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Interview with HELL(HongKongFuckYou)

<Interview date 04.26~05.31.2021>


ーChristian。時間をとってくれてありがとう。
こちらこそ。インタビューいいね。クールだね。


ーちょっと確認で、BANDCAMPに載ってるメンバーリストは
・HELL-DRUMS/VOX
・jake -bass/vox
・new guy -bass/vox
・zendejas -bass/noise/vox
↑こうなってたんだけど、ChristianはHELLで合ってます?
合ってるよ。あと今のメンバーは
・HELL : Drums/Vox
・ABASSI : Bass/Vox
・ISI : Bass/Vox
・Zendejas : Bass/Vox
↑こうだね。

ーよし。では改めて…。HKFYの最初のリリース以前のバックボーンを教えてください。バンドはどんな感じで始まったんですか?
結成は2016年だね。きっかけは変な奴が「速い音楽を作りたいからドラマーを必要としている」とランダムに尋ねてきたことだったかな。ツインベースでやりたいと持ちかけたら彼はそれに興味を持ってくれて、それがHKFYの始まりでしたね。
デュオでいくつか曲を作った後2人目のベーシストを見つけて、トリオとしてレコーディングやツアーを行うようになりました。


ーこれ多分今まで何回も聞かれていると思うんですが、トリプルベース編成にした理由って何だったんですか?
ライブで最低でも2本のベースを感じるのは、単純にすごい音の体験だと思う。重いローエンドで胸郭を押しつぶすような感覚が絶対にある。
ただ録音の時にその迫力を再現するのが難しくてね。完全なステレオサウンドをリスナーが体験できるように考えて2本のベースを左右に振り分けてセンターに1本のベースを置くようにしたわけです。
伝えようとしている音楽を満足いくものにすることが最大の目標だったし、実際この方がずっといい感じだと思ってて、今回のEP「Third World Fighting Music」はそれをかなりうまく表現出来てますよ。

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ー挑発的なバンド名と漢字を使ったアートワークのアイデアは?かなりインパクトありますよね。
ありがとう! それは私のアイデアなんだ。
漢字をロゴはDropdeadのアルバムジャケットからヒントを得ました。最初にこの名前を思いついたのはバンドの起源に近いとは言えない都市の名前をバンド名にするのは皮肉だと思ったからで、「メキシコから来た香港」と紹介されることを想像して笑っちゃったね。
この名前を思いついた後作った最初の曲は、イギリスのパンクバンドみたいに曲の頭にカウントダウンがついていました。
「ONE! TWO! FUCK! YOU!」ってね。
そのカウントはいつの間にか「HONG! KONG! FUCK! YOU!」になって、それ以降「HONG KONG FUCK YOU」と叫んでダジャレにしてたんだ(笑)


ー拠点にしてるティファナは、サンディエゴとの国境にある都市だよね。あなたの街のPUNK/HCシーンに地域的な特徴ってありますか?勝手な思い込みだけど、治安が…(笑)
特徴あるよ(笑)
簡単に言うと、お互いに恨みを持ったバンドが飽和状態になっているということ。汚職警官が人々から金を奪い、麻薬カルテルによる誘拐、強盗があり、酔っ払った夜がある。そしてもちろん世界で最も親切なミュージシャンたちとの出会いもある。
どんなバンドでもパーティーやカルチャーショックを体験するためにここで演奏することをお勧めします!

ー質問が前後するんですが、さっきの録音のパンニングの話について。それぞれのベースの音の出し方や役割分担にはこだわりがあるんですか?ライブとレコーディングでやり方が違うようにも思いますが。
誰にでもわかるように簡単に説明すると、ここ3枚のレコードでは......
最初の2本のベースはギターの役割、3本目のベースがベースの役割って感じですね。 あとはイコライジングとディストーションで音をカスタマイズすることが重要で、すべてのレコーディングでメキシコの「Paradox」(※1)という珍しいペダルを使ってます。


ー制作以外に、作曲の際に気をつけていることはありますか?おそらくHKFYスタイルならではの長所と短所があると思います。
いつもはドラムのビートやボーカルのメロディを中心に曲を作りますね。ボーカルのリズムがいい感じに決まるまで、歌詞は絶対に書かないよ。
自分が即興でドラムを叩いているビデオを録画して、それを元に曲を作り始めることもあるし、スタジオでベースとジャムって遊んで作った曲もある。
要約すると、ほとんどが即興性とアイデアを忘れないうちに録音する能力の問題です。
実際、ウチの最高傑作のひとつと思ってる「This is a Public Service Announcement」のメロは職場のトイレでクソをしながら歌った録音をもとにしました。

ー「THIRD WORLD FIGHTING MUSIC」はこないだ日本の有名レコード店でFLEXIを入荷してたんだけど瞬殺で売り切れちゃって買えなかったよ。発売後周囲からの反響はありましたか?
間違いなく大きな反響を感じてます。
一番の反響はMax Ward(Spazz/Scholastic Deth)が連絡してくれたことで、「Third World Fighting MusicはHKFYがリリースのたびに良くなっていることを示している」と言ってくれたことです。彼の親切な言葉は、このEPに注ぎ込まれたすべてのハードワークに対する報酬のように感じられたし、これ以上の結果はないと思う。
実は625 Thrashからフルレングスを計画してて、それはこれまでの中で最高のものになると思ってるんだ。正式なことは完全に決まってから告知するんだけど、日本のみんなには最初に知ってもらおうかな(笑)


