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私の原動力となる感情。

さて。先週末は、今年のワールドツアー(レベル、カテゴリが最上位のレース)開幕戦 Strade Bianche が、イタリアのシエナで行われました。
レース展開や結果に関しては、レースレポートをどうぞご覧ください🤲🏻

ちなみに、今回のレースが、JCF(日本自転車連盟)さんが(おそらく)細かくいろいろ考えて出してくださった、今年最初のオリンピック出場資格を獲得するための選考レースだと思っていたら、136km獲得標高2000m超える Starade Biancheは、平坦なレースだそうで(JCFさんは、そう思っているそうです)、東京オリンピックの選考には、はオリンピック直前の調子を見るように 2020年しか選考基準に入らないらしいです。
ご丁寧に、私が13位という選考基準レースの順位であるトップ15位をサクッと、とっちゃった今回のStrada Biancheの2日後に、こんな補足選考基準を「改めて」出してくださいました。

東京オリンピックの選考基準に関しては、昨年からすでに男女共に公表されており、男子と女子で全く選考の仕方や基準となるUCIレースやUCIポイントでの評価の仕方が異なるものでした。男子はヨーロッパでUCIポイント取れば、アジアや日本で取る何倍も掛け算されて加算されるシステムなのに、女子はワールドツアーでトップ15位じゃないとダメらしいです🤦🏻‍♀
男子は、️そもそもヨーロッパで走ってる選手がかなり有利なポイント計算設定なのに、女子はトップ15以外UCIポイントは関係ないって。おいおいおいおい。本当に、違う意味でよく考えていらっしゃいます🙈
いつもよくもここまで私のモチベーションに火をつけてくれるものです。

話は、変わって。去年のStarade Bianche。
今だから話せるのですが、チーム内のゴタゴタがあって、去年のヨーロッパシーズンイン直前にチームのレーススケジュールを決めていたマネージャーが解雇され、2月中旬に新しいマネージャーが来ました。すでに決まっていた私のシーズン初戦のStarade Biancheのロースターを、「エリがどれくらい走れるかわからない、inconvenience かもしれない。」とかなりバカにしたことを言われました。
で、「その1週間前のレース(出場予定じゃなかった)に出てくれ、そこでStrada Biancheに使うかどうか決める」と。言われたんです。
もうね、心から腹が立って、日本人だからと思ってナメてんのか。と思いました。で、その試されたレースで、私はラスト20kmで決まるかもしれない有力な逃げに乗って、(結局ラスト5kmで捕まっちゃったけど) すでにチームメイトは私以外あと1人しかメインプロトンに残れませんでした。
はい。もちろんレース後、有無を言わせずに、Strade Biancheの出場をマネージャーに確定させました。

そして、レースは大雪、大雨、気温5℃以下の最悪コンディション。チームのエースだったエリサが、チームカーが全く上がって来れない一番最悪な場所でパンクしたところに、近くにいた私がホイールをあげて、私のレースはそこで終わりました(そのまま私は、ニュートラルカーが来るのを待って、ホイールをもらい、グルペットで完走しました。) その時に近くにいた他のチームメイト2人は、この天候で自分が走るのに必死で、ホイール交換した後にプロトンにエリサを戻すために呼んだのに、気づかず通りすぎて、あとの2人はその前に途中棄権。
で、結果的にエリサは3位でポディウム獲得。Inconvenience とか1週間前に言われた私が、ホイールあげて、私は後半のレース展開に入れなかったけど、チームの結果に一番貢献したっていう。。。それはそれで嬉しかったし、ドヤって思いましたけど。。。レースの半分でグルペットになったのは、仕事とはいえ、心から残念でした😢

まあ、チームメイトは私がマネージャーからinconvenience なんて言われてたなんて、知るよしもないでしょうけど。他の最初からロースターに入ってたチームメイトは、レース前のミーティングで本当は走りたくなかったんだ、このレース。グラベルも怖いし、だから仕事は何もできないと思う。とか言い出すし。私なんか走りたいのに、選考されてからやっぱり。。。とかマネージャーに言われて、レースでテストされたのに。なんなんだ、おい😠って心底、腹が立ちました。

