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英語学習が楽しくない理由【第二言語習得論】

会社や組織でTOEICのスコアによって特別手当がでたり、英会話ができるようになりたくて英語学習を始めてみたり、将来は海外に住みたいのでネイティブと話せるようになるまで英語力を伸ばしたい、という英語学習者の方は多いでしょう。

しかし、3ヶ月頑張ってみてもなかなか上達せず、なんとなくやる気を失って挫折に終わってしまったという方もいるかもしれません。

英語学習が楽しくないと感じ、挫折してしまう理由を3つご紹介します。

1、動機づけが弱い

英語にかける時間の価値を感じない

近年、多くのビジネスパーソンが英語学習を始めたものの、途中で挫折をしている人々も少なくはありません。

その理由の多くは、「日本に住んでいれば英語を使う機会もない」ということや、画面越しでひとりでレッスンを受講し、机上の勉強を黙々とこなすもアルファベットが記号にしか見えなくなったり、「なんでこんなこと勉強しているんだろう」とやる気を失ってしまったりということです。

最近は、オンラインで完結する英会話サービスも多く、強い「動機」を持っていない場合、仕事前や仕事後にプライベートの時間を使って英語学習に時間を費やすことがバカらしく感じてしまうことも多いかと思います。

社会人が仕事をしながら、英語を使う環境・日本語が母語ではない同僚や上司がいる・仕事で必ず英語が必要という状況でなければ、時間を削ってまで英語学習を続ける習慣をつけるのは難しいことです。

私の20年来の「動機」

私は、新卒の時から「朝活」で「英語学習」をするようにしていました。
なぜかというと、ずっと日本で働き生活している自分が想像できなかったからです。

将来は、海外で働くか、何かしらの方法で海外に移住し、新しい環境でいろんな経験を積みたいと意気込んでいました。
10年近く経つ2023年現在、国際結婚をしアメリカ中西部に住んでいます。
私の場合は新卒時、もしかすると大学4年間のベトナムでのボランティア経験から海外に強い憧れを持っていた時から、「海外!英語!」と強い動機を持ち始め、10年経っても「海外で心地よく住むために英語!英会話スキルを上げる!」と動機が弱まることなくこれているのかもしれません。

なぜこんなにも動機づけが強いのかというと、幼少期にオーストラリアに行き、肌の色・目の色・言語・住む環境がまったく異なる人々に会って以降、海外に興味を持っていたからです。
たまたま遊びに行った父の友人宅の庭には家庭菜園のにんじんが埋まっており、そのにんじんをかじり苦い味がしたのを覚えています。
日本の家は当時社宅で、海外にはこんな広い家があるんだ、庭でにんじん育ててるんだ、と初めて見る光景に驚いてばかりでした。
言葉は通じないけど、同じ歳くらいの男の子とおいかけっこをしたことも覚えています。

その記憶は中学に入っても鮮明に覚えていて、進学先の高校はオーストラリアからの交換留学生を受け入れているところにしました。無事にオーストラリア留学生の校内バディになったことを覚えています。ホームステイファミリーとしてボランティアもしたかったですが、母親にダメと言われて、校内バディになったまででした…。

上記のように、私の場合は幼少期からの強い動機が伴い、20年以上経った今でも英語学習へのモチベーションは上がっていく一方です。

やはり、「動機づけ」は大事で、しかもその動機は、海外に関する自分の経験ベースで基礎固く築かれていくのかと思います。悲しい経験でも楽しい経験でも然りです。

※皆さんの「動機」の基礎にある「体験」も知りたいなあ、と思います。コメント欄に記載いただくと喜びます。

2、動機が行動に結びついていない

学習方法が分からない

「動機」がありつつも、「行動」に結びついていないパターンもあります。

「第二言語習得論入門」によると、そのパターンの原因としては以下があるようです。

「どうやって効果的な学習行動に結びつけたらいいのか、そのやり方がわからない」

第二言語習得論入門  白井恭弘 23p

私も、新卒時にはどのように英語を勉強するか、どのように英語で会話ができる環境を作るかとても苦労しました。

当時はオンライン英会話プラットフォームは一般的ではなく、英会話をするためには、都内や都内近郊で開催されている英会話カフェやミートアップ、または駅近にある英会話スクールに通うしかありませんでした。

今では、コロナ渦もあり、全てオンライン完結できるようになりましたが、当時は多くはなお給料の中から高額な英会話スクール月額料金を絞り出し、新宿の英会話スクールまで通っていました。その英会話スクールの売りは「講師が全員ネイティブ」ということだったので、「講師がネイティブだったら絶対英語が上手になるだろう」と確信して通っていました。

しかし、「講師がネイティブ」という点は、英語学習に何も貢献しないことがわかりました。なぜなら、英会話スクールに通って半年ほどしても、自分が何を学習しているのか理解できていなかったからです。英会話スクールに通っていることだけに満足していたと思います。

