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【対談】 内藤大和         FWは「タイミング」が命。      常にゴールから逆算する。

 ヴァンフォーレ甲府で育ち、高校2年生にしてプロ契約を結んだ内藤大和選手。万能型のストライカーは何を考え、何を意識してプレーしているのか。その真相を語ってくれた。

内藤大和(ないとうやまと)選手
経歴 ヴァンフォーレ甲府U12
   ヴァンフォーレ甲府U15
   ヴァンフォーレ甲府U18
   ヴァンフォーレ甲府

インタビュー・文 = ESENCIAサッカースクール
(取材 2024年2月18日)


ーーまず、改めてやまとのポジションってどこ?442のツートップの片方とか、433のセンターフォワードとか。

内藤大和 今のチームのシステムは4231が多いから、その頂点の1かな。でも強烈な外国人FWがいる関係で、トップ下とかサイドハーフをやることもあるよ。

ーーFWとトップ下とサイドハーフじゃ意識する事は全然違う?

内藤大和 全然違うね。特に周りとの関係性がポジションによって違うから、考える事は変えないといけない。でも自分の特徴である「ゴールを決める」という事は変わらないし、そこが自分に1番求められる事だから、そこはどこのポジションでも意識してるよ。

ーー沢山ポジションをこなせた方がいい?

内藤大和 他のポジションもできることに越した事はないと思ってる。「プロ選手なら3つのポジションはこなせ」とはよく言うよね。FWの選手がDFをやる必要はないけど、トップ下やサイドハーフはできた方が選手としての幅は広がる。

ーーFWの中でも2トップと1トップじゃ意識する事は違う?

内藤大和 そうだね。2トップだと片方がサイドに寄ったりライン間に落ちたりする事もあるけど、1トップだと基本的にはコートの真ん中にいれる。自分は「ゴールを決める」事が1番の特徴だから、1トップの方が良いかな。

ーーゴールを決める為に意識してる事は?

内藤大和 常にゴールから逆算して考えてプレーしてる。特にペナルティエリア内では、1タッチか2タッチでシュートを打てるように、ポジショニングをとって、味方とタイミングを合わせて動き出す。プロの世界ではドリブルで仕掛ける時間っていうのが少ない。だからこそ少ないタッチで、できるだけ早くゴールに迫る事が大切。現在バイエルンに所属するハリーケインなんかは特に1タッチゴールが上手くて、30得点くらい決める内の14.15得点は1タッチゴールなんだよね。

ーー具体的には、ペナルティエリア内でどんな事を意識して動いてる?

内藤大和 「動きすぎない」ことが大事かな。早く動きすぎても相手DFに捕まるだけ。味方のボールホルダーの状況を見ながら、然るべきタイミングで動く。あとはこぼれ球なんかは、「相手が止まってる時にどう動けるか」を意識している。

ーークロスへの入り方は何を意識してる?

内藤大和 ちょっとでも相手の背中に隠れたい。DFはボールと攻撃選手の両方を見なきゃいけない中で、ボールに対して意識が向いた時がフリーになるチャンスかな。あとはクロスを上げる選手をよく見て、タイミングを合わせることが大事。その最後のタイミングが合わなければ意味がない。

ーーやまと的にはどんなクロスサーだとありがたいとかある?

内藤大和 自分の動き出しを確実に見てくれるクロスサーだね。あとはどこのポジションでも言えることだけど、顔が上がってる選手はタイミングを合わせやすい。

ーービルドアップ中、センターバックやサイドバックがボールを持っている時はどんな事を意識してる?

内藤大和 ビルドアップ中もあまり動きすぎないことだね。勝手に相手が動いてくれるから。FWは全体を見れるから、相手チームのプレッシャーをよく見てポジショニングを取る。相手が動いてる時は自分は動かない。止まった時に動き出す。これを意識してるね。

ーーマッチアップしてるDFとはどんな駆け引きしてる?

内藤大和 これもクロスの時と同じで、相手の後ろに立って、背中から動き出すかな。あとはマッチアップしてる相手の目線と表情をよく観察してる。目線と表情見れば、ある程度何を考えてるかはわかるからね。

ーーポストプレーのコツとかってある?