ーヤバい!でも日本には「人の口に戸は立てられない 」って諺があるよ。
ポイント押さえてるね。一応、まだ内緒で(笑)


ー今んとこ最新作はGuilt Dispenserとのスプリットですが、このマッチングはどういう経緯ですか?
当然といえば当然のことで、 Guilt Dispenserには前身Twitchのメンバーがほとんど参加してて、 その頃から何度も対バンしてよく知っている友人でもあるんです。お互いの音楽をとてもよく引き立て合っているのでスプリットをリリースするのは時間の問題だったし、今年中にフィジカルでも出す予定ですよ。

ーそれもアツい!たしかHKFYサイドはノイズ系アーティストをゲストに招いてたよね。その意図は?もちろん結果が素晴らしいのはわかってますよ。
ウチの最初のEP(※2)のようなサウンドにしたいと思ってたんだけど、それに入ってるノイズサンプルはすべてさっき話したペダルで作ったんで、何か違うことをしたいと思ってね。これしかペダル持ってないし。
今回のアルバムでは友人やファンとコラボレーションすることを思いついて、その結果期待以上のものができました。
ゲストのノイズアーティストを招いたのは今回が初めてではないからそれほどランダムではないと思ってます。アメリカのHuman Fluid Rotは、私たちのEPのうち2枚(「Now That's What I Call Hong Kong Fuck You's Greatest Hits Volume 69」と「FUCK YOU.JUST DIE」)にも参加したアーティストです。


ーノイズ系の知り合いも多いんだね。そういえばティファナのシーンについての答えにかなり煙たい言葉が出てきたけど、ツアーに来るバンドって多いんですか?そっちのローカルの話を聞かせて欲しい。
最初に聴いたティファナのバンドはThanatologyとBumbklaattで、2015年にここに越してきた頃はCalafia PutaとDFMKに大きな影響を受けました。現在ではViolenciaやBalaceraの活動に注目してますね。
また、HKFY、Violencia、Balacera、DFMKのメンバーは、ショーにおけるDIY精神を維持するために時間を割いている、まさにヒーローのような存在です。彼らはDespise You、Infest、Cave Stateといったバンドをメキシコに呼んで思い出深いショーを行ってきました。
普段演奏してる場所の半分以上はCOVIDの規制に屈してしまったかもしれませんが、私たちはいつも新しい場所を見つけます。つまり、それはどこでも同じことなのです。

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ーこれは最初に聞くべきだったかもしれないんだけど、Christianが影響を受けたバンドを教えてください。
耳コピするようになったのは13歳の頃で、デスメタルやスラッシュの名曲が多かったですね。HKFYのソングライターとしては90年代のデスメタル、80年代のハードコア、90年代のファストコア、90年代のグラインドコア、2000年代のニューメタル、そしてフュージョン・ジャズの最も強烈な側面から影響を受けてます。


ーフュージョン・ジャズも??
ウチのサウンドに大きな影響を与えているバンドを挙げるとすればS.O.BとNeanderthalですが、それに加えてグルーヴィーな要素を持っていたくてフュージョン・ジャズのドラミングを試してます。
特定のバンドってよりはビリー・コブハムやヴィニー・コライウタのようなフュージョン・ジャズのドラマーや、ザック・ヒルみたいなドラマーが好きかな。


ー意外だけど、そう言われたらなんかしっくりくるな…。
実際、ドラムテクニックを身につけるきっかけとなったのは、11歳のときにデイブ・ウェックルやスティーブ・スミス、カーター・リーボーフォードとか、ジャズドラマーのチュートリアルビデオを見たことだったしね。
ジャジーなドラムのグルーヴと高速で演奏することが私のスタイルの基本であることは間違いないです。

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ーここまでの話で出てきたけど、これからリリースが沢山あるね。他に何か計画していることはありますか?
Global Grindcore Alliance(※3)のライブ・スタジオ・レコーディングを終えたところです。これは、Chulo(コロンビア)、AK-47(インドネシア)、Ona Snop(イギリス)、WVRM(アメリカ)など、多国籍のアーティストを結びつけるクールなコンセプトで、終了後には 非常に限定的なカセットテープで発売されます。カセットなら私たちのEPよりもはるかに良い音がするよ。
あと、さっき話した625 ThrashとのフルレングスEPの前にドイツのCoxhina Recordsからラテンアメリカのグラインド/PV/ハードコア・バンドに焦点を当てたカバーソングのコンピレーションも予定してる。ドラムはもう録り終えてるんだ。


ー最高すきるよ!最後に一言!
ありがとうございました。日本は近い将来、間違いなくHong Kong Fuckedを耳の穴に入れることになるでしょう。

(※1) DEFIBRILLATOR | reanimating shock fuzz
(※2)「Tour Ep」。2021年にタイトルを新しくしてカセットでリイシューされるとのこと
(※3) Vol 2.0。日本時間5月30日5:00放送済み。日本からはFINAL EXITが出演したオンラインフェス。

<Interview&TEXT by JAPAN(yosuke harada)>