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歌詞の対比表現パターン【歩く幽霊編】

前回は、どんな対比表現ならば歌詞の意味が深くなるかについて説明しました。今回は、BUMP OF CHICKENの「歩く幽霊」を題材にして、どんな方法で対比表現を形作れるかについて解説します。今回は短いです(自分でも驚いています)。

意味の対比

もっともオーソドックスな対比表現が、言葉の「意味」を用いた対比表現です。歩く幽霊の中では次の箇所に現れます。

壊れたところ 直せそうなところ 壊れず残った 強いところ
……
直せたところ 駄目だったところ 結局残った 脆弱なハート
悲しすぎて笑った

前者の「強い⇔脆弱な(=弱い)」という対比は分かりやすく直接的です。一方、後者は「悲しい⇔(嬉しい=)笑う」という少しひねった間接的な表現です。

位置の対比

意味の対比に対して、こちらは珍しく、あまり数を見ない表現です。今回の歌詞の中では次の箇所に現れます。

悔しいけど 恥じることはない
……
恥ずかしいくらい 悔しかったから

「悔しい⇔恥ずかしい」の2つは意味としては明確な対比にはなっていません。しかし、位置を入れ替えることで対比を成立させています。加えて文全体を見ると、前者で悔しさをやんわり否定しつつ、後者でその程度を大きくしています。結果、悔しさは強調され、より強い意味を持ちます。

歌詞はメロディーがつき、メロディーは繰り返されます。ですから、同じメロディーの箇所で扱われた内容は、何かしらの関連を持ちうるのです。

おわりに

次回、真打登場。これを書きたくて、対比表現の深さとパターンのことを先に書きました。BUMP OF CHIKEN「HAPPY」の対比表現の解説です。投稿は来週水曜17日予定です。

ニューアルバム「aurora arc」を聴きながら、お送りしました。よろしければ、スキを押していただけましたら幸いです。

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