ネイティブ講師による英会話レッスンで、英語が上手にならなかった理由を3つ考えてみました。

  1. 毎回何をレッスン中に学んだのか自ら言語化して学習の定着を実感する能力がなかったこと

  2. ネイティブ講師は日本人英語学習者がつまずく箇所を理解できないこと

  3. 日本人のような机上の学習方法よりも言葉で説明してレッスンを進めるスタイルが私には合わなかった

相手はネイティブなので、毎回緊張してしまい、細かい疑問を質問できなかったり、相手の言っていることがわからなくてもわかったふりをしてしまったり、英語初心者で文法もままならないままネイティブから英語を教えてもらうのは本当に意味がありませんでした。

当時、英会話スクールにおける1レッスンは約3,000円です。自宅から新宿までの電車賃も安くはありませんでした。レッスンに遅刻しないように、レッスン前にはカフェでお茶をしていたので、毎回5,000円以上をかけても、英会話が上手くなっている実感が得られず、英語学習へのやる気が低下してしまったのをよく覚えています。どうすれば英語が上手になれるのだろう、といつも悩んでいました。

英語学習に時間を割けられていない

私が、TESOL(英語教授法)180時間認定講座を受講した際、英語取得において最低でも1,000時間は費やさなければいけないことを学びました。

平日に2時間、土日ぞれぞれに5時間ずつ英語学習に充てて、約1年間で1,000時間いく計算になりますから、1年間本気で時間をかけて正しい学習(単語・文法・発音をきちんと理解して使えるようになる)をすれば、英語が話せるようになる、ということになります。

大学生も、社会人も、時間は有限です。
1日に24時間しかないなかで、いかに英語学習にかける時間を捻出できるかが大切になってきます。

私もかつては、英語の他にも、韓国語を学んでいた時期があります。韓国の文化や食べ物が好きで、仕事おわりに数時間、休みの日にもカフェで無我夢中で韓国語を勉強したり、新宿まで言って新大久保までいって韓国を味わったり、韓国語の言語交換会に顔を出したり、韓国まで旅行に行ったり、とかなりの時間を費やしました。新卒の頃あたりです。まだ、若かったものですから、時間をエネルギーを使い全力で学びました。韓国語レベルは、お店などで少し会話ができるほどです。

しかしその際は、英語学習は一時中断していました。英語に充てる時間を捻出できなかったからです。

その他、スペイン語、フランス語など他の言語にも興味を持っており、HNKの基礎講座の冊子を購入、NHKのアプリで学び聞きをしていましたが、結局自己紹介をするまでのレベルまでも行かず学習を終えてしまいました。

その理由としては、その他の言語学習に充てる時間が捻出できなかったからです。1日に10分〜30分ほどかけてフレーズを学んだとしても、すぐに忘れてしまいます。講座自体はすぐに次の章に行ってしまうものですから、学習の定着することなく、実際に言語を使うこともなく、なんとなくやる気を失ってしまい、結局英語学習にかける時間としました。

そのため、英語に限らず言語を習得するには、ある程度の時間を捻出できる環境であることが大事だったのだと今は思えます。

3、学習方法が自分の適正に合っていない

視覚的学習と聴覚的学習

TESOL(英語教授法)によると、英語学習を成功させるには以下の3つの要素のひとつでも欠かせないということです。

  1. 単語

  2. 文法

  3. 発音

この3つをどのように学習するかについてが大切になってきそうです。

人によっては、視覚的な情報であれば吸収しやすいとか、聴覚的な情報からの方が情報を吸収しやすいとか、自分に合った学習方法があると思います。

私の場合は、圧倒的に視覚的に情報を吸収しやすいという自覚があります。
しかし、暗記は苦手です。自分には意味のない例文を時間をかけて暗記する行為の意味が理解できないからです。

中学生の頃から勉強に苦手意識があり、どのように勉強したらよいのか、この学習方法で本当に合っているのか不安を抱えるままなんとなく勉強をする….という学生時代だったので、英語学習を本格的に始めた新卒の頃も、英語学習の方法がわからず、途方に暮れていました。

しかし、たまたまオンライン上で見つけた、個人の英語コーチング(細かくいうと英語メンター)を見つけて、勇気を持ってコンタクトを取り、少ないお給料から授業料を捻出してはじめた英会話レッスンをきっかけに、自分に足りない英語力を指摘してもらい、強化してもらえたことで自分に合った英語学習法を見つけることができました。

その時の英会話レッスンでは、基礎単語の理解の強化、発音の強化、文法の強化と幅広く教えてもらうことができました。さまざまな英会話レッスンや英会話教材がありますが、この英語メンターは英語を教えることに情熱を持ち、何より英語を理解してもらいたい、という熱意が伝わってきたので、この人からなら教わりたいと思い、そのメンターを100%信じ切って学習に取り組んでいました。