それは、それは、私の心に大きな穴を開けて、火をつけてくれたレースであり、出来事でした。
そして、いつか「見返してやる」と、心から感じた出来事でした。
去年は、Strade Bianche 前後の顛末もそうですが、そんな出来事ばっかりだったなあと、改めてしみじみ(遠い目。。。)🤖🤖

そう、私は見返してやりたいこと、見返してやりたい人、を本当に黙って結果で見返すために、今年のシーズンを迎えました。よく意味のわからない選考基準を出すJCF、inconvenience と言った彼、書けないほどのたくさんの悔しい出来事や、私をバカにした人を、結果で見返してやる。と。
そして、ヨーロッパシーズン、ワールドツアー初戦。Strade Bianche。
私はチームのエースではなかったけど、普通にチームから言われた仕事をしたとしても、バッドラックなメカトラやクラッシュがない限り、走れる準備ができてました。最終的に、チームのエースにバッドラックがあったものの、そこまで与えられた仕事(エースが脚を使わないでいいように、中盤から終盤のアタックをケアすること) をこなしながら、最後の最後の11人が行っちゃったところに最後に乗れなかった1人でした。
そして、そこでドロップして、後ろからジャンプしてきた選手と2人になったグループで追走を続け、13位でゴール。仕事しなかったら、前にしがみついていけたとも思うけど、それはたらればだし、まあそれが私の今のチームでのポジションであり、ロール。
それでもワールドツアー、Strade Biancheで13位。
マグレとか、レース展開とか、スプリントでなだれ込んでとか、でとれることは100%ないこのレースで、この結果は、正直自分でもビックリ半分、心の中で1人でドヤったの半分はここだけの話🤫

JCFさんはもちろん、日本では女子レースをなかなか見てもらえる機会がないし、日本のメディアも「與那嶺恵理、13位でした。」くらいの反応ですし、どれくらいすごいかとかは、なかなかピンと来ないんだろうな、と感じます。だから、レースも結果も、結局は自己満足なのかなって思ってしまう瞬間も正直あります。でも、自分の中で心の中に引っかかってたことを消していくには、今の私は結果を出して、見返してやることでしかできないんですよね。ドヤ!って👻

オフシーズンはもちろんレースがないですし、自分のデータを見て、去年と今年の比較をすることでシーズンインを迎えることしかできなかったので、ヨーロッパでのシーズンインまでは、心では今年はやってやる!という強気な思い半分、実際どれくらい去年より走れるようになってるんだろうか?という不安半分、JCFのよくわからないオリンピック選考基準をクリアできるかという不安もなきにしもあらずでした。
そして、シーズンインして、ベルギークラシック2レース、Strade Bianche。去年と変わらずアシストをしてるのですが、この結果。普通にレースしてるだけですが、普通にレース展開に乗ったり結果を出す走りができてる私に、みんなから今年はエリどうしたの?なんかすごいね。っていわれてます。もちろん、今年は!ってかなり気合入れてたので、去年より走れるのは当たり前なのですが、ここまで走れると想像してなかったので、正直、心の準備ができてなくて、この3戦、毎レース、ゴールした後に自分に自分で驚いています。
ただ、筋肉量は同じままで、体重を4kg落としただけなんですけどね。それでここまで走れるようになるとは。。。でも、何やってたんだ、今までの2年😫とは思わなくて、今までの2年、いろんな思いをして、いろんな出来事があったからこそ、こうやって自分から湧き出るモチベーションで、自分を変えることができたんだと今は思います。

