鉄道史①

以下「鉄道の世界史」(悠書館)を参考にしました。


なぜイギリスで産業革命が起き、その後工業で覇権を握ることができたのか?という高校時代以来の疑問に自分が納得できる回答を得るべく還暦を過ぎて世界史の勉強を再開したのですが、これまで理解できたこととして、イギリスの炭鉱で排水に動力が切実に必要とされたため蒸気機関を応用したシステムが実用化されたこと、およびその延長上に蒸気機関車を走らせる鉄道の敷設に世界でいち早く着手できたことを挙げたいと思います。本文では鉄道が成立した過程をごく大雑把に眺めてみたいと思います。

①切実なニーズの存在

綿工業の機械生産が定着してきて大量生産が可能になったものの物流、つまり原材料や完成品の輸送を大量に、スピーディに、安定的に行えなかった事情がありました。ここに莫大な資本を投下し技術改良を続けたいというモチベーションがあったということです。

例えば、綿工業の原材料を新大陸から運ぶ際、大西洋を経由してリヴァプール港まで海運で約21日、港からマンチェスターまでの国内輸送にそれ以上かかったらしい。これでは新大陸から綿花を大量に仕入れてマンチェスターで大量生産できるようになっても港で滞留してしまいますからね。

②馬車鉄道の存在

交通手段として蒸気機関が現れる以前から鉄のレールの上で馬車を走らせる「馬車鉄道」が存在していました。ひとつは運河や河川の付属施設として港から目的地まで原材料や完成品を運ぶため、もうひとつは炭鉱地帯や鉄工地帯で石炭や鉄鉱石を運ぶため、です。後者は排水システムとして蒸気機関を利用しておりこの改良の過程で自走する蒸気機関が生まれました。

また、リヴァプール・マンチェスター鉄道を建設する際、固定蒸気機関がロープを牽引する方式(ロープウェイ)、蒸気機関車の二択だったのをコンペ(レインヒルコンテスト)に掛けた結果、自走式の蒸気機関車を採用した経緯があるようです。

③蒸気機関の改良・進化

後日時間が許せば改良点を詳しく調べたいところですが、ここでは年表形式で改良の過程を記しておきます。

・ニューコメンが炭鉱の排水用に蒸気機関を実用化(1712)
・ワットが熱効率を上げることに成功(1776頃)
・ワット、遊星歯車によりピストンの往復運動を回転運動に変換できるようにした(1781)
・輸送手段として当初、蒸気機関を固定的に設置して荷車をロープで牽引する方式が考案される(ロープウェイ)
・トレヴィシックが蒸気機関車をウェールズの鉄工所で鉄のレール上を走らせることに成功(1802)
・スティーヴンソンが実用的な蒸気機関車を開発・試走に成功し(1814)、最初の商業鉄道ストックトン・ダーリントン鉄道(1821)、リヴァプール・マンチェスター鉄道(1830)に採用される。

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