をする、という文化がもし
この世に生まれていなければ
海辺の街並みもきっと今とは違っていたはず。
飲食、アパレル、旅行、音楽、出版・・・
ちゃんと辿ればみんな
少しずつ海水浴文化の恩恵を受けている。
サザンオールスターズの素敵な音楽だって
聴くことはできなかったのかもしれない。

産業的側面としては
漁獲高のコントロールは本当に難しい。
取れる時もあれば
全く取れない時もある。
コロナ禍は大しけでした。

昔、北海道で盛んだったニシン漁は
温暖化でニシンの生息地が変わって
主要産業ではなくなった。
だけどかの有名なソーラン節は
ニシン漁のために生まれました。
ソーラン節はなぜか
海無し県の群馬でも
小学校の運動会の演目となっている。
経緯はわからないのだけれど
なんというかものすごい拡散力。

秋刀魚だって私が子供の頃は
銚子沖で盛んだったイメージ。
だけどいまスーパーに並ぶのは
北海道産が多い。
いつかニシンのように
日本の海からいなくなってしまうのかもしれない。

今や技術も進んで
回遊魚のマグロですら
養殖できるようになったけれど
昔ながらの大間のマグロだけが
やっぱり正統みたいなイメージは根強い。
毎年初競りで大間のクロマグロには
億単位の値段がつく。
その理由は『縁起物』だから。

日本の養殖マグロは実は一部のわかるひとからは
味は認められていて
世界中のレストランや料亭に卸されている。
でも大衆にも広く支持されることを目的に
大間産に勝つためには
選ばれるための価値をつけなくてはならない。
栄養価が高い、とか、そういうことで。

こんなところも
ブライダルは似ているなって。

そしてその海の奥深くは
今だ謎に包まれている。
なぜそんな風に進化したのか、とか
なぜ生まれたのか、とか
よくわからないことがたくさん。

何が言いたいのかとというと
自然相手の商売だから
簡単に人が変えることはできなさそうだ
ということに気づきたいということ。
ただ確実に海の中身は変わってる。
人の目では確認できないほど
緩やかに、密やかに。

変えようと思うことより
世の中の価値観の変化や
人々のニーズを敏感に読み取る力をつけなくては
『今までここで、この方法で獲れたから』と
とっくに住処を変えたニシンの残像を追って
空っぽの海に網を下ろし続けているようなものだと思う。

私たち自身もしなやかに変化して
変わりゆく自然にこちらが順応していく。

それができたものだけが
生き残ることができる。
できないものは滅びる。

それも自然の摂理ですよね。

1番ダメなのは環境破壊です。
壊したものは元に戻らない。
海の成り立ち、魚の生態を理解せぬまま
目先の利益を追って勝手に埋め立てたりすると
もう二度とその恩恵を享受できなくなる日が
きっとやってくる。

そうなってから後悔しても遅いから
しっかりと見つめて
意志を持って
冷静に分析して
向き合い続けることだと思う。

変えようとすることなんて不毛だ
みたいな話をしてからまた
矛盾してるようだけれど、いま、
かつての松本氏のように
海水浴場を作るような発想で
この海にアプローチしてるひとがいる。

彼がやろうとしていることはおそらく
変えることではなくて
未来をつくることだと思って見ている。
いま
彼が成し遂げたことが
いつかの未来にきっと
美しい文化を生み出す。
産業と文化の発展のためには
両者の根っこはひとつでないとならない。
葉でしっかりと栄養が作られてはじめて
きれいな花を咲かせるのだから。

さんざんホッピーを飲んで
かなり酔っ払っていたので
話した内容はなにひとつ覚えていないけれど
朝起きてこれだけが明確に残ってた。

あと、ゲイバーのママさんや
不思議な猫バーのママさんの笑顔の残像。
色んなこと悟って
きっと努力や辛抱は人に見せず
するりと生き抜いている人たちの笑顔は
柔らかくて美しかったな。

新宿二丁目とゴールデン街でのできごと。

私は基本
『結婚式だいすき人間』ではないし
結婚式は文化だ!と言い切るつもりはないので
そこは誤解してほしくないです。
ただ
そこでしか生きられないから大切にしてる。
そこで良い仕事ができてる自分は愛せる。
自分の家の前の海を、綺麗に掃除してる。
たったそれだけのことなのです。

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