基礎単語を使った言い回し表現を日→英で瞬間英作文をさせられたり、これを表現する簡単な文章を作ってみてと言われて、うまくできず、文法的なアドバイスをもらったり、おかしい発音をしっかりと直してもらったり、同じようなことを何度も注意されながら週に1回60分のレッスンをなんと5年間も続けることができました。

現在は、自分に合う学習方法を見つけたので独学でオンライン英会話を続けたり、基礎文法・アメリカ発音を英語の参考書でいちから学び直したり、英語を学ぶだけではなく教えることまでできるようになりました。

上記のような自分の英語学習経験から、いちばん成功した学習方法を思い出し、どのようにしたらインプットしたものをアウトプットできるようになるか、ということを考えます。

インプットだけではなくアウトプットも

新しい単語を学んだら、その場でその単語を使って英語の文章を使ってみるとか、前回のレッスンで学んだ表現を次回のレッスンで使えるようになる、とか、その場で自分が言いたいものに関してうまい単語で文章を作っていく過程で、自分の口から出てこない表現を言えるようにする、という繰り返しです。

先ほど、私は視覚的な情報から学ぶ方が得意と言いましたは、教材をただ眺めて学習するのではなく、教材で学んだ内容を実際に英語で言いたいことに当てはめてどんどんアウトプットをしなければ、英語学習とは言えないと思います。インプットするだけでは使えるようにならないからです。インプットをしたら、アウトプットをしなければ、学んだことを使えるようにはなりません。目で見て理解するのと、口から出して理解するのはまったく異なるものだからです。

例えば、relax という単語を学んだとします。relax は「くつろがせる」という意味である、とインプットをしたとします。

「私はリラックスする」という文章を作ろうとすると、どのような文章を作ればよいでしょうか?

I relax.

本当にこの文章でよいのでしょうか?
週末は何するの?と聞かれて英語で答えるときには、
I relax. と言って会話が終わってしまいます。
なんだか物足りないです。
このようなときに、「私はあんなに英語を勉強して難しい単語も知っているのに、いざ口にしようとすると全然単語がでてこない。私は英語ができない」となってしまうパターンも多いと思います。私もこのパターンでした。

単語だけを学んでも文法知識がないと、現地の幼稚園生でも言える文章すら言えないのです。

例えば、I feel relaxed when I go back home from work and get undressed.
などと、とても簡単な単語の組み合わせなのに I relax. よりもはるかに英語らしい文章が作れるようになるのも文法知識があってからなのです。

feel は 連結動詞で be動詞と同じような役割を果たすものです。I が主語の時は、「リラックスさせられる」と受動系になります。その後、「〜する時」を意味する when を使い、S+Vと繋げて、仕事帰りに家に帰り、部屋着に着替える(仕事用の服を脱ぐ)ときにと少し詳しい描写を加えるだけでも、英会話が成り立っていくのです。

どうすればこのようなことができるのでしょう?
単語を学び、英作文をする。文法を根気強く学び、自分が表現したいことを学んだ文法を使って英作文をする。発音を学び、直していく。
ちなみに、これらは私の場合はひとりで行うことは不可能だったため、英語コーチを雇ってお願いをしました。自分では気づかない、変な英語の癖を指摘して直してくれるからです。
人に直してもらうことで、恥ずかしさや悔しさがいいバネとなり、次回は絶対言えるようになろうという気持ちになったり、同じことを再度指摘された時は「またここ間違えた」と経験値が増えることで、次回からは最低でも間違えないようにと意識をしたり、できるようになったりとレベルアップしていきます。

とりあえず、やる、続ける

上記のように、英語学習をどこからはじめていいか分からない、英語の勉強はたくさんしているのに一向に英会話ができるようにならない、という方は、とりあえず、自分が「これはできそう」と思える学習方法を試して、自分に合うか、合わないか確認し、合わなければ他の方法を試している、合えばその方法を続けてみる、ことをおすすめします。

自分の興味がある分野と絡めていくと、続けられる可能性も高くなります。イギリスの政治に興味がある場合は、イギリスの英文記事を読みはじめてもいいかと思いますし、健康に興味がある場合はどんな食べ物が身体にいいかなどの研究結果の記載がある英文記事などを読み進めると案外面白いかもしれません。

そして、続けます。

英語習得には1,000時間と言われていますので、週にどれくらいの時間を英語学習に確保できるのかによって、1年以上かかる可能性もあります。そして、英語学習にはプラトーと言って、一定期間どんなに頑張っても英語力が上がらなくなる時期があるともいうので、できなくても諦めず(できないから英語を学習しています)続けていきましょう。

今はYoutubeやSNSでロールモデルになるような英語学習者、日本人の英語講師が多くいますので、ぜひ探してみてください。



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