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【パパコラム#05】就学前教育に対する経済学者の視点

就学前の子供の教育に熱心になることへの違和感はなんだったのだろう…。いま考えてみると、それは就学前に数を数えられるとか、数の加減ができるとか、「あいうえお」が読めて書けるようになるとか、いわゆる知識をインプットして認知力を高めようとする教育のみを就学前教育として認識していたからなのかもしれません。

「幼児教育の経済学」でおなじみの2000年にノーベル経済学賞を受賞したJames Heckmanは、就学前の認知力向上はもとより、やる気・忍耐力・協調性といった非認知能力の習得も、その後の人生を左右すると主張しています。もちろん、「就学前のプリスクールは行っても行かなくても、どちらでもどうぞ。お金のかかる話しですし、各ご家庭の自由です。」というアメリカの就学前教育に関する環境は日本とは異なるし(人種、宗教、所得格差といった面もしかり)、主として教育政策の立案・制度設計者の立場から論じられている内容ですから、日本で育児をする子供の保護者として、同書のどこをどこまで参考にできるかは注意が必要と感じます。また、同書は翻訳本ですので、本当の意味で理解をするには原文を確認するのもよいのかもしれません(原文は以下リンクにて公開されています)。

http://jenni.uchicago.edu/papers/Heckman_2008_EI_v46_n3.pdf

同書にて「Heckmanが引用しているペリー就学前プロジェクトとアベセダリアンプロジェクトにおける追跡調査(乳児が大人になるまでの調査)は、認知能力を育む重要性を指摘するもので、その認知能力の高まりは非認知能力の獲得につながること」とMike Rose(当時:教育学者&UCLA教授)が指摘しています。

当然のことかもしれませんが、同書を読むと、認知能力か非認知能力かの二者択一的なことではなく、双方の能力を両輪として就学前の段階から育んでいくことが重要だと改めて感じます。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

さばくるりん


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