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手術が終わった。

旦那の手術が終わる予定の17時を過ぎても、看護師から連絡がない。デイルームで1人待っていると、旦那のお兄さんから旦那のスマホにsmsが入った。
「今から向かいます」

旦那は両親が他界してるので、家族はお兄さんしかいない。兄には兄の家庭があると旦那は必要以上に接点を持たないようにしている。
兄の妻(義姉)はとても世話やきで親切なのだが、プライドが高く、マウント癖があるため旦那と私は義姉の機嫌を損ねないため避けた状態になっている。

出来ればお兄さんだけ来て欲しい!そう願いながら手術室に入る直前に旦那のスマホから兄にsmsで『本日13時から手術です。17時に終わる予定です』と伝えた。

17時を40分ほど過ぎた頃に、外科病棟の看護師が来て「予定時間を過ぎてますが、看護師から何か連絡ありましたか?」と聞かれ「いいえ」と答えると「手術室に連絡して確認しますね」とナースステーションに帰って行った。
夜勤の看護師さんに代わって、申し送りを見てきてくれたのかな?こう言う場合は心配して患者の家族から聞きに行くと言うパターンなのかも。。。

暫くして看護師が「今、手術が終わり縫合中だそうですので、もう暫くお待ち下さいね」と言ってきた。その時17時45分頃。兄のsmsを見ると17時8分位に送られてきてた。兄の家から1時間弱で来れるはず。でも丁度帰宅ラッシュだから1時間じゃ難しいかな…
色々頭で巡らせながら、出来れば術後の説明を一緒に聞いてもらいたい!と思いつつ兄の到着を待っていた。

旦那の兄が到着

18時頃兄が到着した。何処に居るか伝えてなかったので、到着をしたら連絡が来ると思っていたら、受付で聞いたのか病棟まで来ていた。
デイルームから兄の姿が見えたので、駆け寄ったのだが…義姉も来ていた。やはり…

私は義姉にLINEブロックや電話に出ない、義姉に会わないといけない身内の葬祭などに一切出席しないと言う大変失礼な事を繰り返しているので、すんごいバツが悪かった(~_~;)
でも、状況が状況なので、直ぐに来てくれたお礼と、状況を伝えた。

義姉は文句を言うでもなく、普通に話をしてくれたのですが、ど緊張。なるべく冷静を装う自分がいた。

そんな時に兄が「2人しかいない兄弟だから、最初から来る予定だった」と言ってきた。旦那はお兄さんに手術をする事は伝えていかけど、手術が何時からかは伝えてなかったのだが、兄夫婦は大体の予想をつけていたようで、仕事終わりに来る予定だったようだ。

お兄さんは自分が胆石の手術をした時に、義姉が体調が悪いので1人で病院に行き、1人で手術までの時間を過ごし、相当の不安を感じた記憶があったので、弟もそう言う気持ちになってるんじゃないかと心配でしょうがなかったそうだ。
心配かけたくない弟と心配でしょうがない兄。お互いを気遣うから故にのことなんだろうなぁ。

手術が終わる

暫くして看護師が「手術が終わりましたので、移動しましょう」と言ってきた。
兄夫婦と一緒に看護師の案内で手術室前にある部屋へと案内された。
室内に入ると手術を終えた担当医が、ホワイトボードに今回の手術を説明する為の腸の図を描いていた。
お兄さんが「兄の〇〇です」と挨拶。医師も「今回手術を担当しました〇〇です」と挨拶をした。
医師、兄夫婦、私達夫婦は皆んな同じ苗字なので、私の中では何だか紛らわしい感じになってた。

ホワイトボードに図を描きながら医師からの今回の手術の説明を受けた。
手術前に言われた通り、直腸の少し上のS字部分に5センチほどの大きな悪性腫瘍があり、その腫瘍から少し離して切除したとの事。リンパ節も必要な部分を残して切除。リンパ節の中に転移を疑うような腫れがある部分があったが、癌になってたら硬くなるのだが触った感じ柔らかかったので、多分大丈夫ではないかとのことだった。

兄夫婦が旦那の癌の説明を聞くのは初めてだったので、医師は縫合の説明の時に縫合不全が起きた時の対処などを詳しく話してくれた。
縫合は肛門から機械を入れてしたそうなのだが、肛門に近いため縫合不全が起きる可能性があるとの事。念の為空気を入れた風船(?)を膨らまして確認したけど漏れはなかった。と言われた。
もう、この時点で想像の領域を越えてるのだが、きっと『キチンとしたから大丈夫だよ』と言ってくれてるんだと思った。

「摘出した患部を見ますか?」と医師が言い、兄夫婦、私も見せてもらうことになった。多分こう言った物は見るに耐えれない人がいるから、相手に見る意思を確認して見せてるんだろうなぁと想像。私も正直見ても大丈夫か不安だった。高校時代に『海と毒薬』のビデオを見て、手術を失敗するシーンを見て気を失ったことがあるので、不安MAXだった。

青の四角いプラスチックトレーに乗せた摘出部分を医師から見せられたのだが、綺麗に洗われてたのか、血もあまり付いてなく、ホルモン系のお肉のような感じだった。
その真ん中あたりに大きな腫れたような物があり、それが癌ということだった。大きな水膨れのような…ケロイドのような…
これが数時間前まで旦那の身体の中にあったと想像すると、不思議な感じ。。。
そして、これが癌で、放置すると死に至らしめるとは。。。

医師の説明が終わり、回復室へ移動。旦那は回復室にもう運ばれていた。身内が2人ずつ入室できるとの事で、私とお兄さんが先に入室。部屋に入って直ぐにマスクを付け、消毒液で手を消毒。旦那のベッドまで看護師さんが案内してくれた。
旦那は体から管がたくさん出ていて、酸素のマスクをした状態で寝ていたが、医師が横で話をしていたので虚ではあるが目は開いていた。
お兄さんは術後の弟の姿を見て放心状態になり、ベッドから少し離れたところで動けなくなっていた。
私は旦那の側に行き、手を摩りながら「痛くない?」と聞くと、何か喋りたそうだったが喋ることが出来ず、しんどそうだったので「大丈夫だからね」と言って、義姉と交代した。

義姉は入って直ぐにに出てきた。かなり長い間会うことがなかったからか、義姉はここ1年のお兄さんとうまく行ってない関係の話をしてきた。正直興味がない(^_^;)
暫くしてお兄さんが出てきたので、3人で一旦デイルームに戻った。

お兄さんは旦那が病室に戻ったら見舞いに来ようと思ってるみたいで、病室を聞かれたので案内をしておいた。
その後デイルームで話をしたのだが、お兄さんは弟の姿を見て近づくこともできず、何も言えず放心状態になったと言っていた。
肺癌で亡くなったお父さんと重なったみたいで、かなり落ち込んでるようにも見えた。

暫く話をした後、兄夫婦を見送り私も帰宅した。


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