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夏の始まりの浴衣花火。

夏の始め方は、きっと10人いれば10通りあるだろうし、10年あればさらに10通りあるんだろう。

ちなみにわたしの去年の夏がどうやって始まったかはすっかり忘れてしまったけれど、今年はすごく素敵な始まりだったので、忘れないように、というのと、あとはちょっとお裾分けの気持ちで、ここに残しておこうと思う。

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今年の夏は、唐突にやってきた。

先週までは昼間は暑くても夜はわりと爽やかな風が吹いていたのに、この3連休は待ち構えていたかのようにセミが鳴き始め、空気はじっとりと湿気をまとって、夜になっても暑かった。

わたしはどちらかというと夏が得意ではなくて。じっとりとした空気は苦手だし、暑いとすぐへばるし、クーラーがガンガンに効いた電車や室内は頭が痛くなってしまう(だから外は酷暑なのに薄手の上着が手放せない)。小学校の頃は真夏の屋外でサッカーをしていたし、中学の頃はサウナのような体育館でバスケをしていたのが今でも信じられないくらいに、夏に弱い。

が、

そんな夏でも否応なく毎年やってくるわけなので、夏とうまく付き合っていく方法を見つけたいなあと思ってた矢先に、今年は素敵なイベントが舞い込んだ。

『夏の始まりの浴衣花火』

わたしも参加している旅好き・写真好きのメンバーが集まるオンラインコミュニティー「旅と写真と文章と(通称旅しゃぶ)」と、「天窓」「.colony」「Photoli」という、4コミュニティー合同で、浴衣を着て、花火をして、写真を撮ろう!in鎌倉の由比ヶ浜!というイベント。

これはなんだかわくわくだ!と直感で参加ボタンをおしたわたしは、意気揚々と浴衣を買いに行き、YouTubeで帯のしめかたを勉強し、鏡とにらめっこしながら浴衣を着こみ、京急線と江ノ電に揺られて由比ヶ浜へ。

なんだろう。暑いんだけど。間違いなく。

でも浴衣を着ているというだけで、その暑さが気にならない。

それどころか、背筋はしゃんと伸びるし、適度に風が通るし、電車は寒くない。浴衣を着ていればわたし、夏を乗り切れるんじゃないかと思うぐらい。日本人が長い歴史の中でずっと浴衣を着てきたのにはちゃんと理由があったんだなあ、なんて考えながら。

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浴衣を着て、浜辺で花火をするのは最高に楽しかった。

そして写真を撮ったり撮られたり、撮った写真を見せ合ったりするのも、最高に楽しかった。


でも、ふと帰り道で思ったのは。

今年の夏の始まりが素敵だったのは、単に浴衣を着て花火をして写真を撮ったからじゃない。

とても大好きな人たちと一緒だったから。

すごくすごく、居心地がよかったから。

わたしはよく、人見知りしないとか、誰とでもすぐ仲良くなるとか、そういうイメージを持ってもらうことが多いのだけれど、実はとっても人の目を気にする。いろんな人の顔色を見ながら、これは言っていいかな?とか、これを言ったらどういう反応されるかな、とか、そんなことを考えながら、表向きはすごく笑顔で楽しそうにしながらも、そんな自分をちょっとさめた目で客観視しているもう1人の自分がいる。だから、喜怒哀楽をストレートに表に出せる人はすごく憧れるし、そうあれたらいいなあと思いながらも、嫌われる勇気を持てずにずるずると八方美人を続けている。そして時々、すごく疲れてしまう(体調を崩すのはたいていそういう時)。

だけれども、旅しゃぶのメンバーといるとき、わたし、すごく、素の自分だってことに気がついた。

この日、午後14時に集合して20時半ぐらいに解散するまで、ずーっとみんなと一緒にいたのだけれど(半分ぐらいが「はじめまして」の人たちで、半分ぐらいが知り合って3ヶ月のメンバー)、全然、疲れなくて。もちろん、慣れない草履で歩いたので足はくたくただったし、はしゃぎっぱなしでエネルギーもからっぽだったけれど。でも、翌日、みんなが撮ってくれたわたしの写真を見ていたら、ずーっと笑っていたのだ、わたし。そしてそれは愛想笑いではなく、空気をつくろうとしての笑いでもなく、心から楽しくてしょうがない、そんなわたしの姿が写っていた。

なんなんだろう、と思う。

年齢もばらばらで、経歴もばらばらで、今やっていることもばらばらで、住んでるところもばらばらで、きっと聞いていけば好きな食べ物だって違うし、休日の過ごし方だっててんでばらばらなんだと思う。

だけど、旅が好きで、写真が好きで、文章が好きで。そんなコンセプトと、船長である伊佐さん(@tomomi_isa)に惹かれて集まった仲間は、いい意味で気をつかわずに素の自分でいられる、わたしにとってかけがえのない存在になっていた。

たった、3ヶ月で。たった1日で。

そのことに気づいた鎌倉からの帰りの電車で、わたしはひとり、幸せをかみしめながら、ちょっと泣きそうになっていた。

そんなふうにして、2018年、平成最後の夏は幕を開けた。

#エッセイ #旅と写真と文章と
#夏 #花火 #浴衣 #平成最後の夏

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