020« 乗り物酔いが酷かった

わずか10分バスに乗っただけで具合が悪くなる子どもだった。

移動教室、という言葉を聞いただけで気持ち悪くなっていた。
卒業遠足はバスでディズニーランド、休んだ。
酔いやすい子ども専用のバスの一番前が指定席で、袋を抱えてぐったりする道中。
酔い止め薬、効かない。梅干し、効かない。ヘソに一円玉を貼る、効かない。
何も効かない。

わたしは乗り物に乗ると気持ちが悪くなるのだ。
という自己暗示もかけていたのかもしれない。
電車ですら酔った。新幹線もダメ。
そんなだったので、家でファミコンしていたい。
旅行なんて大嫌いだった。

二十歳くらいの時、働きながら教習所に通い運転免許を取得した。
友人が免許を取り、車を運転する姿を見ていいなーと何故か思ったからだ。
以降、ちょくちょく、友人の車やレンタカーで出掛ける機会があった。
酔い止め薬は必須であったけど、昔はまったく効かなかった薬が効くようになってきた。
サービスエリアに寄ったり、編集したMD(時代...)を聴きながらわいわいやっているうちに乗り物酔いはどんどん薄れ、どこかに出掛けることが楽しくなっていった。
揺れるよ〜と話に聞いたフェリーなども、どれどれ試しに乗ってみようか...と興味のおもむくまま乗るようにまでなった。
旅行での移動は、比較的安く街の雰囲気が見えやすいバスを選ぶことがとても多い。

自分がこの先の人生で旅行が趣味になり、時には十数時間も連続で乗り物に乗り続けることをする、って袋を抱えてぐったりしていた頃は想像できなかったよな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?