内藤大和 ユースの時のDFは身体に当たってくるから背負いやすかったんだけど、プロのDFはトラップ際を狙ってきたり味方と挟んできたりするから、より受けるタイミングにこだわることが大事かな。あとは当たり前だけど背負った時の身体の強さやトラップの技術も大事だよね。

ーーポストプレーでボールを受ける時は何を考えてるの?

内藤大和 ボールを受けるゾーンによって変わるかな。自分のチームではコートを横線で4分割して、手前からゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、ゾーン4って言ってるんだけど、

それぞれのゾーンで意識する事は違くて、ゾーン1では「奪われない」、ゾーン2では「奪われない」と「次の攻撃に繋げる」、ゾーン3では「スピードを止めない」、ゾーン4では「取られてもいいからゴールに向かう」これを意識してるかな。FWに限らずどのポジションにも共通して言える事だと思う。言葉だけ聞けば当たり前だよねって思うかもしれないけど、自分は紅白戦とかでゾーン1.2でボールを奪われて試合のメンバーから外れるみたいな経験をしてきたから、よりプレーする場所によって意識する事は変えなきゃいけないって思った。

ーー背後の抜け方にコツとかある?

内藤大和 いかに味方とスペースを共有できるかだと思う。出し手と受け手、もしくは3人目の選手で、どこにスペースが空いてるのかを共有する事。自分はあらかじめ、出し手に「ここで抜けるよ」って先に伝えとくかな。そうやってイメージとスペースを合わせてる。さらに伝え方も出し手の性格によって変える。自分の動き出しを見えてる選手には少し優しく伝えるけど、自分の動き出しを見えてなさそうな選手には強めに伝える。武富選手(ヴァンフォーレ甲府)からは「周りに強く言うことで自分にも責任が生まれる」ってアドバイスを貰って、今年は無理してでも強く言う事を意識してる。要求し合う事でチームの士気も上がるし、自分に対する周りからの印象や信頼も上がると思ってる。めちゃくちゃ良い選手だけど声を出さないで試合に使われない選手も見てきたしね。

ーー自主練のシュート練習ではどんな事をしてる?

内藤大和 色んな場面を想定してシュートを打ってるよ。ただ打つだけじゃなくて、色んな状況を作り出せるかが大事だと思う。マーカーをまばらに置いて交わしてすぐ打つとか、あえて味方から浮き球のパスを貰ってターンして打つとか、いかに自主練で難しい状況を作り出す事が大事だね。試合では相手DFもいてスピード感もあってより難しいからね。

ーーシュートのコツとかある?こういう場面ではこう打ったら入るみたいな(笑)

内藤大和 鄭大世選手(元清水エスパルス)と那須大亮選手(元浦和レッズ)のYouTubeで「シュートの極意」ってのがあるんだけど、それ結構参考にしてるよ。軸足をニアサイドに向けてファーサイドに打つとか、身体をファーサイドに向けて相手DFの股下に打つとかは意識してる。あとシュートを打つ前のタッチを斜め後ろの相手に届かない所に置く事も意識してる。自分で相手とのスペースを作り出す感じ。

ーーやまとが小学4〜6年生の時、何が1番成長した?

内藤大和 小学校の時は個人技術が1番伸びる時期だと思う。自分の場合だとそれがシュートで、とにかくシュート練習したね。技術に関してはあって越した事はないし、それはプロになってからも本当に思う。あとは小学4年生の時にヴァンフォーレ甲府アカデミーに入った事で、関東や全国のレベルも知れたから、早いうちに自分より高いレベルを知る事が大事だと思う。刺激にもなるし負けたくないって思うからより向上心が湧くんだよね。

ーーやまとは高校2年でプロになったけど、大学経由とか色んな道がある中で高卒プロを選択したきっかけとかってある?

内藤大和 自分はJリーグで活躍してできるだけ早く海外に行きたかったから、高卒でプロになることに迷いはなかったね。大学卒業してからプロなって、そっからJリーグで活躍して海外に行くってなると、年齢的にも若くない。もちろん大学経由でプロになってJリーグで活躍して海外でも活躍する選手はいるから、何が正解とかはないと思うんだけど、結局は自分次第だよね。

ーーこれでインタビューは終わりかな。貴重な話、本当にありがとう。ESENCIAサッカースクールはやまとのこれからの活躍を応援してるよ!

内藤大和 こちらこそありがとう。また何年後かに対談できたらいいね。今とはまた違う価値観や考えがあるかもしれないからね。

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