最近、つくづく思うのは、ロードレースは、「ヨーロッパの、ヨーロッパ人による、ヨーロッパ人のためのスポーツ」で、強い(結果)が全ての世界で、相手に認めさせるには結果しかないんですよ。でも、アシストは、どこまで行ってもアシストのままで。アシストが最後まで残ってたら、残れる脚があるんだったら、もっとちぎれるまでアシストしろって言うエースもいますし(経験談😅)、実際アシストしたら自分の結果は狙えないし。
だから、何か予想外の出来事が起こったり、レース展開で突然チャンスが舞い込んできた時に、結果をものにする運と脚がない限り、這い上がれない構造なんです。
だから私は、今年は這い上がってやるぞ!という強い意志のもと準備しました。それが出来そうなロールが回って来るチームとも感じていましたし。トップチームに行けば行くほど、待遇や環境、特に機材は良いです。予算があるので。ただ、トップチームであればあるほど、自分に回ってくるチャンスはほぼないです。そして、チームのランキングが低いほど、予算も少ないし、機材は劣るし(機材スポーツなので機材はかなり重要。)、お給料は少ないです。ただ、チャンスが舞い込んでくる機会もあるし、レースでの自由度はかなり高いのです。もちろんアシストのロールはありますが、純粋に、走れるんだったら、勝負して良いと。

今年は、たくさんのドロッとした「見返してやる」という気持ち、心の中で引っかかっていることを、ひとつひとつ消していく1年です。見返してやりたい人、出来事、リベンジしたいレース、手に入れたい結果。それが私の今の原動力です。

前述した通り、ロードレースは、ヨーロッパのスポーツです。それは身を持って感じています。
JCF、日本のフェデレーションは、136km 獲得標高2000mのStrade Biancheを平坦のレースといい、私がそのワールドツアーで13位をとった数日後に、このレースでのオリンピック選考は2019年は加味しないと堂々と発表し、このレースで13位をとることの難しさも何のリスペクトもなく、平坦レースと堂々と書いてしまうフェデレーションには、腹がたつを通り越して、開いた口が塞がりませんでした。
Strade Biancheで13位だったんだよ!って、言ってスゲエなお前って一番言ってくれたのは、そう。このレースのヤバさと格式を知ってるヨーロッパの人でした。近くのバーの周りにいたオヤジが寄ってきて、お前すげーなって知らない人まで話かけてきて。改めて、ここヨーロッパが、私が今していることを純粋に評価し、理解して、走れればリスペクト、走れなければただの日本人チャンピオンか。ってだけで、シビアだけど、全員が純粋に結果だけで評価してくれる。そんな場所で生きる方が、簡単なことばかりじゃないけど、モチベーションも上がるし、できればできるほど面白くなってくるし、自分を強くしてくれるし、何より自分(自分のしていること)を色眼鏡なしで評価してくれる場所なんだなと。それが、「ヨーロッパの、ヨーロッパ人による、ヨーロッパ人のための、ロードレース。」と思う所以であり、私をプロ選手として純粋に認めてくれる場所なのです。

もちろん、人種差別を感じることも、バカにされていると感じることも、inconvenience と言われたことも(しつこいwww)、ありますよ。だからこそ、「見返してやりたい。」と心底思い、見返すには結果しかない世界だから、腹が立っても、ムカついても、トレーニングして、レースして、結果を出す。それだけです。言いたいことはたくさんあるし、思うこともたくさんあるし、ドヤって大きな声で言いたいこともあるけど🙈 まあたまに小さな声でつぶやくくらいで、黙って、もっと上にのぼります。

ここまでこうやって書いてきましたが、
でもね、そういうドロッとした感情もあるのですが、やっぱりチームメイトとレースする、トップライダー達とレースしてる感覚っていうのは、走れれば走れるほど面白くて。結果が全てなんだけど、そうじゃないところも人間の感情としてあって、やっぱり楽しいなって。

冷静になると、ただのレースに、こんな必死になって、って思うんですけど、だからもっと評価してくれよ。認めてくれよ。って承認欲求があったりもするんですけど、人間ですから。でもやっぱり、自分がやってきたからこそ、この場所にいて、いろんな感情があって、誰にもできない経験がこの脚でできてるんだなぁと思うと、また次のレースもやってやろうと思えてくる。そんな、ぼーっと考え事して、リカバリーな1日でした。

今年は、自分でも驚く結果をもっと出せる気がします🤘🏻🤘🏻 ので、クラッシュしないように🤞🏻🤞🏻

「全てを力に変えて。」

#今日のエリさん #今日のエリnote

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