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技術同人誌はA5判で作るのがお勧め

技術書典や技書博、あるいは今日開催されているようなコミケで頒布されている技術同人誌は多くがB5判ですが、A5判の方が著者にも読者にも、圧倒的に利点が多いよ!というのが今回の記事です。

ちょうど先日7/27日の技書博で出したEffective React Hooksという本はA5判で作成しました。物理本は100部しか刷っておらず、とらのあなさんに委託している分のみです。電子版はBoothで販売しています。

さて、以前から同人誌執筆仲間から、A5いいぞーという話を聞いていたのですが、毎回締め切り間際の攻防で新しいサイズを試すという冒険を取れなかったのですが、今回は色々な偶然がかみ合って、試すことができました。

結果からいうと、とにかくお勧めできるということなので布教したく、この記事を書きました。技術書執筆している人に是非この記事を読んでもらいたいです。そして技術同人誌の標準がA5になればと思っています。

B5?A5?

B5というのは紙のサイズの規格で、B4の半分のサイズ、B6の2倍のサイズです。

A5はB5より少し小さいもので、商業の技術書でいうとWeb+DB pressの単行本がA5で、Web+DBの雑誌がB5です。

A判はISOで決まっている世界標準で、B判は日本独自のJIS規格です。しかも クソ面倒なことにISO B判もあり、日本独自のB判とはサイズが異なります。

そのため、海外製のソフトでは日本のB判のサイズに対応していないとおもっていいでしょう。海外のソフトでB判あるやん!と思って使ってみると、なんか圧倒的にサイズが違う!!!というトラップもあります。

日本のソフトならJIS B判にも対応しています。むしろデフォルトがJIS B判というケースもあります。

技術同人誌の執筆で定番となっているTechboosterさんの技術同人向けRe:VIEWテンプレートでも、JIS B5判の設定とISO A5判の設定が書かれていたりします。

サンプルコード

技術書につきもののサンプルコードはB5判の方が横を多く取れます。TeXおよびそれを利用しているRe:VIEWでは、サンプルコードの折り返しは割と面倒がつきものなので、折り返しの可能性を減らせられるB5判には一定の利点があります。

・ Re:VIEWで長い文字列を折り返すためにやったこと
 FAQ - Re:VIEW の使い方について(TeX PDF)

ちなみに、どうやるのが正解なのか、僕の方ではまだ調べきれていません。できれば技術書典7には間に合わせたいのですが、いかんせん締め切りも近く悩ましいところです。

文字数・ページ数

紙面の文字数ということではどうでしょうか?もちろんB5判の方が文字数を増やすことができますが、多くの人が読みやすい文字数はせいぜい多くても日本語だと40文字程度です。

じつは横40文字程度で書くなら、A5でもB5でもほぼかわりません。A5だと数文字分、文字数が減るか、少し文字が小さくなる程度です。

読みやすい紙面を心がけている限りは、A5とB5ではページ数もほとんど変わりません。50ページの本が60ページになるかどうかという程度です。

B5判で詰め込んで文字数を多めに取るというサークルも多いでしょう。Re:VIEWテンプレートのB5設定は、文字数がさほど変わらず、横に多くマージンを取っています。この場合、ページ数の差は多くなりますが、詰め込むと人にとっては読みづらくなってしまいます。

気になるお値段

印刷価格はどうでしょうか?

たとえば日光さんでオンデマンドフルカラー(表紙がフルカラーで本文は白黒という技術同人で標準のやつ)でA5 60PとB5 52Pの100冊だと、前者が25,640円で後者が42,080円です。

A5だと多少ページ数が増えるとしても、この値段差は圧倒的です。

B5の方が文字を詰め込める可能性はあるものの、その分余白が生じる可能性がA5よりも多いです。印刷費はページ数・サイズにほぼ比例するので、A5の方がリーズナブルになります。

読者の利便性

A5の方が持ちやすさでは圧倒的に上です。A5を片手で読める人も、B5だと片手では厳しいということも多いでしょう。持ち運び、読みやすさでA5はとても良いです。

あえていうと、本をたてかけてサンプルコードを写経しようとすると、B5の方が安定度が良いこともありますが、そういうのは大体工夫でなんとかなるものです。

本を大量に所有している人は大体共通の悩みを持っていると思います。それは本棚をいくつ買っても追いつかないことです。つまり、本の専有面積というゆゆしき問題です。A5の方が圧倒的に専有面積が小さくて便利です。

著者にも読者にもうれしいのがA5判

つまりA5の方が、書く人も読む人もうれしいのです。是非技術書典7や技書博2、あるいは冬コミに出す本はA5判を検討してみてください。

そもそも、A判は世界標準なのに、B判は日本の独自規格なため、使っているソフトによっては面倒も多いです。

サークル主の人にもA5判を検討するように声を掛けてあげてください。

印刷費安いですよ!!!!!読者としても利便性高いですよ!!!!!

印刷設定

技術同人誌は左トジです。漫画とかは右トジです。印刷所で申し込むときに、大抵混乱するので、漫画やラノベじゃなければ左トジと覚えておきましょう!!!!!

ちなみに大混乱したのが筆者です。何回印刷しても覚えられない。

ついでにお勧め

Re:VIEWとMarkdownを完全に混在させることができる easybooks というソフトを作りました。実際に Effective React Hooks で利用しています。

Re:VIEW記法の大半をMarkdownで実現可能(というか、筆者が利用している機能のほとんどを対応している)ので、実質、MarkdownでRe:VIEWを使うのと同品質で本を書けます。

easybooksについては詳しくは MarkdownとRe:VIEWで高品質な技術同人誌を書こう という記事に書いています。そちらも併せてごらんください。

執筆が圧倒的に楽になります。(筆者比)

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